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[S-073] ひのきでスピーカーを作る理由(その1)

皆さんこんにちは。
ひのきスピーカー工房、オーディフィルのカノン5Dです。

さて、連載で紹介している最新作[S-073] SOLA Mk2は、
無垢材のなかでも、「ひのき」の無垢材を使っているのが特徴です。

 無垢材とは?についてはこちら

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私が「ひのき」を使ってスピーカーを作る理由については、2016年にもブログに書きましたが、
あれから5年近くたっているので、改めて思っていることを書こうと思います。

 2016年の日記はこちら


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素材にまつわる音色変化の原因

そもそも、木材の音質・音色は何によって決まるのか。
私は2つの原因があると思っています。


①板鳴り、箱鳴り (横波)

ギターの胴鳴りなどで知られるように、
スピーカーも多かれ少なかれ振動しています。

スピーカーの箱をたたけば「コンコン」という響きがありますが、
その大半は、この影響です。

図解すると、このような板の変形挙動です。

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まるで、両端を固定した糸のように板が振動するので、
私は「横波」と呼んでいます。

補強材の追加などで、この変形挙動を抑えることができるのは、皆さんご存じのとおりです。


②素材固有の音色 (縦波)

先ほどの横波に対して、こちらは「縦波」です。
図解するほうが分かりやすいでしょう。

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素材の中を伝搬する、定在波のようなイメージです。

「横波」は、板を厚くすることで消えていきますが、
この「縦波」は、板厚や補強材では殆どコントロールできません。


この縦波の影響を簡単に判別できるのが、
インシュレーターとしての音質評価です。

インシュレーターのようなブロック形状では、
横波(本体が大きく歪むような変形)は殆ど起こりません。

しかし、金属、木材、石、カーボン、ガラス…
それぞれのインシュレーターに特徴的な音色があることは、よく知られています。
これを「縦波」特性の違いとして考えると、すんなり解釈できるのではないでしょうか。

たまに "コンクリート素材" が理想的である、という話を聴きますが、
コンクリートの強度が効くのは「横波」に対してであって、
コンクリートのもつ「縦波」の音色は、お世辞にも良いものではありません。

オーディオルームの床の施工例では、コンクリート基礎の上に、音色感のよい無垢材フローリングを敷く例が多くありますが、
これは、コンクリートの強度と無垢材の音色感、双方のメリットを活かすことができる合理的な選択だといえるでしょう。


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まとめ

「〇〇材の音色は、□□だ」という議論を聞きますが、
それは素材のどういう挙動に対して言っているのか?を考えると、
も少し深い洞察が得られるのではないかと思っています。

とは言っても、
そもそも「横波」と「縦波」をキッチリ分けて評価することも難しかったりするので、この考え方を広めようとは思っていません。
...まあ、賛同してくれる方がいらっしゃれば嬉しいですが(笑)

私自身、ひのきスピーカーを5年間作ってきて、
「こうした考え方をもって、無垢材のスピーカー作りを進めていくと良い結果が得られそうだ」と考えるに至ったというレベルの話です。



本当は、木材固有の音色についてもお話ししようと思ったのですが、
序章が思った以上に長くなってしまったので、その話はまた次回。



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ひのきスピーカー「SOLA Mk2」の詳細はこちら。
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