皆さんこんにちは。今日は、サブウーハー連載の第2回目です。
前回は、一般的なフルレンジFostex FE166Enを使ったサブウーハーに挑戦してみましたが、再生音について限界を感じていました。
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<試作1号機>Fostex FE166Enを使った密閉箱
市販のウーハーユニットを使うのも手ですが、今回はじっくりと実験を進めて、スピーカーユニットについての知見を深めてみようと思いました。
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< 高忠実度再生の敵? 振動板の共振とは >
スピーカーの振動板(コーン)は、低音域では剛体として形を保ったままピストン運動をしますが、中高音域ではグニャグニャに変形しながら動く「分割振動」が起こることが知られています。
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東陽テクニカ 「スピーカ計測・評価技術 / 第2回 スピーカの表面振動と音の伝播」
https://www.toyo.co.jp/mecha/casestudy/detail/id=13852
この分割振動は再生音の周波数特性を乱すことから、「ウーハーは分割振動が始まる前の帯域(Rigid body mode)を使用し、それ以上はネットワークでカットしましょう。」というのが一般的に知られています。
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<新しい考え方? マッシヴな低音とは >
上記の定説に対して、異を唱えるのがA&Cオーディオ社の島津氏です。
島津氏は求める低音の姿を「マッシヴ」という言葉で表現。そして、その実現のためには、単に分割振動帯域を避けて使うだけでなく「コーンに釣鐘動変形を抑える様に補強を入れる」ことが重要と主張しています。
「最新版・超硬振動板 その5 本当の問題点」(2020年05月11日)
https://blog.goo.ne.jp/ac-audio/e/e02cefc45da8cdbc88de71907ee6d9e8
「マッシヴ」という言葉は、2013年のブログに初めて登場し、2014年の記事で詳細に説明をしています。
そこでは「コーンの高域共振周波数以下を、安易にピストンモーション域と言うべきではない」という記述がありますが、その原因については「コーン強度」という言葉で説明するに留まっています。
「展示システム紹介 131Aウーファー+T115Sトゥイーター」(2013年04月04日) ※9行目
https://blog.goo.ne.jp/ac-audio/e/f46d573d6c820ebc2d759747e9504105
「トライフォニック・プロジェクト開始」(2014年12月12日)
https://blog.goo.ne.jp/ac-audio/e/ea590402c9926027f4a3a95ac469c72f
「音離れとマッシヴ感」(2014年12月17日)
https://blog.goo.ne.jp/ac-audio/e/26e0b2b15cd4c2c06675c962869df814
低音質感向上のための施策として、「コーンボディがひしゃげない様につっかえ棒の様な役割を果たす」という方法を公開したのは2017年。単に振動板の強度を向上させるだけでなく、特定の変形を抑制することが大切ということのようです。
「ウーファー最新事情」(2017年08月31日)
https://blog.goo.ne.jp/ac-audio/e/c861c61f2e30f0e2cdd603a6ced87fa9
そして、最初に紹介した2020年の記事では、「釣鐘動変形」について明確に記述し、「コーンに釣鐘動変形を抑える様に補強を入れると、骨格のしっかりした音になる」というコメントをしています。
この「釣鐘動変形」については、次の章で説明していきます。
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<「釣鐘動変形」をもたらす非軸対称モードの振動>
まず、振動板変形のイメージを図で描いてみました。
※ここからは、私、カノン5D独自の解釈が大いに含まれます。
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一般的な振動板は、上下方向(青矢印)に対しては非常に高い強度をもっています。
それに対し、左右方向(赤矢印)に対しては非常に脆弱です。
実際に紙で模型をつくれば、その強度の差は分かりやすと思います。
このことは意外と古くから知られており、例えば、1971 年の三菱電機の中央研究所では、レーザーホログラムで振動板の振動状態を評価しています。そこでは「非軸対称モードの振動が発生」というコメントがなされ、ハニカム構造振動板の開発に至っています。
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「JAS Journal 2016 Vol.56 No.1(1 月号) 【連載:Who’s Who ~オーディオのレジェンド~ 第 3 回】ダイヤトーンに生きる(その 2) 佐伯 多門」
http://www.jas-audio.or.jp/jas_cms/wp-content/uploads/2016/01/2016-084-092.pdf
最近の研究では、胡月氏の論文で固有値解析によるシミュレーション結果が報告されています。
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「空気の粘性減衰がコーンスピーカの振動と音響特性に及ぼす影響に関する研究」 胡月
https://www.sit.ac.jp/media/2017_02_ko.pdf
いずれにしても、一般的に知られているウーハーの高域共振(1kHz~5kHz)とは異なり、かなり低い周波数帯域(100~500Hz)で起こっている現象であることが分かります。このことは、先の島津氏の言及とも一致しています。
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<いざ実践! FE166Enの魔改造 >
釣鐘動変形を抑え、リジッドな低音を目指すという方向性で、振動板を補強してみます。
使ったのは、竹串。イイ感じになるように木工ボンドで組み上げていきました。
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見た目は、、、竪穴式住居っぽい?(笑)
とりあえず、特性を測ってみましょう。
密閉箱(試作1号機のを流用)に入れて、ユニット直前位置で周波数特性を測ります。
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(補強前)
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(補強後)
見た目のエグさとは裏腹に、違和感のない特性が得られました。
とりあえず、ユニットはこれでOKとしましょう。
次回は箱作りと、試聴です!
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前回は、一般的なフルレンジFostex FE166Enを使ったサブウーハーに挑戦してみましたが、再生音について限界を感じていました。
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<試作1号機>Fostex FE166Enを使った密閉箱
市販のウーハーユニットを使うのも手ですが、今回はじっくりと実験を進めて、スピーカーユニットについての知見を深めてみようと思いました。
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< 高忠実度再生の敵? 振動板の共振とは >
スピーカーの振動板(コーン)は、低音域では剛体として形を保ったままピストン運動をしますが、中高音域ではグニャグニャに変形しながら動く「分割振動」が起こることが知られています。
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東陽テクニカ 「スピーカ計測・評価技術 / 第2回 スピーカの表面振動と音の伝播」
https://www.toyo.co.jp/mecha/casestudy/detail/id=13852
この分割振動は再生音の周波数特性を乱すことから、「ウーハーは分割振動が始まる前の帯域(Rigid body mode)を使用し、それ以上はネットワークでカットしましょう。」というのが一般的に知られています。
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<新しい考え方? マッシヴな低音とは >
上記の定説に対して、異を唱えるのがA&Cオーディオ社の島津氏です。
島津氏は求める低音の姿を「マッシヴ」という言葉で表現。そして、その実現のためには、単に分割振動帯域を避けて使うだけでなく「コーンに釣鐘動変形を抑える様に補強を入れる」ことが重要と主張しています。
「最新版・超硬振動板 その5 本当の問題点」(2020年05月11日)
https://blog.goo.ne.jp/ac-audio/e/e02cefc45da8cdbc88de71907ee6d9e8
「マッシヴ」という言葉は、2013年のブログに初めて登場し、2014年の記事で詳細に説明をしています。
そこでは「コーンの高域共振周波数以下を、安易にピストンモーション域と言うべきではない」という記述がありますが、その原因については「コーン強度」という言葉で説明するに留まっています。
「展示システム紹介 131Aウーファー+T115Sトゥイーター」(2013年04月04日) ※9行目
https://blog.goo.ne.jp/ac-audio/e/f46d573d6c820ebc2d759747e9504105
「トライフォニック・プロジェクト開始」(2014年12月12日)
https://blog.goo.ne.jp/ac-audio/e/ea590402c9926027f4a3a95ac469c72f
「音離れとマッシヴ感」(2014年12月17日)
https://blog.goo.ne.jp/ac-audio/e/26e0b2b15cd4c2c06675c962869df814
低音質感向上のための施策として、「コーンボディがひしゃげない様につっかえ棒の様な役割を果たす」という方法を公開したのは2017年。単に振動板の強度を向上させるだけでなく、特定の変形を抑制することが大切ということのようです。
「ウーファー最新事情」(2017年08月31日)
https://blog.goo.ne.jp/ac-audio/e/c861c61f2e30f0e2cdd603a6ced87fa9
そして、最初に紹介した2020年の記事では、「釣鐘動変形」について明確に記述し、「コーンに釣鐘動変形を抑える様に補強を入れると、骨格のしっかりした音になる」というコメントをしています。
この「釣鐘動変形」については、次の章で説明していきます。
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<「釣鐘動変形」をもたらす非軸対称モードの振動>
まず、振動板変形のイメージを図で描いてみました。
※ここからは、私、カノン5D独自の解釈が大いに含まれます。
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一般的な振動板は、上下方向(青矢印)に対しては非常に高い強度をもっています。
それに対し、左右方向(赤矢印)に対しては非常に脆弱です。
実際に紙で模型をつくれば、その強度の差は分かりやすと思います。
このことは意外と古くから知られており、例えば、1971 年の三菱電機の中央研究所では、レーザーホログラムで振動板の振動状態を評価しています。そこでは「非軸対称モードの振動が発生」というコメントがなされ、ハニカム構造振動板の開発に至っています。
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「JAS Journal 2016 Vol.56 No.1(1 月号) 【連載:Who’s Who ~オーディオのレジェンド~ 第 3 回】ダイヤトーンに生きる(その 2) 佐伯 多門」
http://www.jas-audio.or.jp/jas_cms/wp-content/uploads/2016/01/2016-084-092.pdf
最近の研究では、胡月氏の論文で固有値解析によるシミュレーション結果が報告されています。
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https://www.sit.ac.jp/media/2017_02_ko.pdf
いずれにしても、一般的に知られているウーハーの高域共振(1kHz~5kHz)とは異なり、かなり低い周波数帯域(100~500Hz)で起こっている現象であることが分かります。このことは、先の島津氏の言及とも一致しています。
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<いざ実践! FE166Enの魔改造 >
釣鐘動変形を抑え、リジッドな低音を目指すという方向性で、振動板を補強してみます。
使ったのは、竹串。イイ感じになるように木工ボンドで組み上げていきました。
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見た目は、、、竪穴式住居っぽい?(笑)
とりあえず、特性を測ってみましょう。
密閉箱(試作1号機のを流用)に入れて、ユニット直前位置で周波数特性を測ります。
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(補強前)
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(補強後)
見た目のエグさとは裏腹に、違和感のない特性が得られました。
とりあえず、ユニットはこれでOKとしましょう。
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