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ミューズの方舟 自作スピーカーコンテスト2013 〜その5-最終回〜

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ミューズの方舟主催の自作スピーカーコンテスト2013の様子を連載しています。

今回は、いよいよラスト。

まずは、渋江さんの作品から。




「ピラミッド・スピーカー」と命名された本機は、
赤茶色に塗られた綺麗な仕上がりです。




前面には、FW108NとFT27Dが配されています。
後面にもFW108Nがありますが、こちらはパッシブラジエーターとして動作しているとのこと。

クロスはシンプルな-6dB/oct型ですが、
ウーハーを2.7kHz、ツイーターを6.0kHzでカットしているところにチューニングのキモがありそうです。





音は落ち着いたサウンドで、(外見とおなじ?)ピラミッドバランスだと感じました。

弦楽では、低弦の存在感が薄らぐことなく、各パートの音のバランスに秀でています。

若干、低域にモヤつき感を感じさせますが、最低域はしっかりとコントロールされており、ブーミーさは感じませんでした。しっかりと面積のある低音を出せるパッシブラジエーターの利点なのでしょうか。

ボーカルはしっとりとした質感と柔らかさを持っており、好印象でした。
仕上げの丁寧さと、落ち着いた音色で、長く楽しめるスピーカーシステムになっているなぁと思いましたね。



ラストは後藤さん。




大型のリボンツイーターはDaytonの「PT2C-8」。
女性ボーカルをよく聞くとのことで、中高域の滑らかさを求めての選択でしょうか。




クロスは2kHzと低めに設定し、
リボンツイーターの良さを引き出す設計方針のようです。




箱はダブルバスレフ箱を採用し、低域の拡大を狙っています。
第一空気室は5.5L、第二空気室は9.9Lと設定。共振周波数は、106Hzと48Hz。ダブルバスレフ型として標準的な設計で省スペース性と低音再生のバランスを狙ったつくりだと思います。


一聴して感じるのは、全帯域の柔らかな表現です。

リボンツイーターの能力だけでなく、箱の材料に集成材(松?)を採用したことも美しい響きをもたらす要因となったのでしょう。
ボーカルの「とろ味」の表現では、本作は秀でた能力があると感じました。

ダブルバスレフによる低音は量感十分。ボーカルもよく張り出し、試聴曲のPOPS系女性ボーカルとの相性は抜群でした。



こうして、全9作品の発表が無事に終了しました。
今年は例年にも増してハイクオリティな作品が多く集まったなぁ〜という印象でした。

FOSTEXのFWシリーズは、来年にモデルチェンジをするらしいので、
スピーカービルダーの一人として楽しみにしたいと思います。

出品者の皆さん、会場設営をした方舟メンバー、
そしてお客さんの皆さんに、感謝の気持ちを表したいと思います。

もう年の瀬ですが、また来年も自作スピーカー界が活気づく一年でありますように。

-終-

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