前回更新から2ヶ月近く経ってしまいましたが、ウーハー作りの試行錯誤をしていました。
3Dプリンタを用いたウーハー作りのコツがつかめてきたので、記しておきます。
ベースとなるユニット
当初、DaytonAudio「DSA-115-8」をベースユニットにしていました。
アルミニウムの振動板をもつユニットで、シンプルながら十分な基本性能をもつハイCP比モデルです。10cmの口径もSOLAにはピッタリです。
このスピーカーユニットの振動板に、立体的な補強部材を貼り付けることで、
振動板の剛性の飛躍的な向上を狙います。
3Dプリンタで成型した補強材で振動板を強化しているため、
振動板重量の増大は避けられません。
そこで、ベースとなるユニットには、
少し重くなった振動板をも軽々と動かせる駆動力が求められます。
スピーカーユニットの駆動力の指標
駆動力の指標になるのが、「Qts」と「BL」です。
Qtsは、振動板がどれだけ制動されているかを示す値です。この値が小さいほど制動力が高まります。
BLは、コーンを押し出す力の強さです。この値が大きいほど、同じ電流であっても力強く振動板を動かすことができます。
ちなみに、当初ベースユニットとして予定していた
DSA-115-8は、BL=5.4N/A Qts=0.42です。
有名なFostexのFE103NVは、 BL=4.7N/A Qts=0.46。
FE103NV
この2つの値に着目して見ると、フルレンジユニットは思っているほど駆動力が大きいわけではないことが分かります。
フルレンジは最高域まで再生するために振動板を可能な限り軽く作りますが、それとバランスをとるために、磁気回路はそこまで強くしません。車で例えるなら小型軽量を持ち味とする「ライトウェイトスポーツカー」でしょうか。
例外は、FOSTEXのバックロードホーン向けユニットです。
軽量な振動板に、可能な限り強力な磁気回路を搭載しています。音のバランスはハイ上がりになり、使う用途が限定されるユニットに仕上がります。
それでも、ボイスコイルの重さに制約があるため、BL値はそこまで高くありません。
FE108SS-HPは、BL=5.3N/A Qts=0.39です。
先のDSA-115-8はBL=5.4N/Aでしたので、殆ど差がありません。
FE108SS-HP
BL値は、磁気回路の物理的な大きさにほぼ支配されるので、大口径ウーハーが大きなBL値を持っていることになります。大口径ウーハーの駆動力は侮れないものがあります。
20cm口径ウーハー:FW208HS BL=10.6N/A Qts=0.40
40cm口径ウーハー:FW405N BL=15.7N/A Qts=0.45
ユニット選びの決定打
今回は、デスクトップに使えるサイズ感を目指しているので、あまり大きなウーハーを搭載することはできません。
10〜13cm口径の中で当初目をつけていたのが、DaytonAudioの「DSA-115-8」でした。
このウーハーも悪くはなかったのですが、鉄板プレスで作られたフレームが少し頼りなさを感じてしまいます。
また、TSパラメーターを使ったシミュレーションで、5gを超える補強部材の貼り付けでは低域にピークが生じ、ダンピングが極端に悪くなることが分かってきました。
次の選択
そこで次に目をつけたのが、SEASの「Prestige L12RCY/P」です。
ベースユニット単体でも、高剛性に作られた金属コーンを装備し、ダンパー周りも開放的な構造になっているなど、現代的な性能の高さを感じさせます。
このSEAS 「L12RCY/P」は、
BL=6.1N/A、Qts=0.29と驚異的なスペックを誇ります。
試聴でも、歪の少なさに秀でており、ベースユニットに十分な実力の持ち主だと考えました。
このユニットを「構造剛性」verに改造するのは、次回にお話ししようと思います。
3Dプリンタを用いたウーハー作りのコツがつかめてきたので、記しておきます。
ベースとなるユニット
当初、DaytonAudio「DSA-115-8」をベースユニットにしていました。
アルミニウムの振動板をもつユニットで、シンプルながら十分な基本性能をもつハイCP比モデルです。10cmの口径もSOLAにはピッタリです。
このスピーカーユニットの振動板に、立体的な補強部材を貼り付けることで、
振動板の剛性の飛躍的な向上を狙います。
3Dプリンタで成型した補強材で振動板を強化しているため、
振動板重量の増大は避けられません。
そこで、ベースとなるユニットには、
少し重くなった振動板をも軽々と動かせる駆動力が求められます。
スピーカーユニットの駆動力の指標
駆動力の指標になるのが、「Qts」と「BL」です。
Qtsは、振動板がどれだけ制動されているかを示す値です。この値が小さいほど制動力が高まります。
BLは、コーンを押し出す力の強さです。この値が大きいほど、同じ電流であっても力強く振動板を動かすことができます。
ちなみに、当初ベースユニットとして予定していた
DSA-115-8は、BL=5.4N/A Qts=0.42です。
有名なFostexのFE103NVは、 BL=4.7N/A Qts=0.46。
FE103NV
この2つの値に着目して見ると、フルレンジユニットは思っているほど駆動力が大きいわけではないことが分かります。
フルレンジは最高域まで再生するために振動板を可能な限り軽く作りますが、それとバランスをとるために、磁気回路はそこまで強くしません。車で例えるなら小型軽量を持ち味とする「ライトウェイトスポーツカー」でしょうか。
例外は、FOSTEXのバックロードホーン向けユニットです。
軽量な振動板に、可能な限り強力な磁気回路を搭載しています。音のバランスはハイ上がりになり、使う用途が限定されるユニットに仕上がります。
それでも、ボイスコイルの重さに制約があるため、BL値はそこまで高くありません。
FE108SS-HPは、BL=5.3N/A Qts=0.39です。
先のDSA-115-8はBL=5.4N/Aでしたので、殆ど差がありません。
FE108SS-HP
BL値は、磁気回路の物理的な大きさにほぼ支配されるので、大口径ウーハーが大きなBL値を持っていることになります。大口径ウーハーの駆動力は侮れないものがあります。
20cm口径ウーハー:FW208HS BL=10.6N/A Qts=0.40
40cm口径ウーハー:FW405N BL=15.7N/A Qts=0.45
ユニット選びの決定打
今回は、デスクトップに使えるサイズ感を目指しているので、あまり大きなウーハーを搭載することはできません。
10〜13cm口径の中で当初目をつけていたのが、DaytonAudioの「DSA-115-8」でした。
このウーハーも悪くはなかったのですが、鉄板プレスで作られたフレームが少し頼りなさを感じてしまいます。
また、TSパラメーターを使ったシミュレーションで、5gを超える補強部材の貼り付けでは低域にピークが生じ、ダンピングが極端に悪くなることが分かってきました。
次の選択
そこで次に目をつけたのが、SEASの「Prestige L12RCY/P」です。
ベースユニット単体でも、高剛性に作られた金属コーンを装備し、ダンパー周りも開放的な構造になっているなど、現代的な性能の高さを感じさせます。
このSEAS 「L12RCY/P」は、
BL=6.1N/A、Qts=0.29と驚異的なスペックを誇ります。
試聴でも、歪の少なさに秀でており、ベースユニットに十分な実力の持ち主だと考えました。
このユニットを「構造剛性」verに改造するのは、次回にお話ししようと思います。