今年のサウンドウェスティバルの発表は、前半が「コンテストの注目作品を聴く」、後半が「アクリルスピーカーの可能性を聴く」「メーカー製SP vs 長岡バックロードSP」という3本立て。
今回は、その後半をレポートします!
「アクリルスピーカーの可能性を聴く」では、ミューズの前田氏と田中氏が作成した、
アクリル製エンクロージュアのスピーカーを聴くことができました。
「クリスタル・ミニ」
ALPINE DLS-108X搭載の密閉型。
「クリスタル・コア」
同じくALPINE DLS-108X搭載し、さらにサーボパッシブラジエーターとしてYSCオーディオ YS137A-PSCを搭載したもの。
サーボパッシブラジエーターは、パッシブラジエーターとして使用するユニットをコンデンサでショートすることで、不要振動の抑制を図ったもの。
「ラミ壱号」
こちらは、初一般公開の作品。
Stereo誌付録の5cmフルレンジ「Scanspeak 5F/8422T03」を使ったバスレフ型(スパイラルダクト)。
内部はシナアピトン合板の積層として、強度とCP比を両立しています。
「トライアングル」
Scanspeak 10F8424G00を搭載し、背面のDYTON DC-160-6はサーボパッシブラジエーターとして動作。
「MG Super」
FOSTEX T250D, MG130HRをメインとして、PARC AudioのDCU-171Aをサーボパッシブラジエーターとして使用。
まさに、アクリル尽くしの陣容ではありますが、
それぞれ若干の違いがあり興味深い試聴ができました。
まず、アクリルを使うことで、その密度の高さ・強度から、
十分に付帯音の少ない再生音が得られていました。
さらに、十分な振動対策や、コンパクトで肉厚なエンクロージュアなども、
アクリル素材を生かすポイントなのではないかと思います。
システム全体でいえば、どれも練り上げが巧みで、
描写力に秀でたサウンドを響かせていました。
この辺は、「SDM」(エンクロージュア内の仕切りを使ったユニット固定方法)や、
「サーボパッシブラジエーター」など、様々な工夫も含めて達成できることなのだと思います。
そして、「MG Super」のような高品位ユニットの実力をいかんなく発揮していたのも、
アクリルエンクロージュアの凄さではないかと思いました。
高品位なユニットほど、その能力を発揮するのは難しくなるものですが、
「MG Super」は、各ユニットの優れた描写力・質感表現力を十分に感じることができました。
これは、余分な音を出さず、しっかりとユニットを支えることができるアクリル素材の恩恵によるものでしょう。
今回の発表でいえば、振動板剛性が比較的高いユニットが中心となりましたが、
FOSTER C080P33Sのような、軽量振板を搭載するユニットでの作例もあるので、
これからも様々なユニットでの作例が期待できそうですね!
さて、最後のトリは、2台の大型スピーカーです。
一つは、FOSTEXの現役フラッグシップG2000a。
もう一つは、長岡鉄男氏設計のD-57(FE208SS搭載)。
両者を聴くと、今までのぼんやりとした両者へのイメージが払拭され、非常にわかりやすく理解することができました。
こういう直接比較という機会は、案外無いものなのですよね。
まずは、FOSTEXのG2000a。
高品位ユニットを搭載し、まさに記録された音をそのまま表出している感じです。金管は金管らしく、ボーカルはボーカルらしく、弦は弦らしく。。。
音場の形成も、現代SPらしく緻密で優雅なもの。バランスについても、しっかりとしたピラミッドバランスです。
「市販スピーカーの代表がG2000a」というと、いろいろ意見はあるかと思いますが、
それでも、このG2000aが、現代の高級スピーカーの一つに数えられるだけの実力・ポジションであるのは間違いなく、それを感じることができた試聴体験でした。
さて、対するは、長岡鉄男氏設計のD57(FE208SS搭載)。
ミューズの柄沢氏が所有するスピーカーで、この搭載ユニット「FE208SS」は、氏の意向が強く表れたものです(?)
さて、やはり勢いと切れ味で聴かせるのが長岡スピーカーの魅力。 音が怯まずに、前に出てくる出てくる!
長岡氏もいうような「ハイ上がり」を若干感じる場面もありましたが、それに見合うだけの低音質感があるのは、バックロードホーンならではです。
オーケストラの低弦は、克明に質感を描写します。 低弦を「ボンボン」とではなく、「ヴゥンヴゥン」と鳴らしてくれる快感は他に代え難いものです。
この貴重な場を用意してくれたミューズのメンバー、D-57所有者の柄沢氏、G2000a提供のFOSTEX関係者の方に感謝したいと思います。
サウンドフェスティバルのトリに相応しいパフォーマンスだったかと思います。
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さて、ミューズの方舟自作スピーカーコンテストは、これで最終回。
実は、その後の12月には、
「学術研究発表会」で、各大学のオーディオサークル所属の学生さんの発表をみたり、
「FOSTEX試聴室」で、市販スピーカーと、自作スピーカーの比較をしたり、
「スピーカー再生技術研究会」で、会員の方の作品を聴いたり、
木工家の方のお宅にお邪魔して、桧スピーカーを試聴したりと、大忙しなのです。
更新ペースとしても、本ブログでは書けないようなことは、
ツイッターの方でつぶやいていますので、フォローしてもらえると嬉しいです。
「オーディフィル @audifill 」
https://twitter.com/audifill
それでは、皆さん、良いお年を!
今回は、その後半をレポートします!
「アクリルスピーカーの可能性を聴く」では、ミューズの前田氏と田中氏が作成した、
アクリル製エンクロージュアのスピーカーを聴くことができました。
「クリスタル・ミニ」
ALPINE DLS-108X搭載の密閉型。
「クリスタル・コア」
同じくALPINE DLS-108X搭載し、さらにサーボパッシブラジエーターとしてYSCオーディオ YS137A-PSCを搭載したもの。
サーボパッシブラジエーターは、パッシブラジエーターとして使用するユニットをコンデンサでショートすることで、不要振動の抑制を図ったもの。
「ラミ壱号」
こちらは、初一般公開の作品。
Stereo誌付録の5cmフルレンジ「Scanspeak 5F/8422T03」を使ったバスレフ型(スパイラルダクト)。
内部はシナアピトン合板の積層として、強度とCP比を両立しています。
「トライアングル」
Scanspeak 10F8424G00を搭載し、背面のDYTON DC-160-6はサーボパッシブラジエーターとして動作。
「MG Super」
FOSTEX T250D, MG130HRをメインとして、PARC AudioのDCU-171Aをサーボパッシブラジエーターとして使用。
まさに、アクリル尽くしの陣容ではありますが、
それぞれ若干の違いがあり興味深い試聴ができました。
まず、アクリルを使うことで、その密度の高さ・強度から、
十分に付帯音の少ない再生音が得られていました。
さらに、十分な振動対策や、コンパクトで肉厚なエンクロージュアなども、
アクリル素材を生かすポイントなのではないかと思います。
システム全体でいえば、どれも練り上げが巧みで、
描写力に秀でたサウンドを響かせていました。
この辺は、「SDM」(エンクロージュア内の仕切りを使ったユニット固定方法)や、
「サーボパッシブラジエーター」など、様々な工夫も含めて達成できることなのだと思います。
そして、「MG Super」のような高品位ユニットの実力をいかんなく発揮していたのも、
アクリルエンクロージュアの凄さではないかと思いました。
高品位なユニットほど、その能力を発揮するのは難しくなるものですが、
「MG Super」は、各ユニットの優れた描写力・質感表現力を十分に感じることができました。
これは、余分な音を出さず、しっかりとユニットを支えることができるアクリル素材の恩恵によるものでしょう。
今回の発表でいえば、振動板剛性が比較的高いユニットが中心となりましたが、
FOSTER C080P33Sのような、軽量振板を搭載するユニットでの作例もあるので、
これからも様々なユニットでの作例が期待できそうですね!
さて、最後のトリは、2台の大型スピーカーです。
一つは、FOSTEXの現役フラッグシップG2000a。
もう一つは、長岡鉄男氏設計のD-57(FE208SS搭載)。
両者を聴くと、今までのぼんやりとした両者へのイメージが払拭され、非常にわかりやすく理解することができました。
こういう直接比較という機会は、案外無いものなのですよね。
まずは、FOSTEXのG2000a。
高品位ユニットを搭載し、まさに記録された音をそのまま表出している感じです。金管は金管らしく、ボーカルはボーカルらしく、弦は弦らしく。。。
音場の形成も、現代SPらしく緻密で優雅なもの。バランスについても、しっかりとしたピラミッドバランスです。
「市販スピーカーの代表がG2000a」というと、いろいろ意見はあるかと思いますが、
それでも、このG2000aが、現代の高級スピーカーの一つに数えられるだけの実力・ポジションであるのは間違いなく、それを感じることができた試聴体験でした。
さて、対するは、長岡鉄男氏設計のD57(FE208SS搭載)。
ミューズの柄沢氏が所有するスピーカーで、この搭載ユニット「FE208SS」は、氏の意向が強く表れたものです(?)
さて、やはり勢いと切れ味で聴かせるのが長岡スピーカーの魅力。 音が怯まずに、前に出てくる出てくる!
長岡氏もいうような「ハイ上がり」を若干感じる場面もありましたが、それに見合うだけの低音質感があるのは、バックロードホーンならではです。
オーケストラの低弦は、克明に質感を描写します。 低弦を「ボンボン」とではなく、「ヴゥンヴゥン」と鳴らしてくれる快感は他に代え難いものです。
この貴重な場を用意してくれたミューズのメンバー、D-57所有者の柄沢氏、G2000a提供のFOSTEX関係者の方に感謝したいと思います。
サウンドフェスティバルのトリに相応しいパフォーマンスだったかと思います。
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さて、ミューズの方舟自作スピーカーコンテストは、これで最終回。
実は、その後の12月には、
「学術研究発表会」で、各大学のオーディオサークル所属の学生さんの発表をみたり、
「FOSTEX試聴室」で、市販スピーカーと、自作スピーカーの比較をしたり、
「スピーカー再生技術研究会」で、会員の方の作品を聴いたり、
木工家の方のお宅にお邪魔して、桧スピーカーを試聴したりと、大忙しなのです。
更新ペースとしても、本ブログでは書けないようなことは、
ツイッターの方でつぶやいていますので、フォローしてもらえると嬉しいです。
「オーディフィル @audifill 」
https://twitter.com/audifill
それでは、皆さん、良いお年を!