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[Stereo誌2012年8月号付録] 三つ折レゾナンス (測定編2)

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聴感上好結果の「三つ折レゾナンス」ですが、
思ったような共鳴特性が得られなかったので、
その解明にあたります。

共鳴管の開口部からマイクを投入して、
管内部での周波数特性を測ってみました。



<クリックで拡大>

データは沢山とってあるのですが、とりあえず代表的なものを。

まずは、上面開口部から投入!

<A>(開口部)


<B>


<C>


一番分かりやすいのは、<C>の場所でしょうか。
85Hzにピークをもつ共鳴が起こっていることが分かります。

そこから開口部<A>に向かうにつれて、ピーク&ディップは減少傾向です。

おそらく、ユニットから第一折り返し地点までの長さ(90cm)で共鳴が起きており、
折り返し地点で「空振り」してしまったのでしょう。


<クリックで拡大>


次に、底面開口部<F>からマイクを投入します。

<F>(開口部)


<E>


<D>


今度は、端っこの<D>は目だった凹凸のない特性ですが、
<E>や<F>のように、浅いところで、大きなディップが確認できました。

しかし、このディップの解釈が難しく、
下記の解釈も、半信半疑ではあります。

おそらく、<E>の180Hz付近にあるディップは、
折り返した後の音道(本機では真ん中の音道)の長さ135?の、
三倍振動によるものではないかと考えています。

つまり、180°ターン部分を音波がスムーズに抜けられず、
振動の節として動作したのでは?と考えています。

その結果、開口部に向けて3倍振動が発生。
その腹となる部分では、ディップとして測定された…と。


<クリックで拡大>



この両者の比較は、BH設計で問題となる
「90°折り返し」vs「180°折り返し」
に通じるところがあると考えています。

私達は、つい90°折り返しの方が
流体抵抗が少ないように感じてしまうのですが、

実際は、急に広大な空間に放出されるような挙動になってしまい、
音波として伝わりにくいのではないかと考えています。


<クリックで拡大>

一方で、180°ターンは、
ギュッと圧縮される感じ、やや通りにくいために「節」として共鳴を招きがちですが、
そのお陰で、次の音道への伝播が効率よく行われるのかもしれません。



こうして解釈すると、長岡先生の作例
「エスカルゴ」
が非常に低音不足であったというのは納得のいくものです。

90°ターンの連続のエスカルゴは、
低音の伝播としては最悪だったのでしょう。

一方、「スワン」は、180°ターンの音道が繰り返される形状で、
作例は大変低音量感に優れるものでした。


まだまだ少ない測定データからの類推でしかないのですが、
面白い考察ができると思います。

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