自作スピーカーの恒例行事、ミューズの方舟主催「スピーカーコンテスト2014」の紹介です。
会場は、中小企業センター。今年も100名近いお客様がいらしてくれました。
今回のSPコンテストのレギュレーションは、「Scanspeak 10F/8424G00 または 10F/8422-03(Stereo誌2012年8月号付録) 一発」です。
ScanSpeakは、普段聞きなれないメーカーですが、
SONYの「SS-AR1」や、ソナスファベールの「クレモナ」など、
高級スピーカーにユニットを供給しているメーカーです。
(※ユニット外観からの推測であり、事実確認はしておりません。)
レギュレーションでは、
「10F/8424G00(定価3~4万円/ペア程度)」
「10F/8422-03(定価3千円/ペア程度、雑誌込み)」
のどちらかを選ぶことになり、その選択も一つのポイントとなります!
このブログでは、「10F/8424G00(市販)」「10F/8422-03(付録)」として、
使用ユニットの紹介をしていこうと思います。
さて、今回も10名の出品者が力作を持ち寄ってくださったので、
順に紹介していこうと思います。
まず、トップバッターは井上さんの「デュール・ムー」。「10F/8424G00(市販)」搭載。
フランス語の「デュール(硬い)」と「ムー(柔らかい)」を組み合わせてのネーミングです。
まず、素材が金属で作られていることに目がいきます。
旋盤加工により作製された金属パーツは、非常に高精度であることが分かります。
これらのパーツは、林鐵工所さん、野方電機工業さんに作製を依頼したとのこと。一個単位のオーダーに応じて下さるので、スピーカーだけでなく、「自作インシュレーター」などの製作依頼なども、良いかもしれませんね。
重量は、約15kgとのことで、10cm口径のスピーカーとしては驚愕の値です。
精緻な金属部分といい、海外ハイエンドスピーカーの「MAGICO」を連想させます。
内部には、真鍮のデッドマス(7kg!)が搭載されており、
ユニットの不要振動を抑え込み、濁りのない音を狙った設計です。
ネットワークはPST回路(0.22μF, 1.5mH, 15Ω)を使用したりなど、こだわりの逸品であることが伺えます。
さて、試聴では、生楽器をメインにいくつかの音源を聴くことができました。
ギターは、弦を弾く「コリッ」とした質感が印象的で、金属エンクロージュアの密度感が伝わってきます。
採用ユニットの「10F/8424G00(市販)」の強力ない磁気回路も、そのような個性を後押ししてくれたのでしょう。
特に印象的だったのは、JAZZのライヴ録音で、シンバルや金管の響きが最高にキレが良いのです。
(ベタな言葉ですが、)シンバルは金属粉が舞うように輝き、トランペットにはスポットライトが当たったかのごとく鮮烈な響きで、非常に好ましいと感じました。
低音は、密閉型ではあるもののPST回路や本体重量の効果もあって、内容量2Lというサイズを感じさせないものでした。
さて、二番手は田中さんの「ラミ弐号」。「10F/8424G00(市販)」搭載。
私はエヴァンゲリオンの「ラミエル」や「弐号機」からのネーミングだと思ったのですが、ご本人は全くそのような意図はないとのことです(笑)
積層(ラミネート)エンクロージュアであることや、同系列の2台目の発表作品であることに由来するネーミングであるとのことでした。
印象的な透明バッフルは、アクリル樹脂(ガラス色)を用いたもので、
ダークブラウンの本体と相まって、美しい仕上がりです。
採用ユニット「10F/8424G00(市販)」の特徴でもある大径ネオジムマグネットが外から見えるのも、個人的にGOODです。
内部空間は円柱状であり、非常に高剛性な作りとなっているのは、田中さんの設計思想に基づくものだと思います。
内容量は、2.9Lに設定し、Qocを0.5程度にもっていく基本に忠実な設計方針ですね。
ダクトは、内部に「捻り」のある仕切りを設けた「スパイラルダクト」としています。あまり作例は見ないのですが、バスレフ特有のクセを低減するとともに、ブロードな低音再生をもららすものです。
各種ネジには、皿ネジ+ローゼットワッシャーを使用し、各部パーツを強固に取り付けていました。
共通の課題曲の「ショスタコーヴィチ 交響曲5番」では、低音こそ控えめですが、適切な箱容積のおかげで、切れ味やスピード感を感じさせる音が楽曲の良さを引き立てています。
テノールやハーモニカは、やや硬さがあるものの、嫌な付帯音は皆無であり、抑揚が大きく聞こえるのが印象的でした。やもすると単調に鳴ることもある市販スピーカーとは大きく異なる音調で、自作スピーカーの醍醐味を感じさせます。
JAZZやPOPSは押し出しの良さを感じさせ、これも高剛性エンクロージュアの恩恵だと想像しています。リズミカルに弾むドラムの表現は、音楽のノリの良さを際立たせていました。
さて、お二方の作品を紹介しましたが、
投票では、双方とも「ルックス票」を多く獲得されていました。
(田中さんは、19票で「ルックス賞」。井上さんは、18票)
どちらも美しい仕上がりで、部屋に置いておきたいスピーカーです!
さて、次回は創意工夫に富んだ3作品を紹介しようと思います。
会場は、中小企業センター。今年も100名近いお客様がいらしてくれました。
今回のSPコンテストのレギュレーションは、「Scanspeak 10F/8424G00 または 10F/8422-03(Stereo誌2012年8月号付録) 一発」です。
ScanSpeakは、普段聞きなれないメーカーですが、
SONYの「SS-AR1」や、ソナスファベールの「クレモナ」など、
高級スピーカーにユニットを供給しているメーカーです。
(※ユニット外観からの推測であり、事実確認はしておりません。)
レギュレーションでは、
「10F/8424G00(定価3~4万円/ペア程度)」
「10F/8422-03(定価3千円/ペア程度、雑誌込み)」
のどちらかを選ぶことになり、その選択も一つのポイントとなります!
このブログでは、「10F/8424G00(市販)」「10F/8422-03(付録)」として、
使用ユニットの紹介をしていこうと思います。
さて、今回も10名の出品者が力作を持ち寄ってくださったので、
順に紹介していこうと思います。
まず、トップバッターは井上さんの「デュール・ムー」。「10F/8424G00(市販)」搭載。
フランス語の「デュール(硬い)」と「ムー(柔らかい)」を組み合わせてのネーミングです。
まず、素材が金属で作られていることに目がいきます。
旋盤加工により作製された金属パーツは、非常に高精度であることが分かります。
これらのパーツは、林鐵工所さん、野方電機工業さんに作製を依頼したとのこと。一個単位のオーダーに応じて下さるので、スピーカーだけでなく、「自作インシュレーター」などの製作依頼なども、良いかもしれませんね。
重量は、約15kgとのことで、10cm口径のスピーカーとしては驚愕の値です。
精緻な金属部分といい、海外ハイエンドスピーカーの「MAGICO」を連想させます。
内部には、真鍮のデッドマス(7kg!)が搭載されており、
ユニットの不要振動を抑え込み、濁りのない音を狙った設計です。
ネットワークはPST回路(0.22μF, 1.5mH, 15Ω)を使用したりなど、こだわりの逸品であることが伺えます。
さて、試聴では、生楽器をメインにいくつかの音源を聴くことができました。
ギターは、弦を弾く「コリッ」とした質感が印象的で、金属エンクロージュアの密度感が伝わってきます。
採用ユニットの「10F/8424G00(市販)」の強力ない磁気回路も、そのような個性を後押ししてくれたのでしょう。
特に印象的だったのは、JAZZのライヴ録音で、シンバルや金管の響きが最高にキレが良いのです。
(ベタな言葉ですが、)シンバルは金属粉が舞うように輝き、トランペットにはスポットライトが当たったかのごとく鮮烈な響きで、非常に好ましいと感じました。
低音は、密閉型ではあるもののPST回路や本体重量の効果もあって、内容量2Lというサイズを感じさせないものでした。
さて、二番手は田中さんの「ラミ弐号」。「10F/8424G00(市販)」搭載。
私はエヴァンゲリオンの「ラミエル」や「弐号機」からのネーミングだと思ったのですが、ご本人は全くそのような意図はないとのことです(笑)
積層(ラミネート)エンクロージュアであることや、同系列の2台目の発表作品であることに由来するネーミングであるとのことでした。
印象的な透明バッフルは、アクリル樹脂(ガラス色)を用いたもので、
ダークブラウンの本体と相まって、美しい仕上がりです。
採用ユニット「10F/8424G00(市販)」の特徴でもある大径ネオジムマグネットが外から見えるのも、個人的にGOODです。
内部空間は円柱状であり、非常に高剛性な作りとなっているのは、田中さんの設計思想に基づくものだと思います。
内容量は、2.9Lに設定し、Qocを0.5程度にもっていく基本に忠実な設計方針ですね。
ダクトは、内部に「捻り」のある仕切りを設けた「スパイラルダクト」としています。あまり作例は見ないのですが、バスレフ特有のクセを低減するとともに、ブロードな低音再生をもららすものです。
各種ネジには、皿ネジ+ローゼットワッシャーを使用し、各部パーツを強固に取り付けていました。
共通の課題曲の「ショスタコーヴィチ 交響曲5番」では、低音こそ控えめですが、適切な箱容積のおかげで、切れ味やスピード感を感じさせる音が楽曲の良さを引き立てています。
テノールやハーモニカは、やや硬さがあるものの、嫌な付帯音は皆無であり、抑揚が大きく聞こえるのが印象的でした。やもすると単調に鳴ることもある市販スピーカーとは大きく異なる音調で、自作スピーカーの醍醐味を感じさせます。
JAZZやPOPSは押し出しの良さを感じさせ、これも高剛性エンクロージュアの恩恵だと想像しています。リズミカルに弾むドラムの表現は、音楽のノリの良さを際立たせていました。
さて、お二方の作品を紹介しましたが、
投票では、双方とも「ルックス票」を多く獲得されていました。
(田中さんは、19票で「ルックス賞」。井上さんは、18票)
どちらも美しい仕上がりで、部屋に置いておきたいスピーカーです!
さて、次回は創意工夫に富んだ3作品を紹介しようと思います。