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ひのきスピーカー設計 ~第三世代~①

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オーディフィルは「ひのき材」を使ってスピーカーを作っていますが、その設計は年々進歩しています。

単にひのき材を使うだけだった「第一世代」、アルミ部材で強度向上を試みた「第二世代」。そして、今回紹介するのが、最新作SOLA Mk2の「第三世代」になります。



第二世代と第三世代の違い

トップに掲載した画像は、第二世代と第三世代の内部構造を比較したものです。ぱっと見て、内部構造が全体的に変わっていることが分かりますでしょうか。


<第二世代>Concept-SOLA(2019年発売)の内部構造


従来の「第二世代」は、スピーカーの側面板と水平にフィンランドバーチの板を通し、その間をアルミ部材でつなげる構造でした。
強度向上には大きな効果がありましたが、最大音量に近い領域では少し問題がありました。



こちらの図の左に示すように、音量が大きくなりスピーカー内部からの応力が強まったとき、第二世代の構造では「青矢印」で書いた「よじれる」ような変形が発生し、アルミ補強部材の効果が薄れてしまうことがありました。

Concept-SOLAは、口径6cmの小さなウーハーを搭載しており、そもそも大音量を想定するスピーカーではなかったのですが、第二世代としての箱の性能に限界があったのは事実です。SOLA Mk2でさらに上の性能を狙うためには、もう一工夫が必要でした。


そこで第三世代では、側面板の上下方向にアルミ部材を配し、それをサンドイッチするように別のアルミ部材で左右をつないでいます。

この構造であれば、内圧が上がっても "よじれる"ような変形はなく、十分な強度を保つことができるのではないかと考えました。


<第三世代>SOLA Mk2(2022年6月発売)の内部構造





強度と響きの両立

ひのきスピーカーにとって、ひのき材由来の「響き」も大切な要素です。
「強度」を上げることで「響き」を失わないか、細心の注意が必要でした。

これは、第二世代、第三世代の箱を、上から見た図で示すと分かりやすいと思います。


第二世代では、アルミ部材を乗せるための(濃いオレンジ色で図示した)フィンランドバーチ板が、ベッタリとひのき板に貼り付けられています。一見頑強そうに見えますが、先に述べたような "よじれ"問題により、強度はそこまで高くなりません。

第三世代では、これをアルミ板1本だけで済ませているので、残る部分はフリーに振動することができます。

板全体をフリーに振動させてしまうと中低域のボンついた箱鳴りになってしまうのですが、第三世代の構造であれば振動できる面積は限られているので、中高域の美味しい響きだけを享受することができるのです。ギターの弦を短く押させて弾くと、高い音が出せるのと同じ原理です。


第三世代ひのきスピーカー「SOLA Mk2」の製作の様子





音への効果、まとめ

以上のように、最新作SOLA Mk2の「第三世代」ひのきスピーカーは、新しい補強構造を採用しています。

最大音量付近での音のキレ、低音の力感が向上しただけでなく、ひのきの響きが最大限に生かされることで、音の粒立ちや純度感が、小音量でも向上したのが大きな収穫でした。

オーケストラを聴いているとき、コントラバスの旋律がハッキリと描写されるようになったと言えば良いでしょうか。JAZZでもベーシストの手の動きがはっきりと見える良さが出てきました。

アニソンやJ-POPSでは、打ち込み音源がパチッと決まる様子が快感です。
艶やかで優しい音は、以前からの「ひのきの響き」の特長でしたが、そこに力強さや瑞々しさが加わったのが、この第三世代エンクロージュアの効果だと思っています。


実は、第三世代にはもう一つ工夫が施されています。
そのことは、次回の日記で書こうと思います。




ひのきスピーカー「SOLA Mk2」の詳細はこちら。







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