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オーディフィルが目指す音 ~その2(艶やか)~

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今日は、「オーディフィルが目指す音」の第二回目です。



「艶やか」とは。
オーディオから出てくる音が、色彩感が豊かで、惚れ惚れするような音であること。これが「艶やか」の意味するところです。

楽器の美しい響き、それを豊かな色彩感をもって伝えられるか。音に対して「色彩感」というのも変な話かもしれませんが、音楽を絵画に見立てたとき、しっかりとした色が出ているかは重要な要素になるはずです。

前回の「力強く」がコントラストだとすれば、今回の「艶やか」は色域や彩度の表現です。
楽器の固有の音が、薄まることなく、その濃厚さを聴かせることができるかという点において、ひのきの無垢材は非常に大きな仕事をしてくれています。



艶やさと、無垢木材の関係。
木材、それも無垢の木材の響きが適切に加わることで、音楽は色彩感を取り戻すと感じています。

もし、完全にピュアな録音・再生系を組むことができれば、そうした響きは不要になるはずです。しかし、私の知る限りでは、それを実施しようとすると総額数千万円のハイエンドオーディオの世界になってしまいます。

我々が対象とする現実的なオーディオでは、無垢木材による「良質な響き」が加わることで、音楽はその表情を取り戻し一層のリアリティを感じることができます。

良質な響きというのが、これまた難しい話で、単に響きを付与しただけでは「着色感・付帯音」として聴こえてしまいます。無垢木材の音色がベッタリと付いた状態では、音楽を楽しむには至りません。

響きは、あくまでも元の音源にある表情を引き出す、隠し味として使うべきなのです。
無垢木材で作ったスピーカーや、楽器の構造を参考にしたスピーカーは多々ありますが、響きの効果を違和感なく調理できている作例は思いのほか少ないのが現実です。



艶やかな音は、香り高い音。
先ほどは絵画という視覚で話をしましたが、これは嗅覚でも同じです。例えば「香り高いコーヒー」というとき、どういう香りを想像するでしょうか。

「香り高い」が意味するのは、単に「匂いが強い」という意味ではないはずです。好ましく魅力的な香りが、深みをもって感じられるとき、香り高いと表現するのではないでしょうか。

音においても同じです。鋭い音や刺激的な音が出せることも大切ですが、それ以上に、一つ一つの音の要素が、程よいバランスと深みをもって調和していることが重要なのです。



艶やかは、特性では測りにくい何か。
オーディフィルの目指す音として①力強く②艶やかで③美しい、という要素を挙げていますが、その中でこの「艶やか」が一番特性で測りにくい項目かもしれません。

艶やかな音は、付帯音を減らせば良いわけではなく、周波数帯域をフラットにすることで実現できるものでもありません。艶やかな音を作りだすには、細かな振動の制御、吸音の調整が重要になります。

私は、音響特性を測る行為を否定しません。私自身もスピーカー開発の過程では、マイクと測定音に一日中格闘することもあります。もしかしたら今後、艶やかさをもたらす要素を特性で示せるようになるかもしれません。

例えば、下記に示すひのき材の振動特性は、「艶やかさ」を特性で測る試みの一つだといえるでしょう。





艶やかさは、小音量再生で最も大切な要素。
小音量で再生した時、音は概して存在感を失いがちです。「大音量であれば良い音だけど...」という場合は、リアリティを音量に頼っており、艶やかさが不足していることが多いと感じています。

小音量にしたときにも、しっかりと音の魅力をキープするには、音そのものの魅力度(=艶やかさ)を高めておかないといけません。いつでも大音量で聴けるのであればそうした配慮は不要かもしれませんが、オーディフィルが目指す音楽再生は、生活と両立できる小音量再生にあります。

よくあるのが、木の響きは音量を上げたときのみ作用する、という誤解です。大音量にしたときに箱鳴りが強く感じられるなどの経験からそうした話が出てくるのだと思いますが、「箱鳴り」と「木の響き」は区別して考えるべきです。

強度不足による箱鳴りは、(それが意図したものでない限り)徹底的に抑えるべきです。ホンボンという無作法な箱鳴りが、多様な音楽に対して効果的である例を私は知りません。

艶やかさの源になる無垢木材の響きは、インシュレーターによる音質変化に近いものがあります。有害な振動モードを取り除き、音楽再生に好ましい振動を残していくチューニングです。
その効果の大小が、再生する音量に殆ど依存することなく、しっかりと小音量でも発揮されることは、簡単なインシュレーターの実験でも体感できると思います。



まとめ
今回は、「艶やかさ」にフォーカスしてお話ししました。

スピーカーメーカーのカタログを見ると、原音忠実の先にリアリティがある、という書き方をしていることが多くあります。
しかし、もう少し違うアプローチがあるのでは?、というのがオーディフィルの考え方であり、ひのきスピーカーの存在意義でもあります。その思想が最も如実に表れているのがこの「艶やかさ」という考え方なのです。

次回は、3つめの「美しい音」について、書いていこうと思います。
どうぞお楽しみに。



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