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小音量再生のコツ

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梅雨っぽい天気が続く頃ですが、皆さまいかがお過ごしでしょうか。

家の中でオーディオ、と思いながらも、
なかなか大きな音で聴けず、小音量で楽しんでいらっしゃる方も多いのではないでしょうか?


小音量で問題になるのが、「音痩せ」です。
一般的には、人間の耳の特徴である等ラウドネス曲線で説明される現象です。



しかし、私としては、オーディオ特有の原因が他にあって、
小音量に強い機器と、そうでない機器が存在するのではないか?と考えています。

例えば、SN比を例に挙げると、
大音量では音楽信号に比べてノイズレベルは十分に小さいのですが、
小音量では、ノイズレベルに隠れてしまう信号も多くなります(SN比が低下する)。






さらに言えば、スピーカーの能力も重要なポイントだと考えています。

各帯域の解像度が揃っているのが理想的なスピーカーですが、
スピーカーの構造上、低音域で解像度が悪くなることが多々あります。

低域の解像度が落ちていると、音量により総合的な音のバランスが崩れやすくなってしまいます。





こうした様々な要因があって、「小音量が得意か否か」というのは決まってくるのだと思います。ここで挙げた例以外の要因は、下記ページにまとめてみましたので、見て頂ければと嬉しいです♪

「音痩せ」はもう嫌だ! ~小音量再生のコツ~



聴き疲れのない小音量で、
のんびりと梅雨時リスニングを楽しみましょう!








「東京インターナショナルオーディオショウ2020」開催中止に

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先日発表がありましたが、
「東京インターナショナルオーディオショウ2020」が中止になったそうです。



<Phile-web>11月予定の「東京インターナショナルオーディオショウ2020」が開催中止に
https://www.phileweb.com/news/audio/202007/08/21803.html

世界のハイエンドブランドが集う人気のオーディオショウだっただけに、
中止になってしまうのは残念ですね。(この情勢なので仕方ないですが...)


他の出展社さんも同じか分かりませんが、
私にとってオーディオショウは、単に製品のお披露目会という役割だけでなくて、
お客様の意見を直接頂ける貴重な場になっています。

withコロナの時代にどういう形態での開催が良いかは議論があるところですが、
何かしらの形で、「製品の魅力を共に楽しめる場」を設けていくことは大切だと思っています。


オーディフィルでは、いま基礎技術開発の真っ最中です。
ひのきの奏でる音の魅力を引き出すために、今までにない手法を開発しています。

年末~年明け頃には、何かしらの形で発表できることを目指して頑張っています。
皆さまと良い音を共有できる日が、再び訪れることを願って。。。








ひのきスピーカー日誌【新連載?】【0001回】

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新連載

皆さんこんにちは。
今日から新連載「ひのきスピーカー日誌」を書いてみようと思います。

ブログといえど、1テーマで文章を作ろうとすると結構大変で、
なかなか更新ができなかったりしていました。

そこで、この一週間で思ったことを中心に、
ショートストーリーをつなげた文章を書いてみようと思います。

続くかもしれませんし、続かないかもしれませんが(笑)
どうぞお付き合い下さいませ。



梅雨

まだまだ梅雨が続きますね。
昔は梅雨=6月と思っていたのですが、
どうやら7月の方が雨が多いのではと思ったり。

オーディオを聴く時間が増えるのは良いことで、
小音量にして雨音とブレンドさせた音楽を楽しむのも一興かなと。

まあ、早くカラッとした晴天になって欲しいのには変わりないのですが。



3Dプリンター

先日買った3Dプリンター。
使い方もだいぶ慣れてきて、作りたいものを作れるようになってきました。

こんな感じ。




付属してきた赤色フィラメント(原料)も半分以上使ってきたので、
本番用の黒色を発注しないとですね。




ではまた来週~♪
良い週末をお過ごしください!








ひのきスピーカー日誌【0002回】

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連休、いかがお過ごしでしょうか?
雨が多い日が続きますが、焦らずゆっくり梅雨明けを待つのもいいかなと思ったり。

(写真は、ひのきスピーカー「TOYONE」)



聴く時間

ひのきスピーカー工房「オーディフィル」は、
実は副業としてやっていまして、
平日は、世を忍ぶ仮の姿としてサラリーマンをやっています(笑)

忙しいと言っても、寝る時間には困らないのですが、
それでも平日に音楽を聴くのは至難の業。

帰ってきて、風呂に入って、ご飯食べて、寝る。

せっかく良いオーディオがあるので、
もう少し聴いていたいのですが、時間は湧いて出てこない...

そんな状態ですが、最近始めたのが、
「1枚のCDを聴く」ということ。

CDプレーヤーに1枚のCDをセットしておいて、
帰ってきたら、何も考えずに再生ボタンをポチっと。

最近のお気に入りは、モーツアルトのホルン協奏曲。
少し前は、教会録音の合唱曲でした。

何度も聴いていると、新しい発見があったり、
とある日には、気付いたら全曲の再生が終わっていたり。 ←完全に聴き流してますね。。

学生の頃は「CDが擦り切れるんじゃないか?」っていうぐらい
1枚のディスクを繰り返し聴いていましたが、
社会人になっても、こういう聴き方も良いんだなぁと。




温泉

このご時世ではありますが、
温泉旅館に行きたいなぁと思うことがあったり。

チェックインを済ませて、落ち着いた和室で旅荷物を整え、
ぼーっとした後に「そろそろ風呂行くか」と思い立ち、大浴場へ。

ガラガラっと扉を開けると、視界に広がる湯舟と、響くお湯の音。
体を洗い、湯船にザバァーっと。 あぁ極楽極楽。。。

温泉ってやっぱりいいよなぁ、と。
そして、そんな癒しの雰囲気をスピーカーに込められないかなぁと思ってみたり。

あぁ極楽極楽。。。
そう言いたくなるような音を目指して。




読書

読書の秋はまだまだ先ですが、
先日、「世界のコンサートマスターは語る」という本を買いました。




オーケストラを率いるポジションのコンサートマスター。
インタビューでは、異口同音に「指揮者の意図や、音楽の方向性を、どう楽団員に伝えるか」ということを話されていました。

私自身、「オーディオ」と「クラシック音楽」は、とても似ていると思っていまして、
 楽譜 = 音源
 オーケストラ = 愛機
 指揮者 = リスナー(自分)
 コンサートホール = 部屋
というような感じです。

音楽に対して、様々な想いがあって、
それを形にしていくのがオーディオ趣味なのかなぁと。

コンサートマスターの一言一句には、
オーディオで求める音を作り出すためのヒントが隠されているのかもしれません。




今週末は連休という方も多いかもしれませんね。
残り2日間、楽しい週末をお過ごしください♪








ひのきスピーカー日誌【0003回】

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いよいよ夏の暑さがやってきましたね!

オーディフィルでは、次のプロジェクトに向けての準備を進めています...
形が出来てきたら、こちらのブログで紹介しますね。


(写真は、「秋のヘッドフォン祭2019」での展示の様子)



測定とオーディオ

測定は、スピーカー設計をするオーディフィルにとって、かなり重要なツールです。

一般的な周波数特性やインピーダンス特性のほか、
自作の測定信号を使った解析も進めています。

測定の良さは、耳で感じた違和感を視覚的に確認することができ、
対策が打ちやすくなることでしょうか。


測定で分かるのは、感覚的には半分ぐらいまで、だと思っています。
残り半分は「感性」との対峙。 測定では測れない領域も残っているのが現状でしょうか。

その半分までに到達するスピードを速めてくれるのが測定かな、と。


今後、もっと進化すれば、7~8割ぐらいまで測定でいけるような気がするのですが、
最終的な良し悪しを判断するのは、最終的な人間の耳だと思うんですよね。

測定を活用しつつ、偏重主義に陥ることなく。
スピーカー作りを進めていければと思っています。




設計と現実

頭の中で思い描いたり、
音響シミュレーションソフトで弾き出した結果が、「設計」なのですが、

これが実際に作るとなると、結構難しかったっりするんですよね(笑)

板で形が作れるか?
その板が組み立てられるか?
穴あけしたとき、残った部材の強度はどうか?
など。

さらには、オーディフィルであれば、
製作コスト(価格)と音質は見合っているか?
という問題も出てきます。

簡単かと思いきや、意外と難航してしまったりと、
形になるスピーカーは、なかなか多くないのが現実です。


アイディアは多く。
それを具現化する技術、手段を強化。

そうやって、少しづつスピーカー作りは進化していくのかもしれません。





久々の晴天。
3密を避けての外出も良いかもしれませんね。

それでは、よい休日をお過ごしください!



ひのきスピーカー日誌【0004回】

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いよいよお盆休みという方も多いでしょうか。


オーディフィルは相変わらずマイペースに進んでいます♪
今日も話題をいくつか書いていこうと思います。




サイクリング

カノン5Dのオーディオ以外の趣味として、サイクリングがあります。
そこまで本格的にやっていないのですが、
一回だけヒルクライムの大会に出たことがあるぐらいでしょうか。

今では、1~2ヵ月に一度ぐらい倉庫から出して、海辺のフラット道路を走るぐらいですが、たまに走ると気持ちいいんですよね。

オーディオは、私にとって「極める」趣味になっていますが、
こちらは、「息抜き」の趣味。 何も考えずに走っています(笑)

大好きな事も、突き詰めていくと大変になるのは仕方のないこと。
それもまた醍醐味ですが、ちょっと息苦しくなってしまうこともしばしばあります。

そんなときに、ふらっと楽しめるもう一つの何かがあると良いのかもしれません。



よく見ると...違う!



開発用にDaytonAudio社製のウーハーを何個か買っているのですが、
同じシリーズでも少しづつ仕様が違ったりします。

たとえば、写真のは左から10cm、17cm、21cmなのですが、
振動板周囲のエッジの材料が全て違っています。

21cmは、ツヤッとした表面で、いわゆる「ゴム」っぽい感じ。
一方で17cmは、サラッとした質感の「スポンジっぽい発泡ゴム」でした。
10cmはその中間の素材のようです。

同じシリーズでも、「技術者が一つ一つ聴きながら材料を探したのだなぁ」と想像してしまいますね。
もちろん、それぞれに個性があるので、どういう製品に仕上げるかは楽しみな所です。



日本オーディオ協会「音のリファレンスシリーズ」


Phile-web関連記事 「日本オーディオ協会、映像配信向けに「音のリファレンス」音源の使用規定を発表(2020年08月03日)」
https://www.phileweb.com/news/audio/202008/03/21843.html


既にお持ちの方もいらっしゃるかもしれませんが、
日本オーディオ協会が発売している音源に、「音のリファレンスシリーズ」というものがあります。

先日、本音源における、オーディオメーカーが製品紹介動画を撮影する際のガイドラインが発表され、私のような製造販売する立場の者が高品質な音源を使用した製品紹介動画を作りやすくなりました。

「空気録音」として、製品の音をマイクで録ってYoutubeに投稿することは盛んに行われていますが、
今まではどうしても著作権の問題や、再生音源の品質問題が払拭できずにいました。

今回の日本オーディオ協会の決断には大きく賛同しています。
コロナの影響がある以前から、諸事情で店舗に行けないマニアの方に音を届ける手段として、動画配信は注目していました。
試聴に代わる手段になるかは議論がありますが、今後もこうした流れは一層拡大すると思っています。

今後のオーディオ業界の変化の先駆けになるか。注目していきたいと思っています。




天気もいよいよ夏本番!
冷房を上手く活用して、楽しくインドアを過ごしましょう!







ひのきスピーカー日誌【0005回】

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晴天に恵まれたお盆休み、いかがお過ごしでしょうか。
まだまだ2日間ありますので、今日明日の予定を考えるのも楽しみですね!



旅館椅子と和風オーディオ
私自身「和風」のものが好きなので、
オーディオもそういった方向になってしまいます。

写真は、リビングのサブシステム。

先日、いわゆる「旅館の座椅子」を買いまして、
一気に和風な感じが出てきました(笑)

ひのきスピーカーもそうなのですが、
日本ならではの感性を使って、魅力的なものが作れないかと考えています。




アルミ材料のいろいろ

最近、金属のアルミ材について興味を持っているのですが、
単に「アルミ」といっても様々な種類のものがあるみたいです。


オーディオで使われるアルミ材については、ハイファイ堂さんの記事が分かりやすいですね。
「アルミとカーボン」ハイファイ堂メールマガジン第681号 丸の内店

記事を見ると、熱処理された「6061アルミ」がオーディオではメインのよう。
また、航空グレードと呼ばれるものは、ジュラルミンを示す「2000系アルミ」を含んでいるのではないかと思われます。




こちらは、滑川軽銅株式会社さんのpdf資料より転載しました。
アルミの分類が系統立てて説明されていて分かりやすいですね。

ここで注目は、「押し出し材(BE)」と「引き抜き材(BD)」があること。
一般的なイメージは押し出し材だと思うのですが、例えば「直径50mm以下の細い丸棒」などは引き抜き材が流通していることも多いようです。

普段は木材のことばかり考えているので「金属=画一的」なイメージがあったのですが、思った以上に個性があって驚きました。
こうした材料を造るのも、匠の技なのかもしれませんね。



時代は変わる

先日、自作スピーカーのマスターブック第三弾「デザインレシピ集」が発売されました。


コイズミ無線 販売ページ

自作スピーカーといえば長岡鉄男のイメージが色濃いのですが、この本は違います。

「測定」を主軸におき、海外での作例では既に一般的になっているというAcoustic slopeに基づく設計や、Fourth-order Linkwitz–Rileyのネットワーク作製についての解説されています。

最近の自作スピーカーの動向をみていると、こうした流れが今後の主流になってくるのは間違いないと思っています。 長らく長岡派に親しんできた私にとっては寂しさを感じるものですが、時代の流れには逆らえません。

考えてみれば約50年前は、自作スピーカーといえばP-610のような16cmフルレンジや、JBLのユニットを使った作例が一般的だったと思います。
そこに、軽量紙コーンと強力磁石をもつ「FE103」が現れました。当時、オーバーダンピング(低Qts)な小口径が良いとは思われなかったはずです。しかし、長岡鉄男先生の文章・作例と共に、FEシリーズは自作界をけん引していく存在となっていきました。

FEシリーズは、磁石を進化させたり、振動板を変えたりと、様々な工夫を経て「FE208ES-R」や最新の「FE168NS」を生み出しました。 私自身も、この製品の素晴らしさを体感し、その魅力を理解しています。

しかし、破壊的イノベーションは突然訪れます。それが、この「マスターブック」ではないでしょうか。
SNSで測定データが簡単に共有できる時代、PCで優れた測定ソフトを使いこなせる時代。そんな現代に即した、自作スピーカーの在り方を考えさせられる本です。

もちろん、長岡派のスピーカー作りが突然否定される訳でもなく、Fostex社はFEシリーズの開発を続けてくれることでしょう。
新しいスピーカー作りの潮流を歓迎し、それぞれの流派が魅力溢れる自作スピーカーを生み出す未来を楽しみにしています!





この土日も天気は良さそうです。台風や秋雨が来る前の、貴重な天気かもしれません。 外出が難しいなかでも、部屋の掃除&模様替えや、3密を避けた楽しみを満喫したいところですね。

それでは、良い週末を!







ひのきスピーカー日誌【0006回】

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皆さんこんにちは! 今日も暑いですね~。

ひのきスピーカー製作は、今日も続いています。 新製品に向けた準備も着々と進めていますので、機会を設けて発表できればと思っています。

(写真は、ひのきスピーカー「Concept-SOLA」)


CSTドライバー

オーディオショウが少なくて寂しい今日ですが、特大の新製品がパイオニアから発表されました!


「TS-HX900PRS」

TADの誇るCSTドライバーが、いよいよカーオーディオ用ユニットとして登場です。
もちろん、ユニット単独売りなので自作スピーカーにも使えるという訳です。



CSTドライバーは以前から指向特性の良さに惹かれていましたが、本作もその技術は受け継がれているようです。 付属のネットワークで、すぐにこの特性が得られるのは大きなポイントです。

ちなみに、17cmウーハーを含めた3way構成「TS-Z900PRS」もあり、こちらもネットワーク込みでの販売なのでネットワーク製作が苦手な方もこの優れた特性をもつ3wayスピーカーを製作できるのは嬉しい話です!

このユニット、よく見てるとあの名機「A-8」にそっくりなんですよね。

TAD Brand Story > TAD 40年の歴史

第一号製品から脈々と受け継がれるDNAがあるのも凄いなぁと思ってしまいます。
オーディフィルもそうした歴史を作れるよう、頑張ります!



お手軽バネルソー?

ホームセンターにあるパネルソーは、自作スピーカー派であれば憧れの工具でしょう。 しかし、その大きさや価格ゆえに、導入には大きなハードルがあります。

スライド丸鋸で同じ寸法を大量にカット


こちらの動画では、スライド丸ノコ(4~8万円で買える)とDIYを合わせて、
パネルソーのように正確な寸法を、複数枚切ることができる工夫が紹介されていました。

どこまで実用性があるかは分かりませんが、面白いアイディアだなぁ~と思いました。




今日はお盆明けの最初の週末ですね。
有意義な一日になりますように♪









ひのきスピーカー日誌【0007回】

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皆さん、こんにちは!
少しづつ秋の空が近づいてきたかなぁ~と感じることがありますが、お住まいの地域ではどうでしょうか?

今日もひのきスピーカー日誌、書いていきます♪

(写真は、ひのきスピーカー「TOYONE」)


共振を管理する

スピーカー設計では「共振」について、常に考えながら進めていきます。
素材や構造に基づく共振は、聴感上のピークディップを生み出す要因になるため、しっかりと管理することが大切です。



私は、共振を「大きさ」「長さ」「周波数」の3つで考えています。

「大きさ」は、共振の強さと放射面積(影響度)。
「長さ」は、共振の時間的な長さ。
「周波数」は、文字通りで共振が起こる音域のこと。

「大きさ」と「長さ」は比例することが多いのですが、
例えば、トライアングルを小さく叩いた場合、大きさは【小さく】、長さは【長い】共振が得られます。

他にも、コンサートホールの壁面は、その面積から大きさは【大きい】ですが、長さは【短い】共振だと言えるでしょう。


大抵、共振についての議論をするときは、『制振材』を使う話が最初に出てきます。
確かに、「大きさ」と「長さ」を小さくすることには効果的ですが、「周波数」の分布は高域から削がれてしまい、音楽の脈動感が削がれる結果になることが往々にしてあります。

スピーカー設計は、バスレフ共振などの機構を考えるのはもちろんですが、こうした共振の在り方を考えながら設計することで、「心地よい音」を意識的に作り上げることができると考えています。

...まあ、言うは易く行うは難し、なんですが(笑)



刃を当てる

現在開発中のモデルでは、30mm厚の ひのき板を使っています。
今までの25mmから、さらに板厚を上げています。これも、上記の「共振を管理する」という考え方に基づいての選択です。



板厚を増していくと、ひのき材から「生命力」みたいなものを感じるんですよね。
圧倒的な存在感みたいなものでしょうか。

そうなってくると、「切る」というより、「刃を当てる」という感覚になってきます。
1カット1カットの緊張感が違います。

スピーカーとして仕上がるのはまだ先ですが、
どうぞお楽しみに!




8月も、残りあとわずかですね!
全国的に天気も良さそうなので、充実の休日になることを願ってます!







マランツ「SACD 30n」「MODEL 30」発売!/インシュレーターは4点支持

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ひのきスピーカー日誌【0008回】

皆さんこんにちは。 ひのきスピーカー日誌、第8回目です♪
9月最初の週末ですが、まだまだ暑さが続きますね~。 台風も近づいているので、お気をつけください!

(写真は、ひのきスピーカーTOYONE


マランツ「SACD 30n」「MODEL 30」発売!


MODEL 30

先日、マランツから新しいプリメインアンプ&プレーヤーがセットで発表されました。

驚くべきは、そのデザイン。 従来の最上位シリーズとは全く違うデザインで、とても現代的なものとなりました。全体的な雰囲気は、インテリアに拘る暮らしをイメージしたものでしょうか。評判も上々のようです。


SACD 30n

同じ国産メーカーでも、
ヤマハのアンプは、旧来のオーディオらしいデザインを踏襲しており、
デノンは定番のスタイルを貫いています。
そんな中で、マランツは違った方向性を打ち出してきたように感じます。

今後のラインアップも予定されているとのことで、ますます目が離せませんね!



インシュレーターは4点支持




機材をインシュレーターで支持する時、「4点」で支えるか「3点」で支えるか迷うことがありますよね? 私も、ずっと迷っていて、どちらかと言うとガタつきの心配がない3点支持が好ましいように感じていました。

しかし、最近、しっかりと試聴して確認してみたら、どうやら「4点支持の方が音質的なメリットが多い」ことに気づきました。

確かに3点支持は解像度や定位感を出しやすいのですが、中低域の解像度が甘くなる傾向。
一方で、4点で支持すると、自然な解像感を維持しながら、低域から中域にかけてしっかりとした基礎体力のある音になる傾向でした。

これは推測ですが、3点支持は後ろの1点が「辺」を支持することになり、「角」を支持することより振動の悪影響を受けやすいのではないかと考えています。

こうしたオーディオの使いこなし術を一般論にするのは難しいのですが、4点支持嫌いの人もぜひ試してみて頂きたいなぁ~と思った次第です。




秋になって、オーディオの新製品発表が多くなってくるかと思います。
このブログでも折に触れて紹介していければと思います!








吸音材の効果

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皆さんこんにちは。
今週は、サブウーハー用エンクロージュアで実験をしていました。

写真は、現在開発中のサブウーハーの実験機で、
Concept-SOLAや、その他の小型スピーカーに汎用的に使えるものに仕上げていければと思っています。



今回の実験は、「吸音材」の有無。
非常に基本的なものですが、改めて確認をしてみます。

吸音材は、エンクロージュア内部の定在波を軽減し、
音の癖を取り除くために使います。



例えば、この箱は内寸が長辺方向に514mmあり、そこでの定在波が懸念されます。
バスレフダクトの部分から、マイクを突っ込み、内部の定在波を測定してみます。





それでは、エンクロージュア内部の定在波の変化を見てみましょう。
まずは、「吸音材なし」の場合。


250Hz、500Hz付近に強い共振が見られます。おそらく、上下方向の定在波と思われます。
※寸法から計算すると330Hz付近に発生するはずですが、内部の補強材の影響で少し低めに出たと思われます。



そこで、定在波を減らすために吸音材を投入します。
投入量は、エンクロージュア内部が吸音材で満たされるぐらい、多めに入れました。



測定すると、定在波はすっきり消えているのが分かります。これだけの量を入れると、定在波は見事に消えてくれますね。




ここまでの測定結果は、箱内部の音を拾ってのものでしたが、
ユニットから出てくる音に影響があるか確認してみます。



まずは、「吸音材なし」


そして、「吸音材あり」


定在波が出ていた250Hz付近にある小さな凹凸が、「吸音材あり」では消えているのが分かります。 ※2kHz以上の高域のピークディップはスピーカーユニットによるもの。
箱内部の定在波は、(仮に密閉型だとしても)外まで洩れてきてしまうようです。




こういうデータを見てみると、吸音材を入れた方がいい!という結論になりかねないのですが、
実際に試聴すると、「吸音材なし」の方が低音のキレ・量感共に優れていました。その理由をもう少し考察してみようと思います。

ここで、インピーダンス特性を見てみます。
まずは、「吸音材なし」。


そして、「吸音材あり」。


インピーダンス特性は見慣れていないと解釈が難しいのですが、バスレフ箱としてポートが機能しているかどうかをグラフ左端の2つのピークから読み解くことができます。

例えば、「吸音材なし」の場合、18Hzと43Hz付近にピークが見られます。その間の谷間は28Hz付近で、ほぼ計算通りのバスレフ箱として動作していることが分かります。

一方で、「吸音材あり」の場合、ピークはそれぞれ若干左側にシフトし(周波数は低くなり)、ピークの高さも低くなっています。これは、吸音材の質量やダンピング効果で、バスレフダクトの動作が変化していることを示しています。
特に、ピークディップが小さくなっているのは、ダクトの動作が弱くなっていることを意味しますので、余り良いことではありません。実際に、35Hz~25Hzの再生音圧が測定・聴感共に落ちていました。




今回の製作では、サブウーハー用途を想定しているので、少なくとも250Hz付近までの定在波は除去しておきたいところです。
とくに共鳴音は目立ちやすいため、しっかりと対策をする必要があります。

その一方で、吸音材を入れすぎると低域、とくにバスレフダクトの動作が犠牲になることが確認できました。
よく言われるように、吸音材は最小限にすべき、という事なのでしょう。

吸音材は最小限にしつつ、定在波を減らす工夫は、今後実験で検証していく予定です。面白いデータが取れたら、また紹介しますね!







デノンDCD-SX11, DCD-2500NE 試聴記

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先日、デノンのSACDプレーヤーを聴いてきましたので、簡単にレポートします。

私がいま使っているCDプレーヤーは、SONYの「CDP-MS1」。
(上記写真のプレーヤーです。)

光学固定式の名機で、性能的には全く不満がないものなのですが、
万一の故障に備えて、次の目星は付けておきたいなぁ~という気持ちがありました。

ちょうどコロナも落ち着いていた頃合いということで、
プレーヤーを試聴しに秋葉原へ行ってきました。



様々なメーカーのを聴いたなかで、ピンと来たのが、
デノンの「DCD-SX11」と「DCD-2500NE」。

このプレーヤーは、音の「聴かせどころ」が分かっているというか、
音の立ち上がりや、グッとくるニュアンスが、存分に楽しめる音でした。

組み合わせるアンプもデノン製にすると、いわゆる純正ペアが出来上がるのですが、
お好み次第で、他社製アンプとの組み合わせもアリだと思いました。

たとえば、私はラックスマンのL-507uxⅡを使っているのですが、
そこにデノンが組み合わさることで、音のパワー感を補ってくれる良さも感じました。
まさに組み合わせの妙といったところでしょうか。



まずは、「DCD-2500NE」。

ニューリリース(2016.01.14)
https://www.denon.jp/ja-jp/news/2016/pma-2500ne-dcd-2500ne-dnp-2500ne-launch-of-2500ne-series-a-new-benchmark-for-middle
製品情報ページ
https://www.denon.jp/ja-jp/shop/denonapac-sacdcdplayers_ap/dcd2500ne_ap


他社のプレーヤーから変えると、まず一聴して音の密度の高さを実感します。
端的に言えば、ボーカルの実在感が違います。

通常だと、ボヤッと薄味になってしまうボーカルも、
ムッチムチの肉声感(笑)をもって、存分に聴かせてくれました。

全体的には、脈動感や瞬発力で聴かせる感じで、
その中に、潤沢ともいえる低音の力感が備わっている、デノンらしいもの。
POPSやJAZZを聴くと最高の気分になれるのは間違いありません。

もちろん、歪感は全く感じないレベルで、音域バランスもピラミッド型なので、
クラシックでも、その魅力を堪能できると思います。

機能面では、ディスク再生に特化しており控えめですが、
こうした取捨選択が音質向上につながるのは、ピュアオーディオではよくある話です。




そして、「DCD-SX11」。

ニューリリース(2015.08.31)
https://www.denon.jp/ja-jp/news/launched-pma-sx11-integrated-amplifier-and-dcd-sx11-super-audio-cd-player
製品情報ページ
https://www.denon.jp/ja-jp/shop/denonapac-sacdcdplayers_ap/dcdsx11_ap


見た目は殆ど同じ。ただ、トレーの動きなど、細かな部分で高級感を感じさせます。
たしか、天板の造りも良かったはずです。

音を聴くと、やはり上級機の貫禄を感じます。

「2500」は、音の良さを積極的に聴かせてくれる感じなのですが、
こちらの「SX11」は、情報量が多く、ぶわっと包まれるような質感を出してきます。

パッと聴きでは、2500のほうがダイナミックに聞こえますが、
リファレンスプレーヤーとして味わいを感じられるのはSX11でしょう。

このクラスのプレーヤーだと、違った環境でじっくり聴き込んでみたい欲が出てきます。
試聴は短い時間でしたが、それだけの情報量の違いを感じさせられたのは、SX11のクオリティの高さゆえだと思います。



今回は、デノンの2機種をピックアップしましたが、
それぞれ発売から4~5年経っており、新製品の足音が聞こえてきそうです。
購入を考える身としては、なかなか悩ましいところです(笑)

実際に、2500のブラッシュアップ版と思われる構成で、
110周年記念モデル「DCD-A110」が先日登場しました。

ニューリリース(2020.09.08)
https://www.denon.jp/ja-jp/news/2020/20011
製品情報ページ
https://www.denon.jp/ja-jp/shop/denonapac-sacdcdplayers_ap/dcda110

特に初搭載の「Ultra AL32 Processing」は要注目で、
どのようなサウンドに仕上がっているか気になる所ですね。

また、試聴する機会があれば、日記書こうと思います!

ウーハーの矛盾

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いよいよ秋らしい気候になってきましたね!
今日は、ひのきスピーカー日誌【0009回】をお届けします♪


ウーハーの矛盾

ウーハーの「振動板」は、「剛性が高い方が良い」というのが定説になっています。
大振幅で空気を押し出すウーハーの振動板は、頑丈なものが良いでしょう。

実際に聴いても、剛性の高い振動板を使ったウーハーは、
ダイナミックで深々とした低音を聴くことができます。



では、振動板の周囲にある「エッジ」はどうか。
これは「柔らかい」のが良いですよね。固いとウーハーが動けません。

経年劣化でエッジが固くなってしまった場合は、
軟化剤を塗って、レストアする方法が良く知られています。

エッジが柔らかく自在に変形することで、ウーハーは自由に振幅することができ、
歪を抑えたクリアな低音再生が可能になります。



さて、ここで矛盾が発生します。
「振動板」は固い方がいいのに、「エッジ」は柔らかい方が良い。
「エッジ」は振動すれば音を発するので「振動板」と考えられる。
「エッジ」(=「振動板」)は柔らかくても良いのか・・・?


例えば、全てが柔らかい素材で作られた「ソフトドームウーハー」があったとしたら、
余り良い結果を生まないのは明らかでしょう。

しかし、いざウーハー、さらにはサブウーハー用ユニットとなると、
これ見よがしに「巨大なエッジ」をもつ製品が多数あります。



振動板の最大変位を表すXmaxが大きいことを特徴にするタイプは、
先に述べたように、エッジが(構造上)柔らかいことが求められ、
どうしてもエッジの面積は大きくなりがちです。


こうした製品は、パラメーターは優秀でも、
実際の聴感では今一つ・・・ということを何度も体験してきました。

やはり、ウーハーの「エッジ」は振動板として機能するため、
エッジが柔らかいことは音質上のデメリットなのです。



では、エッジを固くすれば良いのか?
過去には「フィックスドエッジ」と呼ばれる固いエッジをもつウーハーもありましたが、
振動板の動きが制限されるため、40cm近い大口径でも、超低音域の伸びは限られたものでした。

家庭用スピーカーとして省スペース化と超低音再生の両立を狙うためには、
どうしても柔らかいエッジは欠かせません。


そうなると、妥協案を探すことになります。

エッジの占める面積を少なくすることで、
柔らかいエッジが音質に与える影響を軽減させるのはどうでしょう?

例えば、同じ振幅を実現できるエッジの構造でも、
16cm口径より、40cm口径の方が、エッジの占める面積は相対的に小さくなります。

[画像挿入]

さらに言えば、
大口径ユニットは小さな変位で、同じ量の空気を押し出すことができるので、
よりエッジは小さくすることができます。


以上のように、エッジと振動板の関係を考えると、
大口径ユニットが極めて有利に思えてきます。

しかし、まだまだ矛盾は続きまして、
大口径ウーハーにも避けがたい難点があるのです。


次回、続きを書こうと思います!

ウーハーの矛盾2

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ひのきスピーカー日誌【0010回】は、前回に引き続き「ウーハーの矛盾」がテーマです。

ウーハーに限らず、スピーカーの振動板は、
入力信号に対して忠実に動くべき、という考え方があります。

そうした思想に対して、「振動板の変形」は大きな阻害要因となります。




前回の記事では、ウーハーの「エッジ」に注目しては話をしました。

前回記事の要点は3つ。
・エッジは振動板の一部といえる。
・エッジのような柔らかい素材は、振動板として好ましくない。
・しかし、ウーハーが動くためにはエッジが必要。

これが、前回お話した「ウーハーの矛盾」です。
望ましくない構成要素であるエッジですが、構造上無くすことができないのです。


この影響を軽減するためには、
「振動板を大きくすることで、エッジの相対的な面積を減らす、のが良い。」
という結論に至りました。

   




さて、ここからが本日のお話です。
「振動板を大きくする」作戦、これも大きな難点を抱えているのです。

ここにスピーカーの断面図を用意しました。

 

スピーカーから音が出ると、その内部には強大な圧力変動が生じます。
(これは密閉型でもバスレフ型でも同じです)

  

この内圧の影響を受けて、エンクロージュアは振動します。

しかし問題は、この内圧が「ウーハーの振動板」にも加わっているということです。

内圧は、エンクロージュアと、ウーハーの振動板の
双方に平等に影響を及ぼします。

  

エンクロージュアは、厚い材料(主に木材)でできているために、かなり頑丈です。

その一方で、ウーハーの振動板はどうでしょう?
カタログでは強靭であると謳っていても、基本は紙一重です。

ウーハーの振動板は、入力信号に対して俊敏に動くことが求められるため、
剛性一辺倒で設計を進めることができない部品になります。




ここで、一つの仮説が生まれます。
「エンクロージュアに比べると、振動板は内圧に対しての弱点になるのではないか。」

上記の構造上の話からすれば、正しいように思えますが、
振動板には「電磁制動」がかかるという指摘もあるでしょう。



スピーカーがアンプに接続されると、スピーカーからの逆起電力をアンプが受け止めることで、振動板の制動がなされます。これは想像以上に強力で、この制動があるか無いかでスピーカーの特性は大きく変化します。

しかし、この電磁制動は最低域には有効でも、中高域には殆ど影響がありません。また、振動板が大きくなると、その制動が難しくなる傾向があります。
大口径の振動板が「雑味のある音」としばしば称されるのはそのためです。

そして、電磁制動が効かない振動板変形もあります。
非軸対称モードと呼ばれるもので、コーン型振動板の剛性が著しく低下する中低音域で発生する現象です。
(参考)「JAS Journal 2016 Vol.56 No.1」
http://www.jas-audio.or.jp/jas_cms/wp-content/uploads/2016/01/2016-084-092.pdf

周波数特性には表れにくい非軸対称モード共振ですが、聴感への影響は大きなものがあります。近年ではA&Cオーディオ社の島津氏が主張し、私も再現実験で聴感・測定共に確認できている現象です。
(参考)A&Cオーディオ「最新版・超硬振動板 その5 本当の問題点」
https://blog.goo.ne.jp/ac-audio/e/e02cefc45da8cdbc88de71907ee6d9e8


このように、電磁制動があるとはいえ、ウーハーの振動板に内圧がかかることは、
入力信号以外の振動・共振を生み、好ましくない結果を生み出してしまいます。


ちなみに、タンデム駆動と呼ばれる方法では、ウーハー振動板にかかる内圧を軽減することができます。しかし、構造上の特殊さ、2倍の数のウーハーユニットが必要なことから、総合的なコストパフォーマンスを考えると、その用途は限られてくるという印象です。




さて、今までの話をまとめると・・・

・エッジの面積を減らすために、振動板を大きくしたい。(前回のお話)

・振動板は、エンクロージャーと比べると内圧に弱い。

・振動板を小さくして、内圧の影響を軽減したい。

・小さな振動板で、同じ音量を出すには、振幅を増やす必要がある。

・振幅を増やすには、エッジを大きくする必要がある。


・・・結局エッジが大きくなってしまいました(笑)






さて、長々と続いてしまう「ウーハーの矛盾」。
次回は、その打開策について提案できればと思っています! お楽しみに!!








日本庭園から学ぶオーディオ

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ひのきスピーカー日誌【0011回】は、京都からお届けします!

今日は日本庭園で有名な京都 大原地区に行ってきまして、そこで受けた印象をもとにお話したいと思います。

(写真は宝泉院)


作り変えの美

日本庭園の基本的なモチーフは、哲学的な世界観だったり、広大な山水(風景)だったりすることが多いのですが、
そうした概念を巧みに庭に組み込んでいるんですよね。

「枯山水」はその代表で、砂で水のあり様を表現していると言われます。
水をそのまま持ってこれない街中では、この枯山水が多いかもしれません。

面白いのが、それが単なる代替手段でなく、巧みな技をもって作られることで、
新しい価値を生み出していること。

こうした「あえてリアルとは違う所で表現する」というやり方は、
盆栽だったり生花だったり、さらには漫画やアニメーションだったりと、
何かと日本のお家芸なのではないかと思っています。

これはオーディオにも通ずるところがあるのではないでしょうか。

生演奏と同じ音をオーディオで再現するのは素晴らしい技術ですが、
それとは別に、限られた条件(部屋の大きさや、音量)の中で、
いかに「音」という概念を表現するかも、とても大切なアプローチだと思います。

既に「盆栽オーディオ」「箱庭オーディオ」という言葉がありますが、
それが単なる縮小に留まらずに、独自の可能性・文化を育む土壌になるのではと考えています。

「和の感性」を研ぎ澄まして行く先に、
日本文化らしいオーディオ像が広がっているのではないかと思っています。



普遍性


(実光院)

日本庭園の文化は長く、数百年もしくはそれ以上の歴史があります。
長い年月と共に多少の変化はあれど、今もなお心惹かれる存在であるのは凄いことだと思います。

それに対して、オーディオはどうなのか。

ビジネスとして捉えるとオーディオ界はまさに千変万化。
DVDと共に注目された「マルチチャンネルオーディオ」は話題になることも少なくなり、
最近生まれた「ハイレゾ」すら新鮮味は少なくなりました。

技術や科学として捉えるのならば、常に進化があるべきで、
スピーカーの基礎技術が100年近く変わっていないことを問題視することもあります。

しかし、オーディオを「音を吟じる行い」として捉えるとどうでしょう。
自然にある音を、自身の力で再生(再構成)するのは、絵画に近い行いとも言えるかもしれません。

オーディオマニアはいつの時代も、自身の求める音と再生音のギャップに喜怒哀楽してきました。
100年近く前のWEの技術者だって、そうだったはずです。

時代が変われば、土台や背景が変わるのは間違いありません。
江戸時代の日本庭園は、重機を使って整地したり、インスタで拡散したりはしなかったはずです。

時代が移りゆく中で、変わるべきところは変わり、
変わることのない魅力がしっかりと継承されてきたのは、
その文化に尽力してきた方々の努力の賜物でしょう。

私はオーディフィルとして、スピーカーを製造販売する立場になりましたが、
オーディオの魅力をいかに普遍的なものとして解釈し、「今」に発信していくかは考えることがあります。

これからもオーディオが普遍的な魅力を放ち続けられることを、心から願うと共に、
精一杯頑張って参りたいと思います。









ウーハーの矛盾 (最終章)

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ひのきスピーカー日誌【0012回】は、連載している「ウーハーの矛盾」について考える最終章です。




議論の整理

ーーーー前回までの概要ーーーーー
【第一回】
・柔らかいエッジは、低音再生にとって必要悪。
・振動板を大きくすることで、エッジの面積を相対的に減らせる。

【第二回】
・エンクロージャー(箱)に比べると、ウーハーの振動板は軟弱。
・ウィークポイントである振動板は小さくしたい。
・音圧を稼ぐためには、振幅が必要。 大きなエッジが必要。
ーーーーーーーーーーーーーーー

こうして考えていくと、ウーハーは「大きい」のが良いのか、「小さい」のが良いのか、なかなか結論が難しいと言えます。どちらも短所長所があり、常に議論が平行線なのも頷けます。

特に第二回では、
「音圧を稼ぐためには、振幅が必要。(ゆえに、小口径にすると)大きなエッジが必要。」という結論に至りました。

しかし、よく考えてみると、
本当に「音圧を稼ぐ必要があるのか?」という疑問が出てきます。




耐入力を優先にせざるを得ない理由

メーカーの立場でいえば、お客様は様々な音圧で聴きますし、
オーディオショウのデモで出すような大音量にも対応する必要があります。

私も様々な家庭、特設会場でのオーディオを経験してきましたが、
環境やユーザーの好みによって、20dB程度の音圧差があると言っても過言ではありません。

80dB前後で済む一般家庭での環境。


100dB近い音量が必要とされるオーディオショウ



20dBの差を分かりやすく言うのであれば、同じ音楽を聴くにしても、1Wで済む場合と、100Wが必要な場合があるという事です。
それは、ウーハーの振幅、耐入力に直結します。

そうなるとメーカーは、100Wの使用環境に耐えられるよう製品を設計しなければなりません。十分な音量が出せなくては、クレームになってしまいますからね。

必要悪だと分かっている設計(大きなエッジ等)も、
耐入力向上のためには取り入れなくてはいけません。


しかし、1Wで済む人、一般家庭で90dB以下で音楽を楽しむ方にとっては、
その恩恵が享受できないばかりか、デメリットばかり被ることになってしまいます。

本当に「音圧を稼ぐ必要があるのか?」については、
改めて再考しないといけない部分だと、私は考えています。




ハイエンドに学ぶ、ウーハーシステム設計術

実は、この課題に対していち早く対応しているのがハイエンドオーディオです。

設計の自由度が大きいと思われるハイエンドの世界ですが、オーディオマニア層からラグジュアリー層まで、幅広く対応する製品を作らなければならない悩みがあるのです。

特にこの「音圧」問題。 ウーハーの想定耐入力をどこまで持たせればよいかは難しい問題でした。
少し前までは、38cmウーハー相当の口径が主流でしたが、この「ウーハーの矛盾」で述べたように、必要以上のウーハー面積は悪なのです。


そこで、近年出てきたのが、組み上げ式タイプ。
必要に応じてウーハーを増やしていくことができる構成です。

たとえば、HIRO ACOUSTIC社では、「MODEL-CCS(1,425万円)」をベースグレードとして、「MODEL-C4CS」「MODEL-C8CS」というウーハー筐体を増やした上位機種をラインナップしています。


「MODEL-CCS」


「MODEL-C4CS」


「MODEL-C8CS」

説明には、「基本となる音質に上下関係があるわけではありません。オーディオルームの広さなどユーザーの環境にマッチした機種をお選びいただくことで、HIROの性能は十分発揮することができるのです。」とあり、
小空間で使いやすい最高品位のウーハーシステムを作り、使用環境に応じてそれを増やしていくという考え方をしていることが分かります。


MARTEN社の例では、中堅のMingusシリーズ「Mingus Orchestra(2,500万円)」、上位のColtraneシリーズ「Coltrane Momento 2」が存在しています。


「Mingus Orchestra」


「Coltrane Momento 2」

この二機種はグレード差も含めての違いがありますが、ユニット構成としては、ツイーターとミッドレンジを共通とし、22cm口径のウーハーを4発もしくは6発と選べるようにして、使用環境に適合させています。


最近、日本への輸入が開始され注目されているaudionec社は、
evoシリーズとして、「モジュラースピーカー(modular speakers)」として、スピーカーを成長させることができることを特徴としています。



口径の違いもありますが、同じコンセプトで作られたウーハーを、使用環境に応じて自在に組み替えて使えるコンセプトになりますね。




最高品位を手の届く値段で

今回紹介した製品は、世界の最高峰といえるものですが、どれもかなりの高額です。

しかし、これらのコンセプトは非常に興味深く、
品位を極限まで高めたウーハーを、必要な音量・環境に応じて追加していくという考え方は、今まで議論してきた「ウーハーの矛盾」を打開する一つの可能性だといえるでしょう。


さて、もうお気づきかもしれませんが、
こうした「最高品位のウーハーを、必要な数だけ」というコンセプトを、手の届くお値段で実現したいと思って、既に動き始めています。

2021年には、何かしらの形としてお届けできるように頑張っておりますので、
今しばらくお待ち頂ければ幸いです!









最もウーハーに近い サブウーハー

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皆さんこんにちは。朝晩は冬の寒さを感じる気候になってきましたね。
暖かくして、オーディオを楽しみましょう♪


ここまで3回にわたって「ウーハーの矛盾」としてお届けしてきました。
その話の延長ではありますが、昨年から開発を続けているサブウーハー設計についてお話しようと思います。

(表題写真は、試作4号機)



サブウーハーというのは、低音の悩みを解決する効果的な手段ではあるのですが、
ピュアオーディオの目線では、どうしても物足りなさを感じてしまうのです。

それは、「低音の質感がメインスピーカーと合わない」から
ではないでしょうか?

私もサブウーハーを使用していた時期がありましたが、
どうしても低音の質感が合わず、挫折してしまいました。




世の中のサブウーハーを見てみると、
エッジを太くして「ロングストローク」であることを誇る製品が大多数です。



連載「ウーハーの矛盾」で説明した通り、
太いエッジというのは、必要悪なのです。



柔らかくて太いエッジというのは、
「高剛性」であるべき振動板とは相反する存在で、低音の質感を損なう原因になります。

今までも様々なスピーカーユニットを聴く機会がありましたが、
エッジの太いユニットから、質感に優れた低音が出てくる例はありませんでした。




エッジの話に加えて、
市販のサブウーハーが、ユニットの口径に対して小さすぎる箱に入っていることも問題だと考えています。




箱を小さくしていくと、
ウーハーのピストン運動に対して、箱内部の圧力変化が大きくなります。




その背圧がスピーカーユニットの特性を大きく変えてしまうことは、
市販スピーカーの説明では余り語られることはありません。


サブウーハーの中には、MFBなどの電子制御で
強制的に振動板を動かす方法もあります。

しかし、こうした強制的な駆動方法では、
振動板の剛性、箱の剛性、アンプの性能など、様々な所に負荷がかります。


爆発音などで巨大な音圧が要求される「映画用」。
質感と深みが要求される「音楽用」。

その【双方】に対応させるのであれば、上記のようなアプローチは間違っていないでしょう。

大手メーカーは、幅広い顧客をターゲットとして、数を販売しないといけません。
宣伝では音楽用と説明しつつも、映画用として使っても問題ないような設計が強いられるのです。


しかし、その動作・構造の特殊性から、
組み合わせるメインスピーカーに搭載されている
「普通のウーハー」と異なる音色になってしまう傾向があるようです。


ピュアオーディオでなかなかサブウーハーが受け入れられないのは、
こうした理由があるのではないかと思っています。





そこで、今回トライしているのが、
次のようなコンセプトのサブウーハーです。



ウーハーの口径は小さく。エッジは細く。
低音の俊敏さ・質感を最優先とします。

そして、大きな箱容量で、背圧を軽減。
入力信号に対してリニアに、軽やかに振動板が動ける設計とします。

従来のサブウーハーとは大きく違うコンセプトで、
自作派の作るフルレンジスピーカーに近いかもしれません。



試作を重ねる中で、かなり良い物が出来てきています。

ドラムのキックはもちろん、ベースギターの指の動きまで克明に分かる描写力には、
開発者の私自身が一番驚いています(笑)

次回以降は、その試作の過程をお話しようと思います。









[S-072]サブウーハー試作1号機

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心地よい秋晴れが続きますが、いかがお過ごしでしょうか。
今回は、サブウーハー試作の話を書こうと思います。



サブウーハーの試作を始めたのは、ちょうど1年前の秋。

小型スピーカーの下を補強するものが欲しいな~という漠然とした思いから、製作がスタートしました。


手持ちのスピーカーは、どれも6~10cm口径。
それらと低音のスピード感を合わせるために、サブウーハーとしては少し小さめの「16cm口径」として試作を始めました。

  

初期の試作なので、コンパネを使ってサッと作ります。
内部補強も、適当に入れてみました。

  

吸音材は、箱の中央付近に多めに入れ、
上下方向の定在波を防ぎます。






そして完成!

期待を胸に聴いてみたのですが、、、う~ん、今一つ。

ユニットは、フルレンジをベースに小改造を加えたのですが、その程度では「深く沈み込む低音」には至りませんでした。
低音の質としては悪くないのですが、期待していた「パワーのある低音が俊敏に出てくる」とは違う感じです。

あと、エンクロージャーも全くの強度不足。
多少の補強では、低音の音圧に負けてしまうことを学びました。




<余談>
実はこのユニット、FE166Enの改造版です。
振動板のセンターキャップを切り取り、【墨汁】を塗装してみました。


(塗装前)

墨汁塗装をしたFE166Enの中高音は非常にマイルド。
FEの弱点でもあるカリカリした表情は抑えられ、懐かしい質感のフルレンジを聴いている気分になります。

おそらく、ESコーンを構成するパルプ由来の補強成分が、墨汁(の水分)により一度崩され、内部損失が多いことを特徴とする「ノンプレスコーン」に近い素材に変化したのかもしれません。

ちょっと古典的でノスタルジックな音と、現代的な精密さを両立させたい時には、ちょうどよい手法になるかもしれません。




試作1号機ということで、だいぶ遊び要素のある内容になってしまいました。
失敗して当然、という声も聞こえてきそうです(笑)

しかし、普通のウーハーを使った作例に戻るのも面白くありません。
試作2号機では、「構造剛性」に注目した手法をトライしてみました。

次回の日記をお楽しみに!






[S-072] サブウーハー試作2号機(FE166Enの改造)

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皆さんこんにちは。今日は、サブウーハー連載の第2回目です。

前回は、一般的なフルレンジFostex FE166Enを使ったサブウーハーに挑戦してみましたが、再生音について限界を感じていました。


<試作1号機>Fostex FE166Enを使った密閉箱


市販のウーハーユニットを使うのも手ですが、今回はじっくりと実験を進めて、スピーカーユニットについての知見を深めてみようと思いました。




< 高忠実度再生の敵? 振動板の共振とは >

スピーカーの振動板(コーン)は、低音域では剛体として形を保ったままピストン運動をしますが、中高音域ではグニャグニャに変形しながら動く「分割振動」が起こることが知られています。


東陽テクニカ 「スピーカ計測・評価技術 / 第2回 スピーカの表面振動と音の伝播」
https://www.toyo.co.jp/mecha/casestudy/detail/id=13852


この分割振動は再生音の周波数特性を乱すことから、「ウーハーは分割振動が始まる前の帯域(Rigid body mode)を使用し、それ以上はネットワークでカットしましょう。」というのが一般的に知られています。




<新しい考え方? マッシヴな低音とは >

上記の定説に対して、異を唱えるのがA&Cオーディオ社の島津氏です。

島津氏は求める低音の姿を「マッシヴ」という言葉で表現。そして、その実現のためには、単に分割振動帯域を避けて使うだけでなく「コーンに釣鐘動変形を抑える様に補強を入れる」ことが重要と主張しています。

「最新版・超硬振動板 その5 本当の問題点」(2020年05月11日)
https://blog.goo.ne.jp/ac-audio/e/e02cefc45da8cdbc88de71907ee6d9e8


「マッシヴ」という言葉は、2013年のブログに初めて登場し、2014年の記事で詳細に説明をしています。
そこでは「コーンの高域共振周波数以下を、安易にピストンモーション域と言うべきではない」という記述がありますが、その原因については「コーン強度」という言葉で説明するに留まっています。

「展示システム紹介 131Aウーファー+T115Sトゥイーター」(2013年04月04日) ※9行目
https://blog.goo.ne.jp/ac-audio/e/f46d573d6c820ebc2d759747e9504105
「トライフォニック・プロジェクト開始」(2014年12月12日)
https://blog.goo.ne.jp/ac-audio/e/ea590402c9926027f4a3a95ac469c72f
「音離れとマッシヴ感」(2014年12月17日)
https://blog.goo.ne.jp/ac-audio/e/26e0b2b15cd4c2c06675c962869df814


低音質感向上のための施策として、「コーンボディがひしゃげない様につっかえ棒の様な役割を果たす」という方法を公開したのは2017年。単に振動板の強度を向上させるだけでなく、特定の変形を抑制することが大切ということのようです。

「ウーファー最新事情」(2017年08月31日)
https://blog.goo.ne.jp/ac-audio/e/c861c61f2e30f0e2cdd603a6ced87fa9



そして、最初に紹介した2020年の記事では、「釣鐘動変形」について明確に記述し、「コーンに釣鐘動変形を抑える様に補強を入れると、骨格のしっかりした音になる」というコメントをしています。

この「釣鐘動変形」については、次の章で説明していきます。




<「釣鐘動変形」をもたらす非軸対称モードの振動>

まず、振動板変形のイメージを図で描いてみました。
※ここからは、私、カノン5D独自の解釈が大いに含まれます。



一般的な振動板は、上下方向(青矢印)に対しては非常に高い強度をもっています。
それに対し、左右方向(赤矢印)に対しては非常に脆弱です。

実際に紙で模型をつくれば、その強度の差は分かりやすと思います。


このことは意外と古くから知られており、例えば、1971 年の三菱電機の中央研究所では、レーザーホログラムで振動板の振動状態を評価しています。そこでは「非軸対称モードの振動が発生」というコメントがなされ、ハニカム構造振動板の開発に至っています。


「JAS Journal 2016 Vol.56 No.1(1 月号) 【連載:Who’s Who ~オーディオのレジェンド~ 第 3 回】ダイヤトーンに生きる(その 2) 佐伯 多門」
http://www.jas-audio.or.jp/jas_cms/wp-content/uploads/2016/01/2016-084-092.pdf


最近の研究では、胡月氏の論文で固有値解析によるシミュレーション結果が報告されています。


「空気の粘性減衰がコーンスピーカの振動と音響特性に及ぼす影響に関する研究」 胡月 
https://www.sit.ac.jp/media/2017_02_ko.pdf

いずれにしても、一般的に知られているウーハーの高域共振(1kHz~5kHz)とは異なり、かなり低い周波数帯域(100~500Hz)で起こっている現象であることが分かります。このことは、先の島津氏の言及とも一致しています。




<いざ実践! FE166Enの魔改造 >

釣鐘動変形を抑え、リジッドな低音を目指すという方向性で、振動板を補強してみます。

使ったのは、竹串。イイ感じになるように木工ボンドで組み上げていきました。





見た目は、、、竪穴式住居っぽい?(笑)

とりあえず、特性を測ってみましょう。
密閉箱(試作1号機のを流用)に入れて、ユニット直前位置で周波数特性を測ります。


(補強前)


(補強後)

見た目のエグさとは裏腹に、違和感のない特性が得られました。
とりあえず、ユニットはこれでOKとしましょう。

次回は箱作りと、試聴です!









[S-072] サブウーハー試作2号機(箱製作と試聴記)

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サブウーハー、試作2号機の後編です。

画像左が、試作1号機。 画像右が試作2号機。




前回は12mm厚のコンパネでしたが、この試作2号機では18mm厚のMDF板を使って箱強度の向上を狙います。



補強構造もしっかりと作り込みます。
低音は特にエネルギーが大きいので、箱の剛性が解像度に直結してきます。



内部で定在波が発生しないように、吸音材は比較的多めに入れます。

これは個人的な感覚ですが、ユニットの個性に応じて吸音材の最適量は変わってくる印象がありますね。快活さが魅力の紙コーンのフルレンジであれば、吸音材はもっと少なめでも良いでしょう。




そして、完成!

 




中高域を「ひのきスピーカーConcept-SOLA」に担当させるように、クロスオーバーネットワークを作成しました。



コイル1つとコンデンサ1つを持つ、2次のネットワークを基本とした構成です。
クロスオーバー周波数は250Hzとして、パッシブネットワークにおける無理のない遮断特性を狙います。


(サブウーハー単体 軸上20cm 周波数特性)

クロスオーバー周波数の250Hzでー6dBとなる、スムーズな特性を作ることができました。低域の再生下限は、30Hz付近でしょうか。



(サブウーハー単体 ダクト直前 周波数特性)

ダクトは40Hz付近で共振しており、その上の周波数も癖は少なく、良好な特性です。




この試作2号機は、2019年12月に開催した「アニソンオーディオフェス2019冬」で鳴らすことができました。



構造剛性を強化したウーハーによる力強い低音。 ドラムやベースの音が図太く表現され、音楽としてのファンダメンタルを支えてくれます。

低音のダンピングとコントラストがはっきりしているため、巷にあるようなモヤついた低音とは一線を画しています。この辺は、構造剛性を強化したユニットのお蔭でしょう。

ご来場の方からも「この広い空間に全く負けてない余裕のある音ですね。これぞフロア型スピーカーって感じです。」という言葉を頂きました。 16cm口径でこのレベルの再生音が得られたのは、大きな収穫でした。




大成功の試作2号機でしたが、どうしても改善したいことが3点ありました。

①低域レンジの拡大
サブウーハーを称するのなら、20Hz台の低音から再生できるように作り込みたいところです。30Hz~40Hzは、音楽の最低域に相当する場所なので、そこの解像度の向上も課題です。

②汎用性の向上
試作2号機はパッシブネットワークなので、Concept-SOLAとのセットでしか使えません。一般的な市販サブウーハーのように、汎用性をもった活用方法ができるようにしたい所です。

③製造工程の簡略化
市販フルレンジを魔改造する手法は、非常に手間がかかってしまいます。もっと確実に量産できる方法を探さなくてはいけません。



まずは、「①低域レンジの拡大」に向けて、試行錯誤が続きます...













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