先日、ParcAudioから発売された「DCU-F102W」の試聴会(コイズミ無線)に行ってきました。
このユニットは、「赤パーク」と呼ばれるバックロードホーン向けのユニットで、現行の8cmフルレンジ「DCU-F101W」の強化verということになります。
この試聴会では、TQWT・バックロードホーン・バスレフ箱の三種類を聞くことができました。
↑写真左からTQWT、バックロード、バスレフ
(なお、試聴はTOPPINGのUSBデジタルアンプを使ったのですが、何故かUSB接続が認識できずPCからのアナログアウトで鳴らすことになりました。音質的には本領発揮ではないので、差し引いて読んで頂ければと思います。)
まずは、バスレフ箱から。
コイズミ無線の山口氏の話によると、
このユニットはBH向けなのですが、m0やQ0は控え気味の設定となっているために大型バスレフ箱でも使えるとのこと。
今回の「DCU-F102W」を、コイズミ無線にある様々な箱キットに入れてみたところ、「FOSTEX E-162B (容量15L)」「ダイトーSV-16 (容量9L)」「ヒカリ工芸25cmウーハー用試作箱(19L)」などがマッチしたそうです。「ダイトーSV-16 (容量9L)」は若干低音不足なものの、薄手な板厚(9mm)により素直な音の響きが得られ、「ヒカリ工芸 試作箱」は魅力的な低音であるものの中域が引っ込んでしまったとか。
その中で、「FOSTEX E-162B (容量15L)」は音域バランス・音の響きともに合格ラインで、今回の作例は「FOSTEX E-162B」と同程度の容量で8cmフルレンジに合うようなスタイルに仕上げたとのことでした。
早速、バスレフ箱を聴かせてもらうと、十分な低音量感が出ていることが分かります。音楽のベースとなる低音楽器の骨格が感じられ、様々な音楽に対応できる音質だと感じました。BH向けユニット特有のハイ上がりが上手く抑えられ、バランスの良い再生音だといえます。
中高音は十分な情報量で、特に「DCU-F102W」は磁気回路の強化が効いているのかParcAudio特有のサラッとした軽やかな響きに一層磨きがかかっているようでした。ボーカルの表情も優秀です。
重低音の質感は、バスレフの利点を生かしたダンピングに優れた弾むような質感でした。おそらく、POPSなどの低音表現にマッチするでしょう。
話を聞くに、本作の薄い板厚(9mm)は8cmフルレンジからスケール感を引き出すために大切であるとのことでした。10cmフルレンジまでであれば厚い板厚とすることで鮮明な定位感が得られるが、8cmでは音像が痩せ細ってしまいうことがあります。
そこで、箱を9mm厚として適度に鳴らし、フロントバッフルだけを二枚重ねの18mmとしたことで、定位感と豊かな音像の両立ができたとのことでした。
今回の作例(後にキット販売予定!?)を作るにあたり様々なダクト形状を検討したので、それを比較試聴します。ダクトは箱に「ギュッ」と押し込むことで固定できるようになっており、工作精度の高さに驚かされます。
↑ダクトを交換する山口氏
まずは、同じ丸型ダクトで直径24mm、30mm、34mm、40mm、44mm、50mmを比較します。
直径24mm(共振61Hz):ずしっとした重低音が出るものの、中低域につながらない。
直径30mm(共振71Hz):重低音が出ているようで、出ていない。耳が疲れる。
直径34mm(共振77Hz):もこっとした低音。ピーク感があるものの、中低域とのつながりは改善傾向。
直径40mm(共振86Hz):バスレフらしい低音。ピーク感は残るものの帯域バランスは上出来。
直径44mm(共振91Hz):中低域のつながりは非常に良好。一方で、重低域の伸びは控え気味か?
直径50mm(共振99Hz):イコライザーのバスブーストみたい。100Hz〜200Hzがモッコリしていて、量感タップリ。これはこれで悪くない。
以上は私的感想なので、「結構違うものなんだなぁ〜」ぐらいに読んで頂ければと思います。
お気づきかと思いますが、このダクトは「筒」のようになっておらず、板厚のみの長さとなっているのが特徴です。これは、「ボートは長くすると低音の量感が減る」という山口氏の経験に基づくものとのことでした。
さて、次はダクト形状による差異です。
先程の「直径44mm(共振91Hz)」の「一つ穴」と同じ断面積で、形状の違いによる音の変化を探ります。
↑上段左から、「四つ穴」「二つ穴」「スリット」
↑写真は三つ穴タイプを装着した状態
「二つ穴」タイプ:『一つ穴』と比べて量感に優れる。山口氏曰く「一つ穴ダクトだと、低域にエネルギーが奪われる感じだが、これはそれが防げる」とか。おそらく、ダクト共振が多少ブロードになるのが効いているのでしょう。
「三つ穴」タイプ:若干、低音のピーク感が抑制され、スムーズな低音へ。
「四つ穴」タイプ:『一つ穴』に近いピーク感に戻る。
「スリット」タイプ:中低音がスムーズにつながり、ピーク感を感じさせない。中高域の情報量がupしたようにも感じました。
まあ、この違いは非常に微妙な差だったので、とりあえず「製品版の『スリット』タイプは悪くない」程度だと思っても良いかもしれません。
ところで、このダクトの位置なのですが、これにもノウハウがあるとのことです。
最も低音再生に有利なのは、ダクトをユニットと反対側の位置(バッフル下部)に設けることなのですが、ダクトから出る風切り音が耳につき、低音楽器の音像がユニットとダクトの間でフラフラしてしまうそうです。
一方で、ユニットの近傍にダクトを設けると、ある程度の長さがあるダクトであれば十分な高域カットが効くものの、板厚のみみの場合はユニットからの逆相の音が漏れてしまい妙な音場感を形成してしまうとのこと。結局は、その間で適切な距離を探ることになりそうですね。
ここで、バスレフ向けとして販売されている「DCU-F101W」の登場です。
ParcAudioの純正箱キットに入った本機は非常にコンパクトですね。
その再生音は、重低音の表現力が圧倒的でした。この日の試聴会で、最も低音が伸びていたように聴こえました(笑)
「DCU-F101W」はfo=68Hzと低く、それが明白に出た結果だと思います(DCU-F102Wは138Hz、実測は160Hz程度)。
さらに、低域にピークディップは全く感じられず、さすが本家の製品だといえます。どの箱でも言えることなのですが、「ダクト(音響管開口部)からの高域カット」と「ユニットの低域カット」が上手くつながることが大切なのですね。
しかし、再び赤パーク「DCU-F102W」のバスレフ箱に戻すと、音場の構成力や、音の粒立ち・張り出しに優れることが分かります。これと比べると、バスレフ向けの「DCU-F101W」はやや単調な音色に感じてしまいます。やはり磁気回路の差は明白なようで、なかなか甲乙つけ難い結果となりました。
なお、今回のバスレフ箱はコイズミ無線でキット販売されるとのことでした。そろそろHPにupされるはず?
さて、バスレフ箱の試聴だけで長文になってしまったので、
TQWTとバックロード箱は、次回に書こうと思います。
このユニットは、「赤パーク」と呼ばれるバックロードホーン向けのユニットで、現行の8cmフルレンジ「DCU-F101W」の強化verということになります。
この試聴会では、TQWT・バックロードホーン・バスレフ箱の三種類を聞くことができました。
↑写真左からTQWT、バックロード、バスレフ
(なお、試聴はTOPPINGのUSBデジタルアンプを使ったのですが、何故かUSB接続が認識できずPCからのアナログアウトで鳴らすことになりました。音質的には本領発揮ではないので、差し引いて読んで頂ければと思います。)
まずは、バスレフ箱から。
コイズミ無線の山口氏の話によると、
このユニットはBH向けなのですが、m0やQ0は控え気味の設定となっているために大型バスレフ箱でも使えるとのこと。
今回の「DCU-F102W」を、コイズミ無線にある様々な箱キットに入れてみたところ、「FOSTEX E-162B (容量15L)」「ダイトーSV-16 (容量9L)」「ヒカリ工芸25cmウーハー用試作箱(19L)」などがマッチしたそうです。「ダイトーSV-16 (容量9L)」は若干低音不足なものの、薄手な板厚(9mm)により素直な音の響きが得られ、「ヒカリ工芸 試作箱」は魅力的な低音であるものの中域が引っ込んでしまったとか。
その中で、「FOSTEX E-162B (容量15L)」は音域バランス・音の響きともに合格ラインで、今回の作例は「FOSTEX E-162B」と同程度の容量で8cmフルレンジに合うようなスタイルに仕上げたとのことでした。
早速、バスレフ箱を聴かせてもらうと、十分な低音量感が出ていることが分かります。音楽のベースとなる低音楽器の骨格が感じられ、様々な音楽に対応できる音質だと感じました。BH向けユニット特有のハイ上がりが上手く抑えられ、バランスの良い再生音だといえます。
中高音は十分な情報量で、特に「DCU-F102W」は磁気回路の強化が効いているのかParcAudio特有のサラッとした軽やかな響きに一層磨きがかかっているようでした。ボーカルの表情も優秀です。
重低音の質感は、バスレフの利点を生かしたダンピングに優れた弾むような質感でした。おそらく、POPSなどの低音表現にマッチするでしょう。
話を聞くに、本作の薄い板厚(9mm)は8cmフルレンジからスケール感を引き出すために大切であるとのことでした。10cmフルレンジまでであれば厚い板厚とすることで鮮明な定位感が得られるが、8cmでは音像が痩せ細ってしまいうことがあります。
そこで、箱を9mm厚として適度に鳴らし、フロントバッフルだけを二枚重ねの18mmとしたことで、定位感と豊かな音像の両立ができたとのことでした。
今回の作例(後にキット販売予定!?)を作るにあたり様々なダクト形状を検討したので、それを比較試聴します。ダクトは箱に「ギュッ」と押し込むことで固定できるようになっており、工作精度の高さに驚かされます。
↑ダクトを交換する山口氏
まずは、同じ丸型ダクトで直径24mm、30mm、34mm、40mm、44mm、50mmを比較します。
直径24mm(共振61Hz):ずしっとした重低音が出るものの、中低域につながらない。
直径30mm(共振71Hz):重低音が出ているようで、出ていない。耳が疲れる。
直径34mm(共振77Hz):もこっとした低音。ピーク感があるものの、中低域とのつながりは改善傾向。
直径40mm(共振86Hz):バスレフらしい低音。ピーク感は残るものの帯域バランスは上出来。
直径44mm(共振91Hz):中低域のつながりは非常に良好。一方で、重低域の伸びは控え気味か?
直径50mm(共振99Hz):イコライザーのバスブーストみたい。100Hz〜200Hzがモッコリしていて、量感タップリ。これはこれで悪くない。
以上は私的感想なので、「結構違うものなんだなぁ〜」ぐらいに読んで頂ければと思います。
お気づきかと思いますが、このダクトは「筒」のようになっておらず、板厚のみの長さとなっているのが特徴です。これは、「ボートは長くすると低音の量感が減る」という山口氏の経験に基づくものとのことでした。
さて、次はダクト形状による差異です。
先程の「直径44mm(共振91Hz)」の「一つ穴」と同じ断面積で、形状の違いによる音の変化を探ります。
↑上段左から、「四つ穴」「二つ穴」「スリット」
↑写真は三つ穴タイプを装着した状態
「二つ穴」タイプ:『一つ穴』と比べて量感に優れる。山口氏曰く「一つ穴ダクトだと、低域にエネルギーが奪われる感じだが、これはそれが防げる」とか。おそらく、ダクト共振が多少ブロードになるのが効いているのでしょう。
「三つ穴」タイプ:若干、低音のピーク感が抑制され、スムーズな低音へ。
「四つ穴」タイプ:『一つ穴』に近いピーク感に戻る。
「スリット」タイプ:中低音がスムーズにつながり、ピーク感を感じさせない。中高域の情報量がupしたようにも感じました。
まあ、この違いは非常に微妙な差だったので、とりあえず「製品版の『スリット』タイプは悪くない」程度だと思っても良いかもしれません。
ところで、このダクトの位置なのですが、これにもノウハウがあるとのことです。
最も低音再生に有利なのは、ダクトをユニットと反対側の位置(バッフル下部)に設けることなのですが、ダクトから出る風切り音が耳につき、低音楽器の音像がユニットとダクトの間でフラフラしてしまうそうです。
一方で、ユニットの近傍にダクトを設けると、ある程度の長さがあるダクトであれば十分な高域カットが効くものの、板厚のみみの場合はユニットからの逆相の音が漏れてしまい妙な音場感を形成してしまうとのこと。結局は、その間で適切な距離を探ることになりそうですね。
ここで、バスレフ向けとして販売されている「DCU-F101W」の登場です。
ParcAudioの純正箱キットに入った本機は非常にコンパクトですね。
その再生音は、重低音の表現力が圧倒的でした。この日の試聴会で、最も低音が伸びていたように聴こえました(笑)
「DCU-F101W」はfo=68Hzと低く、それが明白に出た結果だと思います(DCU-F102Wは138Hz、実測は160Hz程度)。
さらに、低域にピークディップは全く感じられず、さすが本家の製品だといえます。どの箱でも言えることなのですが、「ダクト(音響管開口部)からの高域カット」と「ユニットの低域カット」が上手くつながることが大切なのですね。
しかし、再び赤パーク「DCU-F102W」のバスレフ箱に戻すと、音場の構成力や、音の粒立ち・張り出しに優れることが分かります。これと比べると、バスレフ向けの「DCU-F101W」はやや単調な音色に感じてしまいます。やはり磁気回路の差は明白なようで、なかなか甲乙つけ難い結果となりました。
なお、今回のバスレフ箱はコイズミ無線でキット販売されるとのことでした。そろそろHPにupされるはず?
さて、バスレフ箱の試聴だけで長文になってしまったので、
TQWTとバックロード箱は、次回に書こうと思います。