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 試聴・測定編5 (ユニット変更 TangBand W3-582SC)

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久々にバックロードホーンのことでも書こうと思います。
前回の日記から、既に5ヶ月近く経ってしまったので、まずはふり返りから。

前回の日記:2014年03月08日
「試聴・測定編4 (空気室容量の検証 FE126E)」
http://blog.goo.ne.jp/4g1g4g0/e/1202e1e135d7922ba7f110ea5cf0a79c

「試聴・測定編3〜4」では、空気室容量の違いが音に与える影響を確認しました。
そのあと、ユニットをParcAudioのDUC-F121Pなどに変えましたが、同様の傾向でした。


では、ユニットを大きく変えるとどうなるか。
類似のユニットではなく、口径も性格も異なるユニットを用意して、評価してみました。

まずは、TangBandのW3-582SCに変えてみます。
このユニットは、典型的な8cmフルレンジです。



開放系でのインピーダンス特性でFE126Eと比較をしてみましょう。



12cmのFOSTEX FE126Eのf0が90Hzなのに対し、
8cmのTangBand W3-582SCは140Hzとなっています。

なお、カタログスペックだともう少しf0は低いのですが、
小音量(200mV)での測定なので、この位はズレるものです。


このW3-582SCを、バックロードホーン型の箱に入れると、こんな感じになります。(青線)


箱は前回のFE126Eの時と同じで、概要はこんな感じ。
---------
空気室容量:1.9L
スロート断面積:49cm2 (スロート絞り率:153%、Fx=260Hz)
ホーン広がり率:0.75
ホーン長さ: 1.2m
開口部面積:128.1cm2 (断面積比:2.6倍)
----------


同じ箱に入れたFE126Eのインピーダンス特性と比較すると、こんな感じ。


明白に分かるのが、インピーダンス特性の凹の周波数(横軸)は、
ユニットが変わっても殆ど変っていないことが分かります。

つまり、バックロードホーンの凹は箱に依存するファクターだといえるのです。

一方で、凸については、ユニットにより変化するファクターのようです。(特に一番周波数の低い凸)
この辺はまだまだ不明点が多いですね。


さて、ラストは周波数特性です。

ユニット直前(0.05cm)


共鳴によるディップが確認できますね。
(エンクロージュアで共鳴が起こると、振動板の動きは抑制され、振動板からの音圧は低下します)

ホーン開口部からの音圧特性


典型的なBHの特性が得られています。
W3-582SCはバスレフ向けのユニットとされますが、特性上は全く問題なくBHとしての働きをしてくれるようです。


一般的な周波数特性はこちら。軸上0.5mでの特性です。


軸上から30°のポジションでは、こんな感じ。


このユニット、かなり指向性が広く、
30°ぐらいのズレでは大して高域特性が変わらないのが特徴だと言えます。


ちなみに、箱を壁際に近づけるとこんな感じ。軸上1mでの測定です。


低音の量感がぐっと出てきて、良い感じですね。
50Hzまで十分な音圧があり、8cmフルレンジとは思えない周波数特性です!


<音の感想 (当時のメモより)>
周波数特性上はかなり良好なのですが、聴感上は微妙な感じなのです(汗

全体的に付帯音が多く、モワつきが感じられます。小口径フルレンジとしてのスッキリとした音を求めると、空気室部分(1.9L)の密閉型としてしまった方が好印象な感じです。

低音は、BHらしいドカンとくる音ですが、どことなく「重たい」「暗い」雰囲気で好ましいとは言い難いものでした。
8cm口径としては、スロート断面積が異様に大きく設計しているので、その辺のミスマッチが出てしまったのでしょう。

ユニットのお蔭で、中高域は低歪な上品さのある音です。ソプラノボーカルなどはクラッシックらしい伸びやかさを感じさせます。小さ目のダブルバスレフ箱などで、上品な低音を付与してあげればこのユニットの良さを生かせるのでは?と思います。

今回は、12cm用に設計したバックロードホーンに8cmユニットを入れたので、実用性という点では難ありという結果でした。
しかし、インピーダンス特性を支配する要因や、f特と聴感の関係など興味深い結果が得られたと思っています。


さて、次回は逆のパターンで、12cm用の小さな箱に、16cmユニット「FE168EΣ」を取り付けてみようと思います。
また更新は気が向いたときに行いますので、今しばらくお待ちくださいませ(汗

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