前回に引き続き、
ParcAudioから発売された「DCU-F102W」の試聴会(コイズミ無線)の話です。
三種類のうちの一つは、TQWT箱「TQWT-W8」です。
(管の横幅は132mm)
前面はシンプルな外観ですが、背面に大きな開口部がああるのが特徴ですね。
これを作る際には、多数の試作を行ったとのことで、
そのエピソードを詳しく聞いてきました。
TQWTは、共鳴管の中でも強いテーパーがついているのが特徴です。それにより共鳴効率が落ちる(癖が少なくなる)代わりにバックロードに近い動作も期待できます。
「結局の所、TQWTは共鳴管なのか、バックロードなのか?」と聞いてみたところ、
(ユニット位置における)管の断面積が、振動板の断面積に近くなるとBH的な音になると教えてくれました。ただBH的な動作にすると音が窮屈になるので、今回のTQWT箱は断面積が振動板の3.5倍になるように設計し、共鳴管特有の開放的な音場感を狙っているとのことでした。
さらに、ユニットを取り付ける位置にもポイントがあるようです。
普通、共鳴管やバックロードでは管の端に近い所にユニットを取り付け、開口部までは2m以上の長さを確保して低音増強を狙います。一方で、開口部から出てくる共鳴音が耳につき厄介な問題だと言えます。
しかし、コイズミ無線の山口氏が試作を繰り返したところ、この長さを1m以下にすることで共鳴音が耳につかなくなるとのこと。おそらく、開口部から漏れてくる音に「遅れ」が少なくなる為に、耳障りになりにくいのでしょう。結果として「吸音材」が不要となるメリットも見逃せません。
能書きはこの程度にしておいて、早速音を聴いてみます。
バスレフ箱で感じたキレの良さや粒立ち感はそのままに、箱の大きさに相応しいスケール感や音場の表現が一層豊かになりました。
オーケストラを聴くと、ホールの響きやオーケストラの雄大さを しっかりと表現してくれます。量感豊かな低音がフワッと漂うように出てくるのは、共鳴管が上手く動作している証拠だと思います。
ボーカルの澄み切りは、この日聴いた三作品の中では一番見事なものでした。不要音が素直に減衰していくのは先細り形状のTQWTならではの効用でしょう。
この箱が9mm厚のMDF材であることに一抹の不安を覚える方も多いはずです。
しかし、実際に聴いてみると「ボンボン」という嫌な箱鳴りは皆無で、上手く共振を生かした設計になっていると関心しました。MDF材は無造作に厚く作ると固い無機質な響きが中高域に付帯するのですが、本作は厚みを抑える事で上手く振動を逃がしているようです。
おそらく私達が気にしている所は、
従来品の「DCU-F101W」と、今回の「DCU-F102W」がどれだけ音響管をドライヴする力に差があるか…という点ではないでしょうか?
山口氏は、このTQWT箱の設計・試作を「DCU-F101W」で当初は行っていて、その中で図中の『赤矢印』の位置にユニットを装着するのが良いと感じていたようです。
しかし、いざ「DCU-F102W」に付け替えてみると同じ取り付け位置では上手く行かず(低音不足)、今回発表したように図中の『青矢印』の位置に装着することで好結果を得られたとのことでした。
共鳴の効率や、背圧の強さを想像すれば「DCU-F102W」の方が強力なユニットであるのは間違い無さそうです。今回の試聴でも、このTQWT箱を十分にドライヴしていると感じることができました。
最終回は、いよいよBH箱です!
ParcAudioから発売された「DCU-F102W」の試聴会(コイズミ無線)の話です。
三種類のうちの一つは、TQWT箱「TQWT-W8」です。
(管の横幅は132mm)
前面はシンプルな外観ですが、背面に大きな開口部がああるのが特徴ですね。
これを作る際には、多数の試作を行ったとのことで、
そのエピソードを詳しく聞いてきました。
TQWTは、共鳴管の中でも強いテーパーがついているのが特徴です。それにより共鳴効率が落ちる(癖が少なくなる)代わりにバックロードに近い動作も期待できます。
「結局の所、TQWTは共鳴管なのか、バックロードなのか?」と聞いてみたところ、
(ユニット位置における)管の断面積が、振動板の断面積に近くなるとBH的な音になると教えてくれました。ただBH的な動作にすると音が窮屈になるので、今回のTQWT箱は断面積が振動板の3.5倍になるように設計し、共鳴管特有の開放的な音場感を狙っているとのことでした。
さらに、ユニットを取り付ける位置にもポイントがあるようです。
普通、共鳴管やバックロードでは管の端に近い所にユニットを取り付け、開口部までは2m以上の長さを確保して低音増強を狙います。一方で、開口部から出てくる共鳴音が耳につき厄介な問題だと言えます。
しかし、コイズミ無線の山口氏が試作を繰り返したところ、この長さを1m以下にすることで共鳴音が耳につかなくなるとのこと。おそらく、開口部から漏れてくる音に「遅れ」が少なくなる為に、耳障りになりにくいのでしょう。結果として「吸音材」が不要となるメリットも見逃せません。
能書きはこの程度にしておいて、早速音を聴いてみます。
バスレフ箱で感じたキレの良さや粒立ち感はそのままに、箱の大きさに相応しいスケール感や音場の表現が一層豊かになりました。
オーケストラを聴くと、ホールの響きやオーケストラの雄大さを しっかりと表現してくれます。量感豊かな低音がフワッと漂うように出てくるのは、共鳴管が上手く動作している証拠だと思います。
ボーカルの澄み切りは、この日聴いた三作品の中では一番見事なものでした。不要音が素直に減衰していくのは先細り形状のTQWTならではの効用でしょう。
この箱が9mm厚のMDF材であることに一抹の不安を覚える方も多いはずです。
しかし、実際に聴いてみると「ボンボン」という嫌な箱鳴りは皆無で、上手く共振を生かした設計になっていると関心しました。MDF材は無造作に厚く作ると固い無機質な響きが中高域に付帯するのですが、本作は厚みを抑える事で上手く振動を逃がしているようです。
おそらく私達が気にしている所は、
従来品の「DCU-F101W」と、今回の「DCU-F102W」がどれだけ音響管をドライヴする力に差があるか…という点ではないでしょうか?
山口氏は、このTQWT箱の設計・試作を「DCU-F101W」で当初は行っていて、その中で図中の『赤矢印』の位置にユニットを装着するのが良いと感じていたようです。
しかし、いざ「DCU-F102W」に付け替えてみると同じ取り付け位置では上手く行かず(低音不足)、今回発表したように図中の『青矢印』の位置に装着することで好結果を得られたとのことでした。
共鳴の効率や、背圧の強さを想像すれば「DCU-F102W」の方が強力なユニットであるのは間違い無さそうです。今回の試聴でも、このTQWT箱を十分にドライヴしていると感じることができました。
最終回は、いよいよBH箱です!