今年の1月に入って、マイペースに新型SPの作製を進めているカノン5Dです。
今回作製する「S-041」は、バックロードホーン型です!
バックロードホーン型を作製するのは、1年半ぶりでしょうか。
久々の作例になるので、今までのノウハウを最大限に生かして作製しようと思います。
今までの作例(S-001〜S-040)は、下記ページにまとめてありますので、
作品番号と対応させながら、BH設計のポイントを解説していこうと思います。
http://kanon5d.web.fc2.com/audio/souzou/souzou_top_2.html
?ホーンの長さ
一般的には長い方がよいと言われますが、私は全く同意しません。2mもあれば、重低音域まで十分に再生が可能だと考えています。むしろ、長いホーン長は遅い低音につながり、無暗にながくすべきではないのです。
(参考:S-013,S-019など)
?空気室容量
これは、ホーンをどこまで制御するかに関わってくると考えています。
ホーンは、「駆動」と「制動」の双方が必要で、この度合を決めるのが空気室容量になるのだと思います。
これが小さすぎると、音色感は良いのですが、中音〜中低音だけが張り出すような音になってしまいます。一方で、(スロート断面積が大きいのにも関わらず)空気室容量が大きいと、中低音不足の迫力や生気がない音になってしまったり、ホーンの付帯音が抑えられないスピーカーになってしまいます。
(参考:S-014)
この「制動」に注目しても、もどこまで必要かケースバイケースなのではないかと思います。(空気室を小さくして)ホーンを制動すれば、中低音のピークは抑えられると思いますが、共鳴によって得られている最低域の伸びは減少すると考えられます。この辺はまだまだ私にとって未知の領域ですね。
よく空気室容量の調整で、木片や小石を空気室に投入する方法がありますが、これらは吸音材や反響材、制振材としての効果も含んでしまい、空気室容量の差異を把握するのは難しいのでは?と思います。
<↓ 14.02.02追記>
?+α スロート断面積
スロート断面積は、ホーンの起点となる部分で、ここが変わるとホーン全体のサイズも変わってくる…という最重要ポイントです。
経験上では、以下の長岡先生の経験式でも大体あっていると感じています。
fx=10×S0/Va
(長岡先生はfx=100〜300を推奨。作例は200〜250が多い。)
S0:スロート断面積[cm2]
Va:空気室容量[L]
長岡先生は、fxをホーンのクロス周波数(高域再生上限)としていましたが、実際はそれほど明白にハイカットがされる訳ではありません。
ただ、スロートを大きくしたり、空気室容量を小さくすると、中低域がリッチなサウンドになるなるのは経験済みです。長岡氏の経験式は、ある程度は参考になると感じています。
そこで、S0は、とりあえず振動板面積の0.8倍となる適当な値に設定して設計を進めるのが良いと思っています。
<↑ 14.02.02追記>
?空気室の形状、スロート位置
空気室の役割として、ユニットから出た音をホーンに流し込むことがあると考えています。
ユニットは最高の「共鳴駆動装置」であると共に、電磁制動による最高の「吸音材」でもあるのです。よく、スロートに吸音材を投じてホーンの共鳴を抑える手法がとられますが、吸音材に比べ、(中〜低音域では)スピーカーユニットの制動力は遥かに強力だと思うのです。
結論として、ユニットはスロートの近くにする。スロートからの空気の流れをスムーズにするような空気室形状が好ましい。と考えています。
(参考:S-020,S-013など)
?吸音材の配置
ホーンの中にも適量の吸音材は必要だと思っています。ホーンの両端(スロートや開口部)に吸音材を設置すると、低音の迫力感を失いやすいです。
お勧めは、ホーンの中間位置や、ホーンの折り返し部などでしょうか。この部分は完成してからだと手が付けられないので厄介ですね。
(参考:S-017,S-019など)
?ホーンの形状
基本的にはエクスポネンシャル曲線で構成されるものが好ましいです。この基本形状は厳守したほうが良いのですが、開口部はあまり広げすぎないほうが重低音量感に有利なようです。
(参考:S-004,S-005,S-010,S-013など。)
バックロードホーンにおける低音の「量感」と「伸び」はトレードオフです。魔法も奇跡もありません。
この割合を決めるのは、ホーンの広がり率です。0.9〜0.7程度の中で選び、0.8前後の値が好ましいでしょう。なお、広がりが急(広がり率が大きい)のほうが量感重視です。
(参考:S-017,S-018など)
※「広がり率」については、下記ページ参照。
http://kanon5d.web.fc2.com/audio/kouza16.html
ホーンは無理に曲線で構成する必要はなく、むしろ階段状のほうが重低音量感は出しやすいのです。20〜30cmごとに広げていくのが良さそうです。
(参考:S-022など)
?ホーンの取り回し
まず、断面積は正方形がベストです。扁平率が高くなると、重低音量感が著しく減少してしまいます。特にスロート部は影響を受けやすいので、縦横比が1:2以下の扁平形状にならないようにしたいですね。
ホーンの折り曲げ方は、180°のみで構成すべきです。90°の折り曲げは、低音量感を大きく損なうようです。
折り曲げ部は、滑らかにつながるよう「斜め板」の設置が共鳴音防止に効果的だといえます。この「斜め板」の効果は絶大で、ホーホーといった不快な共鳴音を-10dB程度減少できると感じています。
(参考:S-018,S-020〜022など)
ホーンの折り曲げ回数は、多くても問題ないようですが、基本的には少ないほう(1〜2回)が良いでしょう。
?開口部の位置
開口部の位置は、案外複雑な問題だと思っています。
よく言われるのが、「前向き」か「後ろ向き」かの問題。スワンのように後ろ向きの場合、低音量感は確保しやすいのですが、壁の影響を受けやすく設置による影響を受けやすいと感じています。
私のおすすめは、断然「前向き」で、壁の影響を受けにくく、扱いやすさが魅力です。たまに前向きだと中低音の付帯音が聞こえやすい…とか言われますが、そもそも付帯音のあるホーンは開口部がどちらに向けようと付帯音を減らすのは困難です。
さらに、上部に開口部を設置する際は、開口部が揺れないようにするのもポイントです。
ホーンから出てくる音は「大面積・小振幅」であり、バスレフのような「小面積・大振幅」に比べ、本体の揺れの影響を受けやすいのでは?と考えています。
SP本体は、ユニットの振動をうけて前後に揺れるものです。この影響から逃れるには、開口部を上面・底面に設けるか、左右対称(2箇所)に配置して振動をキャンセルする必要があると考えています。
長々と書いてしまいましたが、果たしてどこまで本当かは分かりません。
これからの作例で、少しづつ明らかにしていければと思います。
今回作製する「S-041」は、バックロードホーン型です!
バックロードホーン型を作製するのは、1年半ぶりでしょうか。
久々の作例になるので、今までのノウハウを最大限に生かして作製しようと思います。
今までの作例(S-001〜S-040)は、下記ページにまとめてありますので、
作品番号と対応させながら、BH設計のポイントを解説していこうと思います。
http://kanon5d.web.fc2.com/audio/souzou/souzou_top_2.html
?ホーンの長さ
一般的には長い方がよいと言われますが、私は全く同意しません。2mもあれば、重低音域まで十分に再生が可能だと考えています。むしろ、長いホーン長は遅い低音につながり、無暗にながくすべきではないのです。
(参考:S-013,S-019など)
?空気室容量
これは、ホーンをどこまで制御するかに関わってくると考えています。
ホーンは、「駆動」と「制動」の双方が必要で、この度合を決めるのが空気室容量になるのだと思います。
これが小さすぎると、音色感は良いのですが、中音〜中低音だけが張り出すような音になってしまいます。一方で、(スロート断面積が大きいのにも関わらず)空気室容量が大きいと、中低音不足の迫力や生気がない音になってしまったり、ホーンの付帯音が抑えられないスピーカーになってしまいます。
(参考:S-014)
この「制動」に注目しても、もどこまで必要かケースバイケースなのではないかと思います。(空気室を小さくして)ホーンを制動すれば、中低音のピークは抑えられると思いますが、共鳴によって得られている最低域の伸びは減少すると考えられます。この辺はまだまだ私にとって未知の領域ですね。
よく空気室容量の調整で、木片や小石を空気室に投入する方法がありますが、これらは吸音材や反響材、制振材としての効果も含んでしまい、空気室容量の差異を把握するのは難しいのでは?と思います。
<↓ 14.02.02追記>
?+α スロート断面積
スロート断面積は、ホーンの起点となる部分で、ここが変わるとホーン全体のサイズも変わってくる…という最重要ポイントです。
経験上では、以下の長岡先生の経験式でも大体あっていると感じています。
fx=10×S0/Va
(長岡先生はfx=100〜300を推奨。作例は200〜250が多い。)
S0:スロート断面積[cm2]
Va:空気室容量[L]
長岡先生は、fxをホーンのクロス周波数(高域再生上限)としていましたが、実際はそれほど明白にハイカットがされる訳ではありません。
ただ、スロートを大きくしたり、空気室容量を小さくすると、中低域がリッチなサウンドになるなるのは経験済みです。長岡氏の経験式は、ある程度は参考になると感じています。
そこで、S0は、とりあえず振動板面積の0.8倍となる適当な値に設定して設計を進めるのが良いと思っています。
<↑ 14.02.02追記>
?空気室の形状、スロート位置
空気室の役割として、ユニットから出た音をホーンに流し込むことがあると考えています。
ユニットは最高の「共鳴駆動装置」であると共に、電磁制動による最高の「吸音材」でもあるのです。よく、スロートに吸音材を投じてホーンの共鳴を抑える手法がとられますが、吸音材に比べ、(中〜低音域では)スピーカーユニットの制動力は遥かに強力だと思うのです。
結論として、ユニットはスロートの近くにする。スロートからの空気の流れをスムーズにするような空気室形状が好ましい。と考えています。
(参考:S-020,S-013など)
?吸音材の配置
ホーンの中にも適量の吸音材は必要だと思っています。ホーンの両端(スロートや開口部)に吸音材を設置すると、低音の迫力感を失いやすいです。
お勧めは、ホーンの中間位置や、ホーンの折り返し部などでしょうか。この部分は完成してからだと手が付けられないので厄介ですね。
(参考:S-017,S-019など)
?ホーンの形状
基本的にはエクスポネンシャル曲線で構成されるものが好ましいです。この基本形状は厳守したほうが良いのですが、開口部はあまり広げすぎないほうが重低音量感に有利なようです。
(参考:S-004,S-005,S-010,S-013など。)
バックロードホーンにおける低音の「量感」と「伸び」はトレードオフです。魔法も奇跡もありません。
この割合を決めるのは、ホーンの広がり率です。0.9〜0.7程度の中で選び、0.8前後の値が好ましいでしょう。なお、広がりが急(広がり率が大きい)のほうが量感重視です。
(参考:S-017,S-018など)
※「広がり率」については、下記ページ参照。
http://kanon5d.web.fc2.com/audio/kouza16.html
ホーンは無理に曲線で構成する必要はなく、むしろ階段状のほうが重低音量感は出しやすいのです。20〜30cmごとに広げていくのが良さそうです。
(参考:S-022など)
?ホーンの取り回し
まず、断面積は正方形がベストです。扁平率が高くなると、重低音量感が著しく減少してしまいます。特にスロート部は影響を受けやすいので、縦横比が1:2以下の扁平形状にならないようにしたいですね。
ホーンの折り曲げ方は、180°のみで構成すべきです。90°の折り曲げは、低音量感を大きく損なうようです。
折り曲げ部は、滑らかにつながるよう「斜め板」の設置が共鳴音防止に効果的だといえます。この「斜め板」の効果は絶大で、ホーホーといった不快な共鳴音を-10dB程度減少できると感じています。
(参考:S-018,S-020〜022など)
ホーンの折り曲げ回数は、多くても問題ないようですが、基本的には少ないほう(1〜2回)が良いでしょう。
?開口部の位置
開口部の位置は、案外複雑な問題だと思っています。
よく言われるのが、「前向き」か「後ろ向き」かの問題。スワンのように後ろ向きの場合、低音量感は確保しやすいのですが、壁の影響を受けやすく設置による影響を受けやすいと感じています。
私のおすすめは、断然「前向き」で、壁の影響を受けにくく、扱いやすさが魅力です。たまに前向きだと中低音の付帯音が聞こえやすい…とか言われますが、そもそも付帯音のあるホーンは開口部がどちらに向けようと付帯音を減らすのは困難です。
さらに、上部に開口部を設置する際は、開口部が揺れないようにするのもポイントです。
ホーンから出てくる音は「大面積・小振幅」であり、バスレフのような「小面積・大振幅」に比べ、本体の揺れの影響を受けやすいのでは?と考えています。
SP本体は、ユニットの振動をうけて前後に揺れるものです。この影響から逃れるには、開口部を上面・底面に設けるか、左右対称(2箇所)に配置して振動をキャンセルする必要があると考えています。
長々と書いてしまいましたが、果たしてどこまで本当かは分かりません。
これからの作例で、少しづつ明らかにしていければと思います。