S-044をネタとして、新たなホーンの構造を探ってみます。
まずは、開口面積を減らすよう蓋をした状態(塞ぎver.、赤線)の音を、スタンダードとなるホーン解放の状態(解放ver.、緑線)と比較して聴いてみます。
(2015年06月28日の日記にも、その変化を簡単に記しましたが、今回はよりしっかり聴き込んでみます。 http://blog.goo.ne.jp/4g1g4g0/e/49cbe678b905e8890b0aeb74081cc980)
まずはホーン鳴きが表れやすい楽曲としてチェロ四重奏を聴いてみましょう。ホーン解放状態では盛大なホーン鳴きがありますが、蓋をして「塞ぎver.」とすることで、それがしっかり抑え込まれることが分かります。
「塞ぎver.」は、最低域も伸びているようで、グランカッサの響きは深みを増します。オルガンのスケール感は二回りほど大きくなり、利点は大きいようです。
一方で、「塞ぎver.」はトランペットやトロンボーンは抑圧された響きとなります。解放状態では感じられた空気感は大幅に減ってしまいました。どうやら中低域の響き感が減ってしまったようで、民謡の三味線も電子楽器っぽくなりました。
よく言われる「ホーンを塞ぐとバスレフになる」というのはこの辺の聴感から湧いてきた話なのでしょう。(塞ぎver.でも、ホーン動作がほぼ変わりないことは、インピーダンス特性、周波数特性で確認済。)
ここでの特性の変化は、2015年07月03日の日記に書いてあるので、参考にしてください。
http://blog.goo.ne.jp/4g1g4g0/e/482d9724b3fc445a7105f9c6ac8b50b4
さて、ここからがメインの話題です。
水色線のように、ホーンの開口部だけ絞ったような広がり方とした場合(絞りver.)の音を聴いてみます。
絞りver.では、塞ぎver.で感じた管楽器の「詰まり感」は大幅に後退し、ウッドベースも解放感をもった好ましい鳴りっぷりとなりました。さらに、バイオリンの独奏であっても、(塞ぎver.と比較して)表情豊かな音です。
一方で、解放ver.では聞けなかった、沈み込みのある低音も獲得できており、オルガンの曲では低域レンジの広さによるスケール感の向上が確認できました。
結論として、このホーン開口部付近を絞る「絞りver.」は、音の表情を殺すことなく低域レンジの拡大が可能なもののようです。
低域レンジの拡大は、ホーン全体として広がり率が小さくなったことに起因すると思われますが、エクスポネンシャル曲線を維持したまま単純に広がり率を小さくした場合、低音量感が大幅に低下し、200Hz付近からストンと音圧が低下する周波数特性となることが推測されます。
エクスポネンシャル曲線は、ホーン設計のベースとなる形状ですが、これを順守した場合「低音の伸び」と「低音の量感」は完全にトレードオフとなります。
今回の「絞りver.」は、そのトレードオフを打破する一つの策となるでしょう。
次回は、周波数特性とインピーダンス特性で、この「絞りver.」の特徴を確認してきます。
まずは、開口面積を減らすよう蓋をした状態(塞ぎver.、赤線)の音を、スタンダードとなるホーン解放の状態(解放ver.、緑線)と比較して聴いてみます。
(2015年06月28日の日記にも、その変化を簡単に記しましたが、今回はよりしっかり聴き込んでみます。 http://blog.goo.ne.jp/4g1g4g0/e/49cbe678b905e8890b0aeb74081cc980)
まずはホーン鳴きが表れやすい楽曲としてチェロ四重奏を聴いてみましょう。ホーン解放状態では盛大なホーン鳴きがありますが、蓋をして「塞ぎver.」とすることで、それがしっかり抑え込まれることが分かります。
「塞ぎver.」は、最低域も伸びているようで、グランカッサの響きは深みを増します。オルガンのスケール感は二回りほど大きくなり、利点は大きいようです。
一方で、「塞ぎver.」はトランペットやトロンボーンは抑圧された響きとなります。解放状態では感じられた空気感は大幅に減ってしまいました。どうやら中低域の響き感が減ってしまったようで、民謡の三味線も電子楽器っぽくなりました。
よく言われる「ホーンを塞ぐとバスレフになる」というのはこの辺の聴感から湧いてきた話なのでしょう。(塞ぎver.でも、ホーン動作がほぼ変わりないことは、インピーダンス特性、周波数特性で確認済。)
ここでの特性の変化は、2015年07月03日の日記に書いてあるので、参考にしてください。
http://blog.goo.ne.jp/4g1g4g0/e/482d9724b3fc445a7105f9c6ac8b50b4
さて、ここからがメインの話題です。
水色線のように、ホーンの開口部だけ絞ったような広がり方とした場合(絞りver.)の音を聴いてみます。
絞りver.では、塞ぎver.で感じた管楽器の「詰まり感」は大幅に後退し、ウッドベースも解放感をもった好ましい鳴りっぷりとなりました。さらに、バイオリンの独奏であっても、(塞ぎver.と比較して)表情豊かな音です。
一方で、解放ver.では聞けなかった、沈み込みのある低音も獲得できており、オルガンの曲では低域レンジの広さによるスケール感の向上が確認できました。
結論として、このホーン開口部付近を絞る「絞りver.」は、音の表情を殺すことなく低域レンジの拡大が可能なもののようです。
低域レンジの拡大は、ホーン全体として広がり率が小さくなったことに起因すると思われますが、エクスポネンシャル曲線を維持したまま単純に広がり率を小さくした場合、低音量感が大幅に低下し、200Hz付近からストンと音圧が低下する周波数特性となることが推測されます。
エクスポネンシャル曲線は、ホーン設計のベースとなる形状ですが、これを順守した場合「低音の伸び」と「低音の量感」は完全にトレードオフとなります。
今回の「絞りver.」は、そのトレードオフを打破する一つの策となるでしょう。
次回は、周波数特性とインピーダンス特性で、この「絞りver.」の特徴を確認してきます。