(写真)SOLA Mk2の試作機とメインシステム
いよいよ春を感じることが多くなりましたでしょうか。
ひのきスピーカー「SOLA Mk2」は<試作機>が完成し、
さらに各部の精度を上げた<製品ver.>の組み立てに入っています。
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さて、スピーカー用材料には様々なものがありまして、
それぞれ特徴があります。
木の響きによる「音質」はもちろん、
「加工」や「塗装」のしやすさなども、選択するうえで重要なファクターになります。
ここでは、ざっくりとした区分に基づいて、
各材料の特長を書いていこうと思います。
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MDF
最も有名な材料ですね。
20年以上前は、パーティクルボードも多かったのですが、より目が密なMDFにスピーカー市場は置き換わっています。
何といっても、寸法安定性や加工のしやすさは抜群。
さらに、そのコストの低さも魅力です。
音質も、言うほど悪くありません。
(今までずっと無垢材のメリットを連呼しておきながら言うのも、何ですが...笑)
なぜかというと、確かにホームセンターで買ってきた材料をそのまま聞くとイマイチなのですが、
MDFには塗料を沢山吸い込む性質もあって、塗装されたMDFはまた別の音を聴かせてくれるためです。
響きの傾向は、低音と高音が強調されたドンシャリだというと安っぽく感じますが、
木材っぽくない音で、キッチリとした音作りには良い材料だったりします。
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ラワン合板
自作スピーカー派の人にとってはお馴染みの板材です。
主に南洋のラワン材を積層した合板で、密度と硬さを併せ持つのが特徴です。
近年はラワンに近い見た目をもつ他の木材も原材料に含まれており、
同じラワン合板といえど、比重が安定しない印象があります。
音は暖色系で、ふっくらとした質感が魅力。
他の板材に比べると雑味を感じますが、これもまた一興。
建築用途で使われる「コンパネ」は、もう少し硬い響き。若干カンカンした音が気になることも。
また「針葉樹合板」は、逆に柔らかくモッサリとした音に感じることが多いですね。
こちらは激安であることに加え、ダイナミックな木目を生かした使い方を心掛けたいものです。
もう少し上質なものでは、表面にシナ材を貼った「シナ合板」もあります。
こちらは、比較的素直な音で使いやすいですね。
ただ、値段も高めなので、それだけの値段をかけられるなら「フィンランドバーチ」を使いたくなることも多かったりします。
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フィンランドバーチ(樺)合板
自作スピーカー派だけでなく、一部の市販高級スピーカーにも使われています。
硬い樺の木材を積層した合板で、
入手しやすい木材の中では最強クラスの硬度があるのではないでしょうか。
表面、断面ともに整っており、見た目の美しさがあります。
合板の中では高価ですが、無垢材と比べると安く、
コストパフォーマンスは良好だと思います。
響きも合板の中では良質ですが、
その硬度に由来する甲高い響きが気になることもあります。
この響きを "ハイスピードな音" と称するこもあるようなので、
その辺は好みの問題かもしれません。
また、響きが良いだけに合板構造特融の<籠り感>も気になってきます。
まあ、無垢の樺と比較しなければ気になることは無いレベルなので、先ほど述べたようにコストパフォーマンスに優れる材料だと言えます。
なお「ブナ合板」もあり、こちらはよりHi-Fi調。
透明度が高くワイドレンジで、MDFと方向性が近いと思います。
ただ、ボーカルのサ行が刺さりやすい傾向があるので、使いこなしには注意が必要です。
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米松合板
ビンテージ派にとって知名度の高い合板です。
WE等の名機も、この材料で作られていました。
直接聴き比べた経験はないのですが、カラッとした音の響きがあるような気がします。
(完成品を聴いているだけなので、何とも言えませんが...)
ちなみに、ホームセンターで見かける「パイン(松)集成材」も、
サッパリとした高音域が特徴で、同じ松らしい特徴を感じることができます。
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無垢材(木材)
樹種により大きく特徴や音質が異なりますが、
音ヌケの良さは共通する特徴です。
音ヌケが良いとは、音が籠らずに、音の切れ目がスッと美しく立ち消える様子が聴けるということ。木材固有の道管の構造による、振動伝搬特性ゆえの特長だと考えています。
一方で、樹種よる材料の癖(音色だけでなく、加工や塗装も)はそれぞれが持っており、その癖とどう向き合うかが、スピーカーとして成功するかのカギになります。
単に「〇〇材で作りました!」というだけの話であれば、
その材料の音が再生音に乗るだけです。
それでは、過度に彩度を強調した写真のように、
すぐに飽きてしまいます。
何年、何十年も音楽を聴くためのスピーカーとしての音を出すには、
樹種固有の癖を巧みに消化する、知識と技術が求められるでしょう。
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樹脂・ポリマー材料
いわゆるプラスチック素材なので、あまり高品位な印象を持たれませんが、
ハイエンドスピーカーでの採用例もでてきました。
人工素材で、物性も多種多様なので一概には言えませんが、
癖のなさは随一といっても良いでしょう。
ポリプロピレン(PP)などは古くから振動板に使われますし、
独自ポリマー素材のインシュレーターも定番商品として存在しています。
また、小口径フルレンジのフレームに樹脂材料が使われることもあるので、
強度をもつ構造に成型できれば、侮り難い材料だといえるでしょう。
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金属
金属でいえば、アルミ系素材が一番人気。その次は、鉄系・銅系素材でしょうか。
現代では強度シミュレーションや加工技術、制振技術が進化し、
その非常に高い強度や硬度の恩恵を享受しながらも、
かつてのように盛大に金属音が鳴るような筐体は無くなりました。
重量や工作技術のハードルはありますが、
使いこなすことができれば、強い武器になるアイテムです。
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こうして見てきましたが、
どの材料も特徴的なんですよね。
ここでは分かりやすいように書きましたが、
「スピーカーの音に対する材料の支配力」としては、
感覚的に言って10~15%程度ではないでしょうか。
ただ、その小さな違いが、高品位スピーカーの中では埋められない差になったりするので、
決して侮ることができないポイントでもあります。
次回は、「ひのき無垢材の使いこなし」として、
新たに導入した補強技術のことについてお話ししようと思います。
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ひのきスピーカー「SOLA Mk2」の詳細はこちら。
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ひのきスピーカー「SOLA Mk2」は<試作機>が完成し、
さらに各部の精度を上げた<製品ver.>の組み立てに入っています。
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さて、スピーカー用材料には様々なものがありまして、
それぞれ特徴があります。
木の響きによる「音質」はもちろん、
「加工」や「塗装」のしやすさなども、選択するうえで重要なファクターになります。
ここでは、ざっくりとした区分に基づいて、
各材料の特長を書いていこうと思います。
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MDF
最も有名な材料ですね。
20年以上前は、パーティクルボードも多かったのですが、より目が密なMDFにスピーカー市場は置き換わっています。
何といっても、寸法安定性や加工のしやすさは抜群。
さらに、そのコストの低さも魅力です。
音質も、言うほど悪くありません。
(今までずっと無垢材のメリットを連呼しておきながら言うのも、何ですが...笑)
なぜかというと、確かにホームセンターで買ってきた材料をそのまま聞くとイマイチなのですが、
MDFには塗料を沢山吸い込む性質もあって、塗装されたMDFはまた別の音を聴かせてくれるためです。
響きの傾向は、低音と高音が強調されたドンシャリだというと安っぽく感じますが、
木材っぽくない音で、キッチリとした音作りには良い材料だったりします。
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ラワン合板
自作スピーカー派の人にとってはお馴染みの板材です。
主に南洋のラワン材を積層した合板で、密度と硬さを併せ持つのが特徴です。
近年はラワンに近い見た目をもつ他の木材も原材料に含まれており、
同じラワン合板といえど、比重が安定しない印象があります。
音は暖色系で、ふっくらとした質感が魅力。
他の板材に比べると雑味を感じますが、これもまた一興。
建築用途で使われる「コンパネ」は、もう少し硬い響き。若干カンカンした音が気になることも。
また「針葉樹合板」は、逆に柔らかくモッサリとした音に感じることが多いですね。
こちらは激安であることに加え、ダイナミックな木目を生かした使い方を心掛けたいものです。
もう少し上質なものでは、表面にシナ材を貼った「シナ合板」もあります。
こちらは、比較的素直な音で使いやすいですね。
ただ、値段も高めなので、それだけの値段をかけられるなら「フィンランドバーチ」を使いたくなることも多かったりします。
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フィンランドバーチ(樺)合板
自作スピーカー派だけでなく、一部の市販高級スピーカーにも使われています。
硬い樺の木材を積層した合板で、
入手しやすい木材の中では最強クラスの硬度があるのではないでしょうか。
表面、断面ともに整っており、見た目の美しさがあります。
合板の中では高価ですが、無垢材と比べると安く、
コストパフォーマンスは良好だと思います。
響きも合板の中では良質ですが、
その硬度に由来する甲高い響きが気になることもあります。
この響きを "ハイスピードな音" と称するこもあるようなので、
その辺は好みの問題かもしれません。
また、響きが良いだけに合板構造特融の<籠り感>も気になってきます。
まあ、無垢の樺と比較しなければ気になることは無いレベルなので、先ほど述べたようにコストパフォーマンスに優れる材料だと言えます。
なお「ブナ合板」もあり、こちらはよりHi-Fi調。
透明度が高くワイドレンジで、MDFと方向性が近いと思います。
ただ、ボーカルのサ行が刺さりやすい傾向があるので、使いこなしには注意が必要です。
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米松合板
ビンテージ派にとって知名度の高い合板です。
WE等の名機も、この材料で作られていました。
直接聴き比べた経験はないのですが、カラッとした音の響きがあるような気がします。
(完成品を聴いているだけなので、何とも言えませんが...)
ちなみに、ホームセンターで見かける「パイン(松)集成材」も、
サッパリとした高音域が特徴で、同じ松らしい特徴を感じることができます。
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無垢材(木材)
樹種により大きく特徴や音質が異なりますが、
音ヌケの良さは共通する特徴です。
音ヌケが良いとは、音が籠らずに、音の切れ目がスッと美しく立ち消える様子が聴けるということ。木材固有の道管の構造による、振動伝搬特性ゆえの特長だと考えています。
一方で、樹種よる材料の癖(音色だけでなく、加工や塗装も)はそれぞれが持っており、その癖とどう向き合うかが、スピーカーとして成功するかのカギになります。
単に「〇〇材で作りました!」というだけの話であれば、
その材料の音が再生音に乗るだけです。
それでは、過度に彩度を強調した写真のように、
すぐに飽きてしまいます。
何年、何十年も音楽を聴くためのスピーカーとしての音を出すには、
樹種固有の癖を巧みに消化する、知識と技術が求められるでしょう。
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樹脂・ポリマー材料
いわゆるプラスチック素材なので、あまり高品位な印象を持たれませんが、
ハイエンドスピーカーでの採用例もでてきました。
人工素材で、物性も多種多様なので一概には言えませんが、
癖のなさは随一といっても良いでしょう。
ポリプロピレン(PP)などは古くから振動板に使われますし、
独自ポリマー素材のインシュレーターも定番商品として存在しています。
また、小口径フルレンジのフレームに樹脂材料が使われることもあるので、
強度をもつ構造に成型できれば、侮り難い材料だといえるでしょう。
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金属
金属でいえば、アルミ系素材が一番人気。その次は、鉄系・銅系素材でしょうか。
現代では強度シミュレーションや加工技術、制振技術が進化し、
その非常に高い強度や硬度の恩恵を享受しながらも、
かつてのように盛大に金属音が鳴るような筐体は無くなりました。
重量や工作技術のハードルはありますが、
使いこなすことができれば、強い武器になるアイテムです。
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こうして見てきましたが、
どの材料も特徴的なんですよね。
ここでは分かりやすいように書きましたが、
「スピーカーの音に対する材料の支配力」としては、
感覚的に言って10~15%程度ではないでしょうか。
ただ、その小さな違いが、高品位スピーカーの中では埋められない差になったりするので、
決して侮ることができないポイントでもあります。
次回は、「ひのき無垢材の使いこなし」として、
新たに導入した補強技術のことについてお話ししようと思います。
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