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第5回 Parcサウンド鑑賞会(後編)

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さて、後編のスタートです。

ひでじさん の作品は、今回唯一のコアキシャルタイプ「C172PP」。


直前まで微調整を重ねたというネットワークは、
ウーハーをフルレンジ駆動+PST回路を用いたもの。
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さらに、箱の角を綺麗に落としてあり、音の回折効果や箱強度への対策もバッチリです。
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まず一聴して伸びやかなサウンドで、特に女性ボーカルは魅力的です。
箱設計は普通のバスレフ型ながら、17cmユニットから深みのある低音を引き出すことに成功していました。

ホテフカルフォルニアは、誇張されることなく、ナチュラルな楽器表現が感じられ、音楽としての深みを感じさせるサウンドです。メロディラインの音色もよく、観客の歓声もどことなく色彩感豊か。これは箱構造とネットワークのお蔭なのでしょう。



お次は、Daphnisさんの3way。


側面に17cmのウーハーを構え、同じケブラーの10cmミッドウーハーを支える設計となっているようです。



流石の3wayで、低音も大型機らしいものです。
オーケストラは細かい情報を伝え、グランカッサもしっかりとした表現ができていました。
40Hz台の音が出せることで、100Hz付近を必要以上に厚くする必要がないために、スッキリとした重低音ながらバランスがとれていました。この辺は大型機ならではのチューニングだと思います。

バイオリンとチェンバロでは、ケブラーのmidレンジから出てくる濃く・実体感のあるサウンドが印象的でした。チェンバロの捉え方(鳴らし方)は人それぞれですが、本作からは誇張感のない自然な佇まいの音が出ていました。3wayはネットワーク設計などが大変なのですが、それを見事にこなしていることに感心です。



いよいよ終盤に近くなり、S.O.さんの「3Dシステム」の登場です。


木目調の仕上げの中高域部に、FOSTEXのFW208Nを採用したサブウーハーが加わります。
サブウーハーとは100Hzでクロスされ、自作のチャンデバで18dB/oct.でつながっています。
製作記事



まず、中高音部だけ聴くと、しっかりとしたバスレフ型の設計となっていることが分かります。80Hz付近まで厚みのある音圧が確保され、比較しなければ「これだけでも十分では?」という声も聞こえてきそうです。

さらにサブウーハーをアドオンすると(中高音部は密閉型へチェンジ)、極めてワイドレンジなシステムが完成します。色づけを殆ど感じさせないサウンドで、ホーン型であるFT-96Hの音もシームレスにつながっているのには驚きました。
鬼太鼓座などのデモもありましたが、20cmウーハーの威力は凄かったですね。



そして、Takeさんの3wayシステム。


midとHighは、昨年のものを流用。
今年は、17cmウーハーDCU-171PPを二発使用した低音部が加わりました。
製作記事

左右に設けたユニットは、金属でガッチリと固定され、
内部背圧の影響を受けにくい、円筒形のエンクロージュアで支持されます。


中高音部は、昨年同様の美しい流線型。これが良い音へのポイントだとか。
家具屋で購入した材料とのことでしたが、現在は入手困難!?


流石の本格派3wayシステムだけあって、輪郭のハッキリとしたサウンド。大音量でも全く滲むことなく、耳あたりも良いのです。パーカッション系であっても、長岡系D-58と比較しうるサウンドに驚きました。
女性JAZZボーカルでは、リアリティが高く、良い意味でモニターライクな音調です。クラッシックもエネルギー感に富み、大型スピーカーらしさを感じると共に、中低域の滲みや低域のモタつきは皆無なのは見事でした。



さて、この後はParcAUDIOの富家さんからの、センターキャップの比較試聴があり、
ラストの発表としてA&Cオーディオ島津氏(Hippoさん)の3wayシステム(開発中)の紹介がありました。



特徴としては、Midレンジ(DCU-F121P)に後面解放構造を使用しており、いわゆる「音離れ」を重視した設計となっているということ。
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実際に聴くと、クラッシックなど広い音場感が感じられ、狭い部屋であっても豊かなサウンドを楽しむことができるシステムになっています。MidレンジのDCU-F121Pは、フルレンジで使用すると癖っぽい音が多少あるのですが、今回はツイーターが付属することで自然なレンジの拡大を実現していました。

本作は10cmウーハー×2発なので、一般的な家庭の部屋サイズで能力を発揮できる、むしろ使いやすい故に高音質を狙いやすいシステムになっていると感じました。セット販売での特別価格も予定しているとのことで、お得な商品になりそうですね。



毎年恒例のParcサウンド鑑賞会も、これで終了。
今年はとくにレベルが高く、ParcAudioのユニットを上手く使いこなしている作品が多かったと感じました。また来年も期待したいですね!






ツインテール (2015年 塩ビ管オフ会持参ネタ)

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塩ビ管オフ会も、いよいよ明日ですね。
オフ会で初披露のネタを紹介します。

まず、使用前後の写真から。

before


after



もうちょっと寄ると・・・
(いや、寄らなくても分かると思いますがw)




名付けて「ツインテール」です。


そういえば、そんなアニメがあったような・・・



外見と名称は完全にネタですが、
中身は結構マジメな一品です。

このパーツを裏返してみると、
このように塩ビ管が配置されています。



お気づきかと思いますが、この配列、
日東紡エンジニアリングの「シルヴァン」を模したものです。



また、江川先生がスピーカー周囲に拡散物を置くと音が良くなる・・・ということから、
「グリーンディフューザー」を提案していましたが、本作もその延長にある(ことを狙いとした)ものです。


「江川工房で観葉植物。」




効果は、小口径フルレンジっぽい「ひ弱さ」「線の細さ」が消え、濃く実体感のある音になると共に、スピーカーからの音離れが向上します。特に、女性ボーカルやソロ・アコースティック楽器などに効果絶大ですね。

実際の効果は、塩ビ管OFF会で聴いていただければと思います!
(後日、Youtube配信もできるかな?)

集まれ塩ビ管スピーカー・関東オフ会2015

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先日行われた「集まれ塩ビ管スピーカー・関東オフ会2015」の様子を書こうと思います。

私が持参したのは、「スワン・ザ・バスレフ」。
主催の たてちゅうさん のご協力もあり、動画で発表の様子を見ることができます! ぜひご覧ください♪


Youtube 「集まれ塩ビ管スピーカー関東オフ会2015」カノン5Dさん



当日は、私も含めて10名の発表がありました。
写真と、動画へのリンクで簡単に紹介しようと思います!

たてちゅうさんの作品。シャア専用機に相応しいルックスとサウンド!

Youtube 「集まれ塩ビ管スピーカー関東オフ会2015」たてちゅう

なーおさんの作品。爽やかカラーリングと、スパイラルダクトの重低音は必聴です!

Youtube「集まれ塩ビ管スピーカー関東オフ会2015」なーおさん


KO球さんの作品。変幻自在のフォルムから出てくる、生々しいサウンド!

Youtube「集まれ塩ビ管スピーカー関東オフ会2015」KO球さん


長野さんの作品。塩ビ管はスピーカーだけでない!(自作フルートです)

Youtube「集まれ塩ビ管スピーカー関東オフ会2015」長野さん


KentaroKumagaiさんの作品。独創的な「Linkwitz LAB」思想を具現化!

Youtube「集まれ塩ビ管スピーカー関東オフ会2015」KentaroKumagaiさん


古舘さんの作品。見事な仕上げのスピーカーから出てくるのは、正統派HiFiサウンド!

Youtube 関東オフ会2015 古舘さん1
Youtube 関東オフ会2015 古舘さん2


kenbeさんの作品。堂々たるサウンドは、正に圧巻!

Youtube「集まれ塩ビ管スピーカー関東オフ会2015」kenbeさん


mebiusさんの作品。銀色のボディ&サウンドは、受賞の貫禄がありました!

Youtube「集まれ塩ビ管スピーカー関東オフ会2015」mebiusさん


コニさんの作品。スーパーツイーターとサブウーハーで強化した「ベイダー」!

Youtube「集まれ塩ビ管スピーカー関東オフ会2015」コニ さん



どの作品も、創意工夫に満ちていてとても参考になるOFF会でした♪

[S-046] 試聴と測定

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スピーカーには、二種類のスピーカーしかない。
一つはバックロードホーン型のスピーカーで、もう一つはその他のスピーカーだ。

と、意味の分からないことを書いてしまいましたが、
今回完成した「S-046」は、正に純然たるバックロードホーンの音を奏でてくれたのです。


ちょうど1ヶ月前の日記に、「製作編」を書いたS-046は、
FOSTEXの誇る(?)、強力フルレンジユニット「FE126E」を搭載しています。

今回は、そんなS-046の試聴&測定編です。




まず驚かされるのが、全域に溢れる描写力。
普通のスピーカーが細く細かい線を重ねていくような描写だとしたら、こちらは極太の筆でグイグイ描いていくような感じです。

ゲリーカーのコントラバスは、コントラバスとは思えない色っぽい音色・演奏で知られていますが、このスピーカーで聴くと如何に彼が情熱的に弾いているかが手に取るように分かるのです。
強力な磁気回路に支えられた、高能率フルレンジ(実際は96dB/Wぐらいか)からは、演奏の微細な動きや表情が、克明に伝わってくるのです。

さらに、パーカッション系の楽曲では、この長所がさらに際立ちます。ほぼ音階が無いパーカッションに対しても、この溢れるダイナミクスによって演奏の旨みが引き出されていきます。

こうした特徴は、正に「長岡系」スピーカーで語り尽くされたところかと思います。
S-046は、綿密なホーン設計のお蔭か、中低域の癖が皆無であることも書き加えておきたいですね。

そして、アニソンなども好ましく聴かせる、懐の広さが本作にあると言ってよいでしょう。
駆動系のチューニングはもちろん、「不用意に硬い箱にしないこと」など適度な緩さが、様々な録音への許容力を生み出しているのだと考えています。


んじゃあ、欠点は無いのかというと、、、
致命的な欠点として、「低域不足」なのです。。。

確かに、グランカッサの超低域まで伸びているし、全域に渡る表現力も見事なものです。
しかし、確実に低音量感が足りてないのです。

耳が馴染めば意外と気にならないのですが、聴き始めて数曲は低音不足を感じてしまいます。
重心の高さにつながるような低音不足ではないのは幸いですが、ちょうど150Hz付近の低音量感として感じるところに薄さがあるようです。



さて、そんな感想を抱いたS-046ですが、測定結果のほうはどうでしょうか?

<軸上1m>



<ダクト近傍>



<ユニット直前>



あー、見なけりゃ良かったorz という、これまた典型的な低音不足の特性です。

ただ、本作の周波数特性は、失敗したバックロードホーン型にありがちな「200Hzから急降下」とは少し異なり、300Hz付近からダラダラと下がっていくタイプです。
これは、全体的のホーンの効きが弱く、音響迷路に近い動作となっていためと思われます。

ユニット直前特性を見ると、40Hzや90Hz付近に大きなディップ(共鳴の発生)が確認され、2.2mのホーン長は、多少は効果があったようです。


<インピーダンス特性>



70Hz~150Hz付近が最も大きく、その左右に小さなピークがある形です。

一般的なバックロードホーン型では、200Hz付近にも大きなピークが確認されるはずですが、本作はそれが抑えられています。聴感上でも、付帯音の少ないスムーズな中低域が得られたことは、これと無関係ではないでしょう。

この独特なインピーダンス特性の要因としては、特有のホーン構造が原因と思われますが、具体的な原因は定かではありません。今後注目していきたいポイントですね。





超強力ユニット「FE126E」と戦う! と称して始まったこの「S-046」製作ですが、
どうやらこの辺で幕引きのようです。

ちなみに勝敗は、引き分けでしょうか。
FE126Eの持ち味を(部分的には)引き出すことはできたものの、好みの低音には程遠いものでした。聴感上では、S-046のホーンを楽勝でドライヴしているFE126Eなので、まだまだ引き出せる余地がありそうですね。

[S-046] S-046×FOSTEX FE126E [動画]

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さて、ここ何回かに渡って書いてきた「S-046」こと、FOSTEXのFE126Eを搭載したバックロードホーン。

いよいよラストの今回は、動画でそのサウンドを確認したいと思います。

S 046×FOSTEX FE126E


動画中盤では、ズシンとくる重低音のある曲を収録しています。
40Hzが再生可能なS-046×FE126Eの実力をご堪能ください♪

後半では、比較用としてB&WのDM601S2の音も入っています。
典型的な長岡派vs市販スピーカーという構図になっていると思います。

さきに言い訳しておくと、動画だと全体バランスに耳が行きがちなのですが、
音の表現力や、エネルギー感といった部分では、「S-046」が圧勝しています!(と信じたいw)



さて、FE126Eで遊んでいる傍らで、
FE103Solを搭載した「S-044」が、改造を経て驚くべき変化を遂げた(?)という出来事がありました。

なので、次回はその事について書こうと思います!

[S-044] 角落とし

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春の自作スピーカーイベントでは、
毎年新しい出会いがあるものです。

今年の注目は、「角落とし」。

ここでも。


ここでも。


音の良いスピーカーには、角が無いのです。
(いや、昨年から角はなかったと思いますがww)


ただ、問題はその作り方。
聞いても聴いても?、やはり答えは「丸のこ」。。。

(イメージです)

自分の技量がないこと以前に、
集合住宅で使える代物ではありません。


そこで、やってみました。
「手のこ」で。



用意したのは、よくあるノコギリ。
使いやすい刃渡りが短い(15cm~20cm)ものを選びました。

ただ、下のノコギリ(柄が白いほう)は使えませんでした。
理由は、刃を支える部品の長さです。



何と言いますか、
角を落とす作業をするのに、この部品が邪魔になるのです。
(薄板なら問題ないのですが、長い切断面を切るには邪魔になるのです。)

そういう訳で、選ぶときには参考に。


んで、出来ました。


我ながら上々の出来栄えです。
コツとしては、「しっかり見て」「軽い力で」「焦らず」やることでしょうか。

まあ、こんな風に失敗することもありますが、
別に個人で使う分には問題ないでしょう。




見た目以上に、
音質も大幅upです。

特に、高域は激変で、
同じスピーカーとは思えないほどです。

高域は繊細で、広がり感に富み、
しっかりとした粒立ちで聴かせます。

スピーカーを斜めから聴くと、
指向性が広くなったように感じます。(厳密な比較ではありませんが。)


これを聴いてしまうと、全てのスピーカーの角を落としたくなりますね。


そこで、現在のカノン5D宅には、
S-044(FE103Sol)とS-046(FE126E)の二本体制となりました。



うん、良い眺めです!

[S-044] FOSTEX FE103Solの搭載

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今となってはFOSTEXのFE103Solを装着しているS-044ですが、
日記には、Stereo誌の付録ユニットを搭載していた昨年の11月以降、あまり書いてきませんでした。

[S-044] バックロードバスレフ2作目の設計
[S-044] バックロードバスレフとホーンの構造
[S-044] 空気室容量違い





S-044の特徴は、広がり率1.8というバックロードホーンとしては非常に急な広がりをもつホーンです。
当初「バックロードバスレフ型」を意図して設計したために、このような構造になっているのです。



「ScanSpeak付録ユニット×バックロードバスレフ」としては失敗したS-044ですが、
FOSTEXのFE103Solを搭載して、普通のバックロードホーンとして使ったら?というアイディアが生まれてきました。
(実際は、立派な集成材で作ったために、捨てるのが忍びなかったのですw)



さて、先ほどバックロードバスレフという話も出てきたので、
ホーンの開口部に一工夫してみます。



適当に1/3ぐらいのホーン開口面積となるよう、蓋を作ってみました。
グラフで表すと、こんな感じ。




まず、塞ぎ板がないノーマルの状態で試聴。
意外にもマトモな音がでてきてビックリ。ただ、よく聞くと広がり率が急すぎる故のボンつきや、重低音帯域の不足感などが感じられました。


そこで、開口部へ塞ぎ板を設置。
ぐっと重低音が出てくるようになり、ボンつきも減少傾向に。
これはこれで良さそうな感じです。


そんなことから、この「S-044×FE103Sol」は半年近くメインシステムとして使われることになりました。



次回は、周波数特性やインピーダンス特性で、
ダクト塞ぎの効果を確認してみようと思います。

[S-044] バックロードホーンのホーン塞ぎ効果

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前回に引き続き、S-044の話です。
ホーンの開口部を塞ぐことで、音質の調整が可能・・・というところが注目です。

------S-044 基本スペック---------
空気室容量 2.7L
スロート断面積 45cm2
スロート絞り率 90%
ホーン広がり率 1.4
ホーン長さ 1.4m
ホーン開口面積 460cm2 (塞ぎver.→150cm2)
---------------------------------

今回は、そのホーン塞ぎ効果を測定で確認してみようと思います。

まずは、軸上1mの周波数特性から。

<ホーン塞ぎなし>


<ホーン塞ぎあり>


低音域に細かなピークディップがあるのはバックロードホーン特有のものですね。
どちらも、100Hz前後を境として低下。低音下限は、甘く見ても80hzがギリギリでしょうか。数値的には物足りない低域特性ですが、通常型の10cmフルレンジ×バックロードで無理なく引き出せる範疇といったところです。そもそもバックロードホーンは、低音質感を引き出せる分、低音下限を伸ばすのには向いていないのです。

ホーンを塞ぐことで、120Hzや300Hz付近のピークが若干ブロードになっています。
むしろ、それ以外は殆ど変化ありません。ダクトの共振が上手くダンプされており、この程度の塞ぎ方では「バスレフになる」ということは無いようです。


次に、ダクト開口部の周波数特性です。
<ホーン塞ぎなし>


<ホーン塞ぎあり>


正直、殆ど違いは分かりませんね。
ホーンに蓋をすることは、ホーン内部の音響効果を変えるのではなく、
ホーンからの放射効率をコントロールすることがキモなのでしょうか。


ユニット直前の周波数特性はこちら。
<ホーン塞ぎなし>


<ホーン塞ぎあり>


こちらは、65Hzと140Hzにディップが確認できます。
65Hzは、1.4mのホーン長の1倍振動に相当するものです。

本来、片開口管(長岡式「ネッシー」など)であれば、1倍振動の次にはその3倍の周波数での共振である、3倍振動が現れるはずですが、
バックロードホーンは、ホーンが広がりをもっているために基音の2倍に共鳴が現れることが多いのです。
本作も例外ではなく、約140Hzにディップ(共鳴点)が確認できました。

ホーン塞ぎの有無では、殆どホーン開口部の周波数特性に変化はありません。
若干「塞ぎあり」のほうがディップが深く見えますが、その辺は測定誤差の範疇でしょうか。




ラストは、インピーダンス特性です。



こうして重ねあわせてみると、若干共振点が下にずれていることが分かります。
よく言われるように、開口部を塞ぐことで、(開口端補正などの効果で)ホーン長が疑似的に伸びたのでしょう。

今回は、ホーン長がきわめて短いバックロードホーンだったために、共振点は2つのみが確認されました。
一見しただけでは、ダブルバスレフと違いが分からないインピーダンス特性ですが、この辺がバスレフ向けユニットともいえるFE103Solにマッチしたのかもしれません。


ここでは、このS-044にFE103Solを取り付けた場合の実験を書いてきました。
では、他のユニットを取り付けたらどうなるか? 次回以降に書いてみようと思います。

[S-044] ユニット交換 Fostex FE103Sol→FE126E

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S-044は、stereo誌の10cmScanSpeakからFOSTEXのFE103Solへと変えて、
純粋なバックロードホーンとして生まれ変わりました。

では、そのユニットをFE126Eへ変えてみるとどうなるか、確認してみます。

FE103Solは、FE103Enの限定verとして発売されましたが、聴感上もスペック上もバスレフ向けユニットとして進化したものです。
一方で、FE126Eは(現在FE126Enとなりましたが、)完全なるバックロードホーン向けユニットです。

スペックを比較するとこんな感じ。

--------------------------------------
実効振動半径 4.0cm(103Sol)→4.6cm(126E)
最低共振周波数 85Hz(103Sol)→70Hz(126E)
出力音圧レベル 90dB/W(103Sol)→93dB/W(126E)
m02.5g(103Sol)→2.9g(126E)
Q00.44(103Sol)→0.25(126E)
マグネット重量 226g(103Sol)→440g(126E)
-------------------------------------


入れ替えると、こんな感じですね。





試聴は、「ダクト塞ぎ」状態で行いました。
まずは、壁から1mほど離してのフリースタンディング状態で聴いてみます。

FE126Eの磁気回路の強さが全面に出てきています。
ギター曲は、しっかりとしたエネルギーを感じさせ、それでいて自然さが確保できいます。三味線は腰があり、朗々と鳴り、口径の利点を感じさせます。
ホーン鳴きは良く抑えられ、チェロ曲も違和感はありません。

ソプラノは12cmフルレンジには厳しく硬さが目立ちますが、発音は明瞭です。
ただユニットが強力になった分、低域150Hz以下は薄手で、ハイ上がりです。FE103Solで聞こえていたオルガンは聞こえませんし、和太鼓の地響きは全くありません。


より現実的な状態として、壁際に寄せて試聴してみると、200Hz付近に自然な厚みが出てきます。
しかし、肝心な80Hz以下が出てくる感じではなく、重低音の増強は確認できませんでした。

バイオリンは柔らかい響きに変化します。決してレンジが伸びるわけではありませんが、バランスの変化という点はセッティング変更は重要なポイントとなりそうです。



ユニットが大口径化したところで低音が出るわけではない、これがバックロードホーンの難しいところかもしれません。
次回は、周波数特性とインピーダンス特性からユニットの違いを把握してみようと思います。

[S-044] 周波数特性&インピーダンス特性(FE103Sol→FE126E)

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さて、FostexのFE103SolからFE126Eに交換したS-044ですが、
今回はデータからその違いを確認してみようと思います。

なお、測定は試聴と同じく「ダクト塞ぎver.」で行っています。


では、さっそく軸上1mの周波数特性から。
<FE103Sol>


<FE126E>



ざっと見ると、FE103Solのほうがハイ上がりに見えますが、聴感上ではその逆でした。この辺は、データ解釈の難しさかもしれません。

さて、本題に戻ります。
低域特性を見てみると、ハッキリとした違いが見れます。

FE103Solで確認された200Hz付近のピークは、FE126Eではすっかり消えています。
その一方で、FE103Solにある100Hz付近の太く立派なピークは、126Eでは細々としたものになってしまっています。

全体的な帯域バランスとしては大差ないように見えますが、こうした低域の小さな変化は聴感と一致するものかもしれません。



では、次はダクト開口部の周波数特性です。
<FE103Sol>


<FE126E>



こちらは明らかに違いますね。
FE103Solは、100Hz以下がストンと落ちてしまうのに対し、FE126Eは100Hz以下がダラダラと続きます。やはりQ0の違いはこういったところに出てくるのですね。

しかし、軸上1mの特性を見てみると、双方とも大して変わりません。
ホーン長が短く、かつ開口部とユニットが近いS-044では、たとえQ0が小さいFE126Eがホーンから最低域を放出していても、ユニット前面からの音と干渉し打ち消されてしまうのでしょう。

そして、注目は100Hz付近のピークです。
FE103Solはクッキリとピークが見えるのに対し、FE126Eはややブロードなものになっています。この辺は、FE126Eの制動力が垣間見れるところかもしれません。まあ、この箱では制動力が弱く、適度に共鳴を稼げたFE103Solのほうが好結果となっていますが。


では、ユニット直前での周波数特性も見てみましょう。
ユニットの振動板から5cm程度の近距離で周波数を測定することで、低音域では振動板の振幅を推察できる結果が得られます。

<FE103Sol>


<FE126E>


50~200Hz付近の特性を見ると、双方ともディップが二つあります。振動板の振幅が抑えられ、エネルギーが共鳴に使われている証拠ですね。位置はそれぞれほぼ同じでしょうか。
よく見ると、FE103Solは鋭く深いディップがあるのに対し、FE126Eはやや浅いものだと分かります。先にも述べたように、共鳴の強さ(制動の弱さ)がディップの深さに現れたのではないかと考えています。

ラストはインピーダンス特性です。


ちょっと見にくいですが、緑線(FE126E)と紫線(FE103Sol)はユニットを裸で鳴らした状態のインピーダンス特性です。
このS-044(蓋付)に入れると、それぞれ青線(FE126E)と赤線(FE103Sol)のようになります。

既に、周波数特性で見てきたように、80Hzと125Hz付近に共振によるディップが確認できます。箱が同じなので、ユニットを変えてもその負荷は同じように表れるのですね。



さて、今回はFE103SolからFE126Eへ変更しての結果を見てきました。強力な磁気回路をもつFE126Eの功罪が少し見えてきたかと思います。
次回は、FE103Solより弱い、バスレフ向けのユニットを装着するとどうなるか・・・トライしてみます。

[S-044] FOSTEX FE103Sol → ParcAudio DCU-F121P

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S-044は、音道長が1.4mのショートバックロードなので、想定外のユニットがマッチングを見せるかもしれません。

そこで、一般的な特性をもつ10cmユニットとして、
ParcAudio DCU-F121Pを搭載してみます。

共に、8000円前後の価格であり、比較するにはちょうど良い相手ですね。

--------------------------------------
実効振動半径 4.0cm(103Sol)→4.2cm(F121P)
最低共振周波数 85Hz(103Sol)→83Hz(F121P)
出力音圧レベル 90dB/W(103Sol)→88dB/W(F121P)
m02.5g(103Sol)→4.4g(F121P)
Q00.44(103Sol)→0.32(F121P)
マグネット重量 226g(103Sol)→390g(F121P)
-------------------------------------

メーカーが異なるので直接の比較は酷ですが、
m0が大きく、低音が出しやすそうな特性です。




一聴して、Parcらしい繊細なサウンドに、バックロードの中低音が乗っていることが分かります。

意外にも、バランスは上々です。
優しく、厚みのある音が広がるのはfostexとの大きな違いです。100Hzぐらいまでしか出ていないようだが、グランカッサも存在感があります。

ウッドベースは甘口ですが、欠ける音や暴れる音はなく問題なく聴けます。和太鼓は、重低音域まで聴かせ、しっかりとした音です。
Foxtexでは感じにくかった重低音域(80Hzぐらい)の共鳴がしっかり引き出せているようです。壁際に本体を後退させて設置すると、よりローエンドの伸びが確認できます。

あとは、バイオリンにParcAudioの味が強く乗ることがあり、そこは好みが分かれそうです。FOSTEXと比較すると、必要な華やかさが抑制されてしまうように感じます。
必要に応じては、ツイーターで好みの高音域を付与するのもアリでしょう。


さて、次回は定番の測定ですね。

[S-044] 周波数特性&インピーダンス特性(FE103Sol→DCU-F121P)

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さて、FOSTEXのFE103SolからParcAudioのDCU-F121Pに変えてテストしてみます。

聴感では、重低音域の増大が見られましたが、特性上はどう変化するか注目です。
搭載する箱「S-044」の紹介はこちら。)



 

<軸上1m>
<FOSTEX FE103Sol>


<ParcAudio DCU-F121P>


大きく特性が違うのが分かりますね。ParcAudioのは、150Hz以下の低域が大きく上昇しているのが分かります。
100Hz付近は、しっかりと共振がとれているようで、より明確なピーク(ある意味、ピーキーな特性)が表れています。80Hzの一次共振に相当するところは、100Hz付近と比例した音圧になっていますね。


<ホーン開口部>
<FOSTEX FE103Sol>


<ParcAudio DCU-F121P>


80Hzのピークに注目すると、ParcAudioのほうが若干大きくなっています。しっかりと「必要な共振」がとれている証拠ですね。
一方で、Fostexのほうが、高域のカットオフが効いているようにも見えます。ただこの部分については聴感上の違いとしては小さなものでした。


<ユニット直前>
<FOSTEX FE103Sol>


<ParcAudio DCU-F121P>


注目は、70Hzと130Hzのディップです。共鳴により、振動板の動きが抑制されている証拠ですね。
FOSTEXのほうがディップが大きいことは明白です。これは、振動板が軽く、管共鳴とユニットが一体となっているためですね。

Parcのように振動板が重いと、共鳴による低音増強は起こりやすいのですが、それが制御(制動)されたものとは限りません。
一方で、Fostexのように振動板が軽いと、共鳴をしっかりと制動(吸収)する効果がある一方で、場合によっては過制動となり低音不足となってしまいます。



ラストは、インピーダンス特性です。
<インピーダンス特性>



まずは裸の状態。ParcAudioのDCU-F121P(緑)と、FOSTEX FE103Sol(紫)。公称インピーダンスが6Ωと8Ωなので違いが見にくいですが、FE103Solのほうがブロードな山となっていてQ0の小ささを伺わせます。

さて、ここからが本題です。
S-044に装着すると、FOSTEX(赤)、ParcAudio(青)のようになります。

こちらでも、箱が同一なので、共鳴周波数となるディップは不変であることが分かります。
先ほど周波数特性のところでも議論しましたが、FOSTEXのほうがディップ(共鳴)がブロードとなっています。


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ParcAudioのユニットは、やはり低音が豊かに出てくれる傾向がありました。一方で、制動の弱さでは、聴感とデータの双方で確認ができました。

共鳴と低音の関係は、箱作りで最も悩ましいところで、
共鳴をとれば、低音量感は増すけれど、低音が緩くなる・・・

この辺は、今後も注目していきたい所ですね。


次回は、もうすこし「箱」に注目した評価をしてみたいと思います。

2015年 Stereo誌8月号

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いよいよStereo誌8月が発売されましたね。

10cmフルレンジも、期待できそうな感じです。
コンテストも毎年のごとく開催されるようです。

あれ? ユニット数無制限ってwwwww
何発積んでくる人が出てくるか試されてますねw


私は、一発で作製してみようと思いますが、
バックロードか、共鳴管で・・・って考えると、悩みどころは多いですね。

というか、炭山先生、凄く良さそうな作例ですね! 後発が辛いですよwww
類似の発想だと書類選考すら怪しいでしょうし、かといって「素材だけ高価にしました」なんてのも微妙だろうなぁ・・・

ま、初投稿なので、気軽に行こうとおもいます♪



あと、私の投稿も乗っていましたね。
スワン・ザ・バスレフで得られた「バックロードバスレフ方式」のノウハウの公開です。考案者のkenbeさんには申し訳ないですが(!?)、試作の過程で得られたものは大きかったですね。もっと色々な人が本方式をトライしてもらえればと思います。

響の館!? RIRA_邸でのOFF会!

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昨日、Phile-webのRIRA_さん宅にお邪魔してきましたので、日記に書こうと思います。

出張帰りに、愛知を経由することになったので、
そのままRIRA_さん宅にお邪魔することになりました。

到着すると、噂のブビンガ材のスピーカーが出迎えてくれました。
が、まずは奥の間のメインシステムから試聴です!




PCオーディオ&球アンプ&バックロードホーン・・・
という珍しい組み合わせです。

クラッシックからJAZZ、アニソンを聴かせて頂きましたが、
音の濃さと、鮮度感が見事に両立しているサウンドでした。

機材選択のセンスと、木材の使いこなし、そしてセッティングの妙が上手く組み合わさっているのはRIRAさんの技量の賜物だと思います。


自作スピーカー派の私は、ついついスピーカーに目が行ってしまいます。



バックロードホーンに装着されているのは、EMSのLB6というフランス製ユニットです。一見普通のフルレンジに見えますが、Qts=0.13という驚異のユニットです。ちなみに、お値段は7万円前後/本。

紙ベースのコーンですが、やはりFOSTEXとは異なって、かなり色気のある鳴り方をしています。バックロードホーン箱ではありましたが違和感はなく、箱を十分に駆動する力はありそうでした。

独特なのは、低音の鳴りっぷりです。バックロードホーンらしい「ぐぅぐぅ」と鳴る低音は控えめで、「バツン」と素早い低音を聴かせます。おそらく、ユニットや箱以外にも様々な要因が絡んでの音なのでしょう。
ユニットの個性としては、センターキャップが金物の「ちぃーん」という音を見事に演出していたのが印象的でしたね。


また、杉材でつくられたエンクロージュアは、息をのむ仕上がりです。

何気なく組まれていますが、これ、アマチュアでは絶対出来ない工作ですよ。無垢材の反りに何度も泣かされたカノン5Dなので、なおさら製作者の凄さが分かります。



さて、真打だけど、メインでもなさそうな??ブビンガのスピーカーのご登場です。



先ほどのシステムと比べても、さらに音は濃く、独特の世界を聴かせます。
とはいっても、上手く組まれた本機は、素材の音もしっかり表現します。まさに職人技のスピーカーですね。

小口径ながら、しっかりとした低音を聴かせてくれるのは驚きです。十分に50Hz前後までは出ているように感じましたね。


さて、オフ会の後半では「球転がし」こと、真空管アンプの球交換を楽しみました。この辺は、RIRA_さんの日記を見て頂いたほうが良いでしょう。

他にも、アニソンを聴いたりしました。アニソン関係については箇条書きで済ませますw

・奈々さんがドレスを着ている!
・ゆかりん は癒しボイスがいいねぇ。
・きんいろモザイクは、英国管がイイね!
・フランス(スピーカーユニット)も、金髪だから良しとするw
・LAST EXILEの空気感!
・食器に金箔が貼られてるよ!カノン宅だと100均の皿だったのに・・・(幸福グラフィティ)



そんなこんなしていると、あっという間に夕方です。
夕飯には美味しいラーメンも頂き、大満足のオフ会でした! RIRA_さん、ありがとうございました!

[S-044] ホーン構造のアイディア

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さて、様々なユニットを搭載したS-044ですが、
今度は箱のほうに注目してみます。

------S-044 基本スペック---------
空気室容量 2.7L
スロート断面積 45cm2
スロート絞り率 90%
ホーン広がり率 1.4
ホーン長さ 1.4m
ホーン開口面積 460cm2 (塞ぎver.→150cm2)
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このS-044はホーン長が1.5m弱のショートホーンのバックロードホーンです。
広がり率が大きく、その「独特の構造」+「FE103Sol」故のボンツキを抑えるために、ホーン開口部に蓋をする構造としていました。





「ホーンを塞ぐ」という考えでは、普通のアプローチですが、
ふと「ホーン全体を小さくしたらどうなるか?」という考えが浮かんできました。

そこで、次の図で「S-044改」として水色で描いたように、
ホーン開口端に詰め物を入れて、容積を小さくしてみました。



このホーン構造は、既にエクスポネンシャル曲線とは異なったものとなっています。

長岡先生はホーンの中間を絞る「カスケード」という概念を採用していましたが、この「S-044改」は、むしろ逆です。
(相対的に見れば)ホーン中間が大きいので「逆カスケード」でしょうか。


この効果については、次回以降に検証してみます。

[S-044] 開口部絞りバックロードホーンの試聴

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S-044をネタとして、新たなホーンの構造を探ってみます。



まずは、開口面積を減らすよう蓋をした状態(塞ぎver.、赤線)の音を、スタンダードとなるホーン解放の状態(解放ver.、緑線)と比較して聴いてみます。
(2015年06月28日の日記にも、その変化を簡単に記しましたが、今回はよりしっかり聴き込んでみます。 http://blog.goo.ne.jp/4g1g4g0/e/49cbe678b905e8890b0aeb74081cc980)

まずはホーン鳴きが表れやすい楽曲としてチェロ四重奏を聴いてみましょう。ホーン解放状態では盛大なホーン鳴きがありますが、蓋をして「塞ぎver.」とすることで、それがしっかり抑え込まれることが分かります。

「塞ぎver.」は、最低域も伸びているようで、グランカッサの響きは深みを増します。オルガンのスケール感は二回りほど大きくなり、利点は大きいようです。

一方で、「塞ぎver.」はトランペットやトロンボーンは抑圧された響きとなります。解放状態では感じられた空気感は大幅に減ってしまいました。どうやら中低域の響き感が減ってしまったようで、民謡の三味線も電子楽器っぽくなりました。
よく言われる「ホーンを塞ぐとバスレフになる」というのはこの辺の聴感から湧いてきた話なのでしょう。(塞ぎver.でも、ホーン動作がほぼ変わりないことは、インピーダンス特性、周波数特性で確認済。)

ここでの特性の変化は、2015年07月03日の日記に書いてあるので、参考にしてください。
http://blog.goo.ne.jp/4g1g4g0/e/482d9724b3fc445a7105f9c6ac8b50b4



さて、ここからがメインの話題です。
水色線のように、ホーンの開口部だけ絞ったような広がり方とした場合(絞りver.)の音を聴いてみます。



絞りver.では、塞ぎver.で感じた管楽器の「詰まり感」は大幅に後退し、ウッドベースも解放感をもった好ましい鳴りっぷりとなりました。さらに、バイオリンの独奏であっても、(塞ぎver.と比較して)表情豊かな音です。

一方で、解放ver.では聞けなかった、沈み込みのある低音も獲得できており、オルガンの曲では低域レンジの広さによるスケール感の向上が確認できました。


結論として、このホーン開口部付近を絞る「絞りver.」は、音の表情を殺すことなく低域レンジの拡大が可能なもののようです。

低域レンジの拡大は、ホーン全体として広がり率が小さくなったことに起因すると思われますが、エクスポネンシャル曲線を維持したまま単純に広がり率を小さくした場合、低音量感が大幅に低下し、200Hz付近からストンと音圧が低下する周波数特性となることが推測されます。

エクスポネンシャル曲線は、ホーン設計のベースとなる形状ですが、これを順守した場合「低音の伸び」と「低音の量感」は完全にトレードオフとなります。
今回の「絞りver.」は、そのトレードオフを打破する一つの策となるでしょう。


次回は、周波数特性とインピーダンス特性で、この「絞りver.」の特徴を確認してきます。

[S-044] 開口部絞りの効果確認

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さて、前回の続きで、BHの開口部構造に対する考察です。
今回は、測定データを元に検討してみましょう。

搭載ユニットは、FE103Sol。
エンクロージュアの基本スペックはこんな感じです。
------S-044 基本スペック---------
空気室容量 2.7L
スロート断面積 45cm2
スロート絞り率 90%
ホーン広がり率 1.4
ホーン長さ 1.4m
ホーン開口面積 460cm2 (塞ぎver.→150cm2)
---------------------------------


それぞれの構造を、「解放ver.(緑線)」「塞ぎver.(赤線)」「絞りver.(青線)」とします。



では、まず軸上1mから。
<解放ver.>


<塞ぎver.>


<絞りver.>


注目は、300Hzと100Hzの音圧です。300Hzはホーン特有の付帯音に起因するところで、いわゆる低音感は100Hz付近から出てくるものです。
「解放ver.」は、他と比べて300Hzのピークが大きく、100Hzの音圧が小さいことが分かります。一方で、「塞ぎver.」は、300Hz付近のピークは不明瞭になり、付帯音防止効果を明確に確認することができました。
注目の「絞りver.」は、300Hzのピークは若干残りながらも確かに低減され、100Hz付近の音圧は十分に確保できています。ホーンの体積としては「解放ver.」より小さいながら、低音はむしろ増大しています。



お次は、ダクト直前の特性です。
<解放ver.>


<塞ぎver.>


<絞りver.>


こちらは、軸上1mほど大きな差は確認できません。
この辺は、解釈が必要なところだと思います。



ラストは、ユニット直前の特性です。
<解放ver.>


<塞ぎver.>


<絞りver.>


あれ、こちらも余り変化なしですね(汗)
S-044はホーン長が1.4mなので、340÷1.4÷4=60Hz。 80Hzと160Hzのディップは、若干高めに出ていますが、共鳴周波数に基づくものでしょう。



ラストはインピーダンス特性です。


この辺も、想定通りのところにディップが出てきますね。
設計上のホーン長は1.4mですが、実際の長さである「音響長」は1.1m(=80Hz)とみて間違えなさそうです。
ホーン開口部からの音圧は、基音(一次共振)を除いた倍音がピークとして出てきているようです。


さて、この「絞りver.」ですが、今までエクスポネンシャル曲線に限定して作製していたバックロードホーンに良い風穴をあけてくれそうです。
通常のエクスポネンシャルと比べて、「絞りver.」は低音の伸びや付帯音の低減が確認され、なおかつ容量も削減できる・・・ということで、今後さらなる確認をしてみたいですね。

次回は、新作S-047です!

Right-EAR製ユニット「C0607」を入手!

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本日、Right-EAR製のユニットが届きましたので、その紹介をしようと思います。

「Right-EAR」というメーカー名は聴き慣れないと思いますが、
2007年に創業し、静岡県浜松市に拠点をもつメーカーです。

独自の構造をもつ平面ユニットを強みとして、
PAスピーカーから、小型でおしゃれな製品までラインナップしているようです。
http://right-ear.com/new/raitoia/Home.html

さて、私が今回入手した「C0607」は、
小型タイプの平面振動板ユニットです。
http://right-ear.com/new/raitoia/supikayunitto.html



ちょうどサイズは、(写真右側にある)FOSTEXの8cmフルレンジ「FE83En」と同じぐらいでしょうか。
インピーダンスが18Ω程度あるので、同じボリューム位置では通常のスピーカーより若干(-6dBぐらい?)音圧が低いように感じますが、効率としては上々でしょう。

構造としては、前後に搭載された磁石のあいだに、導体をもつフィルムが配されているようです。
http://right-ear.com/new/raitoia/ji_shu.html

大振幅には弱いですが(C0607は耐入力1W)、過大入力でも構造的な破壊は起こりにくいと思うので、安心して使えそうです。



実際に音を出すと、手元で鳴らす範囲であれば、
かなりの大音量まで鳴らせそうでした。

流石に、10畳以上の部屋でフルオーケストラ・・・となると、
上位機種の「RF4G-30」などが好ましいかと思います。


気になるサウンドは、(裸で聞いた限りではありますが)固有の癖も無く良い感じです。
全面駆動だけあって、やはり10kHz以上指向性がかなり狭いように感じますが、振動板サイズが小さいせいか斜めから聞いても違和感はありませんでした。

試しに周波数特性を測ってみましたが、裸ゆえにマイク位置に非常にシビアなので、n=3での結果を掲載します。測定方法は、ユニット直近に(上記写真のように)マイクを設置しての測定です。







説明通り「f0が無い」ためか、低域まで非常にスムーズな特性で驚きました。
普通のコーン型では、滅多に(絶対に?)こういう特性は得られないですね。



取扱説明書には、「箱に入れないことをお勧めします」と書いてありましたが、
カノン5Dとしては、やはり共鳴管やバックロードホーンに入れて、ユニットにグリグリと背圧をかけて楽しみたいものです。(もはやドSの境地?)


気になるお値段は、試作品特別価格(?)ということもあり、ペア1万円ほどで購入することができました。
次回以降はいくらになるか分からない、というか再生産があるか分からないと勝手に推測していますが、自作マニアの皆さんの強い要望があればきっと実現するでしょう♪ このクオリティなら、倍の値段でもお買い得ですよ!?


秋口には、何か作品として完成させたいですね!

[S-047]スーパーツイーターの作製

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さて、今日は新作S-047を紹介しようと思います。
S-047は、FOSTEXの「FT7RP」というリボン型のユニットを使用したスーパーツイーターです。



FT7RPは、プリントリボン振動板をもち、
いわゆる「リボン型」と同様に繊細で伸びやかな高域をもつのが特徴のツイーターです。

発売はやや古いものの、
45kHz(公称)まで伸びた特性は現代のハイレゾ再生にもってこいです。
実売価格が1万円前後と安価なのもポイントですね。


エンクロージュアは、松集成材としました。
スーパーツイーターはスピーカーの上に乗せるものなので、箱に使う「素材の音」がそのままスピーカーに付帯することを意識しての選択が必要でしょう。

塗装は、墨汁+水性ウレタンニス(クリア)で仕上げました。
室内でも塗装ができる利便性と、シンプルな黒色はなかなか良好なものです。



ネットワークは、0.68μFとします。
計算上は30kHzぐらいのカットオフになるでしょうか。スーパーツイーターとしての自然なアドオン感を狙うのであれば、このぐらいの値がベストだったりしますね。



効果については、時間をかけて見て行こうと思います。(というかまだ接続してません…)

ホームページ リニュアル完了!

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お盆休みの目標としていた、ホームページのリニュアルが完了しました!



「カノン5Dの資料室」

5年以上前に立ち上げた「カノン5Dの資料室」は、
「メモ帳」による手書きのhtml形式だったため、デザイン面での制約も多くありました。

今回、ホームページビルダー19を入手しまして、
手引書(二冊買ったw)を参考にすることで、デザイン的にもスッキリとしたものを作ることができました。

もちろん、専門のソフトだけあって、これまで以上にページ更新はやりやすくなりそうだと感じています。


なお、旧ページもひっそりと残してあるので、
「お気に入り」登録は変更せずとも、リンクエラーにはならないと思います。

今後とも、「カノン5Dの資料室」を宜しくお願いします!
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