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オーディフィルが目指す音 ~その1~

今回は「オーディフィルが目指す音」についてお話ししようと思います。

スピーカー製作をしている以上、何かしら【こんな音を鳴らしたい】という要求があるわけで、少しづつお話ししていこうと思います。



表題画像にあるように、
「力強く、艶やかで、美しい」というのが、オーディフィルが目指す音であり、
ひのきスピーカーの象徴的な音の特長でもあります。


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「力強い」とは、音が前に出てくること。
世の中には沢山のスピーカーがありますが、私は音が明瞭かつキレよく前に出てくる音が好きです。奥の方でゴニョゴニョと鳴っているのではなく、ベールを剝がしたような鮮明さのある音です。
ボーカルが、ボーンと前に出てくる気持ちよさがあるか否かでは、音楽を聴いたときの心地よさが大きく異なってくると感じています。

以前はバックロードホーン型のスピーカーを作っていた経験もあり、こうした「鳴りっぷりの良さ」を重視してスピーカーを作製しています。

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「力強い」は、「硬い・騒がしい」とは異なります。
誤解されやすいかもしれませんが、「力強い」と「硬い・騒がしい」は異なります。後者は、ひのきスピーカーでは徹底的に抑えて音作りを行います。

たまに、鋭角的な「硬い音」が鳴ることを誇らしげにしているオーディオシステムを耳にすることがあります。こうした「硬さ」は、立ち上がりを重視する特定の音楽ジャンルには有効ですが、そのスイートスポットを外れた場合、聴くに堪えない音になることが往々にしてあります。様々な録音の音楽を楽しむためには、「硬さ」は可能な限り排除する必要があります。

硬さを抑えつつも、不必要な付帯音を丹念に削っていくことで、力強さにつながる立ち上がりの良さ・瞬発力の良さが表れてきます。付帯音を取り払ったときに現れる立ち上がり感こそが、偽りのない本来の音楽の姿だと考えています。

「騒がしい」は高品位なオーディオで求める音ではないのは明白です。ノイズや歪により生まれる騒がしさは、音楽を心地よく聴くことにとってマイナスです。

しかしながら、ノイズと響きは、紙一重です。耳障りな音を抑えながらも、心地よい響きを残していく。これらをコントロールする技術が、ひのきスピーカー作りの要点になっています。先日の日記に書いた板厚の調整や、内部補強材の効果がこの辺に結びついています。

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「力強い音」とは、抑揚が感じられること。
音楽は、そのダイナミックさ、抑揚に魅力があると感じています。生演奏とオーディオの一番の違いは、このダイナミズムの表現だと思っています。

しかしながら、生演奏と家庭での音楽鑑賞は、絶対的な音量に大きな差があります。また、ハイエンドオーディオでない限り、完全な上流系(プレーヤーやアンプ)、完全な部屋(室内残響)は存在しません。

そうした不完全さのある中で、いかに音楽の魅力を引き出せるかに着目したとき、ひのきの響きが非常に有効に機能すると考えています。
「響き」とは、音(=振動)を受けて、ほんの少しだけ振動が増幅する効果だと言えます。これを適切に活用したとき、まるで生演奏に一歩近づいたような抑揚のある表情を聴くことができると考えています。

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「力強い音」とは、低音から高音まで充実している音。
JBLの上位シリーズスピーカー「Project K2」が、「フルバンド・ウィズ・フルダイナミクス」というコンセプトを掲げていますが、このフルバンドが低域から高域まで、という考え方です。

「SOLA Mk2」は、卓上にも置ける小型スピーカーですが、その低音再生限界は35Hzになります。オーケストラの大太鼓の低音はもちろん、地響きのような電子音楽の低音まで、克明に表現する能力があります。

こうした最低域が、十分なエネルギー感を持っていることに加え、他の帯域と同じぐらいの明瞭さを持っていることが重要だと考えます。そこで求められるのは、ボワボワとした低音ではなく、ゴリッとくる克明な低音です。そのために、スピーカーのエンクロージュア剛性や、振動板の構造剛性を上げる工夫をしています。

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「力強い音」とは、高揚感の源泉。
こうして「力強い音」について説明しましたが、その全ては音楽を聴いたときの高揚感を生み出すためにあるといえるでしょう。お気に入りの歌手が、目の前にいる感じ。ライヴで鳥肌が立つあの感覚。それらを生み出すことができる音の要素が「力強い音」だと考えています。


次回は、2つめの要素「艶やかな音」について説明します。
どうぞお楽しみに。


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ひのきスピーカー「SOLA Mk2」の詳細はこちら。
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