バックロードバスレフのS-043での実験です。
今回はホーン長を変えてテストしてみます。
前回の形状(ホーン長0.8m)は、ざっとこんな感じ。
今回は、さらに延長ホーンのパーツを取り付け、ホーン長を1.2mに拡張しました。
断面積をグラフにすると、こんな感じになりますね。
さて、まずはダクト直前での特性を見ていきましょう。
空気室容量は、3.5L。 ダクトはφ50mmで、12mm厚(塩ビ管なし)です。
<ホーン長 0.8m>
<ホーン長 1.2m>
これは、大分違いますね。
0.8mのホーン長では、(80Hzと、)160Hz, 330Hzにピークがあったのに対し、
1.2mのホーン長では、(70Hzと、)100Hz, 240Hz,370Hzにピークがあるように見えます。
これは、単純に共鳴管の原理で説明ができると考えています。
0.8mと、1.2mの、一倍振動、三倍振動、五倍振動をそれぞれ算出すると…
<0.8m>
340÷0.8÷4=110Hz(一倍振動)
340÷0.8÷4×3=330Hz(三倍振動)
<1.2m>
340÷0.8÷4=70Hz(一倍振動)
340÷0.8÷4×3=210Hz(三倍振動)
340÷0.8÷4×5=350Hz(五倍振動)
一倍振動については、実測値が計算値より1.5倍程度高い周波数に出てきているようですが、
三倍振動や五倍振動については、気柱共鳴と考えて間違いなさそうです。
今回の実験で使用したバックロードバスレフは、
190cm2のホーン開口部を、わずか20cm2まで絞っています。
面積比では、実に1/10といったところでしょうか。
常識的に考えれば、「ホーン(音響管)としては動作せず、バスレフになる!」と思うのですが、
実験結果を見る限りでは、「バックロードバスレフは、しっかりと音響管として動作している!」と考えて問題ないと思っています。
「共鳴音って言っているけど、要はバスレフ箱でもお馴染みの内部の定在波でしょ。メインの動作はバスレフだよ。」という意見もあるでしょう。
では、再度バスレフの式で計算してみます。(φ50mm,12mmダクトとして計算)
0.8mのホーン長のとき、内部容量は8.6L。共鳴周波数は99Hz。
1.2mのホーン長のとき、内部容量は23.0L。共鳴周波数は67Hz。
まあ、確かにダクト近傍の周波数特性を見ると、
80Hzや70Hz付近にも、共鳴由来と思われる「肩」がありますので、
100Hz以下の帯域では、バスレフ由来の動作がメインになっているのかもしれません。
議論を続ければキリがありませんので、データを先に出してしまいましょう。
ユニット直前での特性です。(軸上 5cm)
<ホーン長 0.8m>
<ホーン長 1.2m>
上記で議論した共鳴周波数で、しっかりとディップが出来ていますね。
やや気になるのが、70Hzの小さなディップです。
ホーン長1.2mの方であれば、70Hz付近は気柱共鳴やバスレフ共鳴などで説明できそうですが、
ホーン長0.7mの方は、気柱共鳴が110Hz、バスレフ共鳴が99Hzなので、70Hzディップができる理由がありません。
私自身は、S-043のホーン広がり率(m=2.5)から計算したホーンカットオフ周波数が65Hz前後であることから、
70Hzのディップは、おそらく「ホーンロード」によるものではないか?と考えています。
ラストは、軸上 0.5mでの周波数特性です。
<ホーン長 0.8m>
<ホーン長 1.2m>
違いは明白で、1.2mのホーン長のほうがフラットな特性が得られています。
実際に音楽を聴いても、ドラムの低域の余裕感など1.2mのほうに分があると感じました。また、0.8mはボーカル帯域(500Hz程度?)にも付帯音を感じ、ホーンの短さのデメリットが出てしまっているように感じました。
この辺は、ダクトの調整や、吸音材の吟味など、聴感&特性の両面から追い込みましたが、1.2mのほうが重低音域における潜在能力があるように感じました。
一方で、0.8mのほうは本体容量が1.2mの半分以下ながら、違和感のない低域を再生できることも確認できています。スペースファクター的には0.8mのほうに分があるので、設計思想によりホーン長は自由に選択しても良いのかな?と思っています。
さて、今回のホーン長を変えてのテストでは、バックロードバスレフの動作について興味深いところが見えてきたかな、と思っています。
次回は、空気室容量(ダブルバスレフ的に言えば「第一空気室」)を変化させての特性を確認してみようと思います。
今回はホーン長を変えてテストしてみます。
前回の形状(ホーン長0.8m)は、ざっとこんな感じ。
今回は、さらに延長ホーンのパーツを取り付け、ホーン長を1.2mに拡張しました。
断面積をグラフにすると、こんな感じになりますね。
さて、まずはダクト直前での特性を見ていきましょう。
空気室容量は、3.5L。 ダクトはφ50mmで、12mm厚(塩ビ管なし)です。
<ホーン長 0.8m>
<ホーン長 1.2m>
これは、大分違いますね。
0.8mのホーン長では、(80Hzと、)160Hz, 330Hzにピークがあったのに対し、
1.2mのホーン長では、(70Hzと、)100Hz, 240Hz,370Hzにピークがあるように見えます。
これは、単純に共鳴管の原理で説明ができると考えています。
0.8mと、1.2mの、一倍振動、三倍振動、五倍振動をそれぞれ算出すると…
<0.8m>
340÷0.8÷4=110Hz(一倍振動)
340÷0.8÷4×3=330Hz(三倍振動)
<1.2m>
340÷0.8÷4=70Hz(一倍振動)
340÷0.8÷4×3=210Hz(三倍振動)
340÷0.8÷4×5=350Hz(五倍振動)
一倍振動については、実測値が計算値より1.5倍程度高い周波数に出てきているようですが、
三倍振動や五倍振動については、気柱共鳴と考えて間違いなさそうです。
今回の実験で使用したバックロードバスレフは、
190cm2のホーン開口部を、わずか20cm2まで絞っています。
面積比では、実に1/10といったところでしょうか。
常識的に考えれば、「ホーン(音響管)としては動作せず、バスレフになる!」と思うのですが、
実験結果を見る限りでは、「バックロードバスレフは、しっかりと音響管として動作している!」と考えて問題ないと思っています。
「共鳴音って言っているけど、要はバスレフ箱でもお馴染みの内部の定在波でしょ。メインの動作はバスレフだよ。」という意見もあるでしょう。
では、再度バスレフの式で計算してみます。(φ50mm,12mmダクトとして計算)
0.8mのホーン長のとき、内部容量は8.6L。共鳴周波数は99Hz。
1.2mのホーン長のとき、内部容量は23.0L。共鳴周波数は67Hz。
まあ、確かにダクト近傍の周波数特性を見ると、
80Hzや70Hz付近にも、共鳴由来と思われる「肩」がありますので、
100Hz以下の帯域では、バスレフ由来の動作がメインになっているのかもしれません。
議論を続ければキリがありませんので、データを先に出してしまいましょう。
ユニット直前での特性です。(軸上 5cm)
<ホーン長 0.8m>
<ホーン長 1.2m>
上記で議論した共鳴周波数で、しっかりとディップが出来ていますね。
やや気になるのが、70Hzの小さなディップです。
ホーン長1.2mの方であれば、70Hz付近は気柱共鳴やバスレフ共鳴などで説明できそうですが、
ホーン長0.7mの方は、気柱共鳴が110Hz、バスレフ共鳴が99Hzなので、70Hzディップができる理由がありません。
私自身は、S-043のホーン広がり率(m=2.5)から計算したホーンカットオフ周波数が65Hz前後であることから、
70Hzのディップは、おそらく「ホーンロード」によるものではないか?と考えています。
ラストは、軸上 0.5mでの周波数特性です。
<ホーン長 0.8m>
<ホーン長 1.2m>
違いは明白で、1.2mのホーン長のほうがフラットな特性が得られています。
実際に音楽を聴いても、ドラムの低域の余裕感など1.2mのほうに分があると感じました。また、0.8mはボーカル帯域(500Hz程度?)にも付帯音を感じ、ホーンの短さのデメリットが出てしまっているように感じました。
この辺は、ダクトの調整や、吸音材の吟味など、聴感&特性の両面から追い込みましたが、1.2mのほうが重低音域における潜在能力があるように感じました。
一方で、0.8mのほうは本体容量が1.2mの半分以下ながら、違和感のない低域を再生できることも確認できています。スペースファクター的には0.8mのほうに分があるので、設計思想によりホーン長は自由に選択しても良いのかな?と思っています。
さて、今回のホーン長を変えてのテストでは、バックロードバスレフの動作について興味深いところが見えてきたかな、と思っています。
次回は、空気室容量(ダブルバスレフ的に言えば「第一空気室」)を変化させての特性を確認してみようと思います。