皆さんこんにちは。
今日は、最新のスピーカー測定についてお話しようと思います。
最新と言っても、何か特別なことをする訳ではなく、よく知られている周波数特性の延長でのお話です。
こちらはFOSTEXのGX100BJというスピーカーの取り扱い説明書に記載されている周波数特性です。大半のスピーカーがこうしたグラフ表記がない中、データをしっかりと表示するFOSTEXの姿勢は素晴らしいと思います。
さて、これはおそらく軸上1mの距離で測定された結果なのですが、実際のリスニングルームでは下図のように様々な方向に放射された音を合算して聞いています。
もちろん直接音(=軸上特性)も聴いているのですが、それ以外に軸上以外の方向に放射されている音も耳に入ってくるのが注目すべきポイントです。
従来もメーカーの開発では、軸上特性以外のデータを収集することがあったと思いますが、その解釈に統一的な理論はありませんでした。
しかしながら、米国ハーマン社(JBLやInfinityなどを束ねる企業)のトール博士の基礎研究により、軸外特性の解釈の仕方が明らかになってきました。
さらに、2015年には同氏の研究成果に基づく「スピノラマ」と称される測定手法が、米国家電協会CEAの「家庭用スピーカーの標準測定法(CEA-2034)」に登録されたことが話題になりつつあります。
「スピノラマ」では、次のような5本の周波数特性をグラフ化します。
①On Axis(軸上)
②Listening Window(リスニングウィンドウ)
③Early Reflctions(初期反射)
④Sound Power(音響パワー)
⑤Directivity Index(DI値)
それぞれの詳細は割愛しますが、軸外への音放射を合算した特性が凹凸がなく滑らかであることを、より好ましいとします。
この考え方がどこまで家庭用高級スピーカーに応用できるかは難しいところですが、業務用モニタースピーカーでは本評価方法を重視して設計したと思われる製品が散見されるようになってきました。
スピーカーを作る立場として、こうした潮流は注視していこうと思っています。
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最新スピーカー測定技術「スピノラマ」 http://www.audifill.com/essay/eng/0_09.html
fin.