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第24回真空管オーディオフェア、A&Cオーディオ 6cmユニットの紹介

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さて、今日はお知らせがあります!

昨年に引き続き、
「第24回真空管オーディオフェア」に参加することになりました!


http://www.shinkukanaudio.com/


今回は「A&Cオーディオ」さんのブースで、
私、カノン5Dのスピーカーも展示させて頂くことになっています。

皆さまに音を届ける機会があること、大変うれしく思っています!
ぜひ4F 【408号室】に、ご来場くださいませ。




A&Cオーディオについて

A&Cオーディオさんは、「美しい」音を目指し、
日々技術開発に取り組んでいるスピーカーメーカーです。



私も以前から、その音を聴かせていただく機会がありましたが、
鮮度感とエネルギー感がありながらも、粗削りにならない見事な音に感心するばかりです。

webページに書いてあるサンドポリシーは、その音をよく言い表していると思います。
『「綺麗」な音ではなく、「美しい」音を
聴きやすいソフトな音ではなく、瑞々しく鮮烈で、それでいて豊潤な音を・・・
美しい音楽を楽しむために』
https://ac-audio.org/index.html




オリジナルユニット

A&Cオーディオさんで特徴的なのが、
オリジナルの「スピーカーユニット」を搭載していることでしょう。

市販ユニットでもOEMでもなく、完全なハンドメイドなのですから、凄い拘りです。


(ブログより、製作中のスピーカーユニット。許可を得て転載。)
https://blog.goo.ne.jp/ac-audio/e/6cb2afada84d16ca57069282a31e90b1





特徴1 高構造剛性の振動系

ユニットの特徴の一つは、「高構造剛性の振動系」です。

「高剛性な振動板」という表現は、スピーカーの世界でよくなされています。
ヤング率の高い「カーボンファイバー」や「金属」を振動板素材として使うことで、
振動に対しての形状安定性を確保する、という考えです。


(スピーカーユニットの一般的な構造と、各部名称)
http://ask2010.web.fc2.com/ask_parts/glossary_kagyo.htmより

しかし、A&Cオーディオさんの着眼点は少し違います。

A&Cオーディオ代表の島津氏によると、
ボイスコイルボビンやコーンネックという応力への耐性がキモとなる部分に対して、
しっかりとした強度をもたせることこそが重要、なのだとか。

確かに、振動板がいかに強い素材でできていても、
それを支える部分が軟弱では、しっかりとした音にはならないでしょう。

私も詳しい中身までは知りませんが、
理想的な強度と振動特性を実現するために、その構造は複雑になっており、
大量生産では作れないような構造になっているとのこと。

普段見えることのない部品に対して、しっかりとした技術を投入できるのも、
拘りのモノづくりができる小規模メーカーならではのメリットかもしれませんね。




特徴2 フローティングマウント

優れたユニットは、しっかりとした固定をしたいところです。

しかし、ユニットの反作用をエンクロージュアで支えることは、非常に困難です。
音を鳴らしているスピーカーの振動は、手で触っても分かるぐらい強大なものなのです。

そこで「フローティングマウント」の登場です。



(A&Cオーディオwebページより。許可を得て転載。)
https://ac-audio.org/product-fmt.html

ユニット背部にある重量体「デッドマス」が振動を受け止めつつ、
キャビネットとの間を「シール材」でフローティングさせています。

この構造を作る主要樹脂パーツも、すべてハンドメイド。
まさに拘りの逸品ですね。




フラッグシップモデル「Duranty-203」

上記に代表されるようなオリジナル技術を注ぎ込んだ
フラッグシップモデルが「Duranty-203」です。


https://ac-audio.org/product-aca-sp-drt203.html

昨年の真空管オーディオフェアで、その産声を上げた本機は、
まさに圧巻のサウンドでした。

そのお値段は、なんと 150万円 !!

技術と音を考えれば、納得の製品ではあるものの、
サイズも大きく、気軽にオススメできる製品とはいきませんでした...




6cmフルレンジ「F60A」

そこで、2018年にA&Cオーディオさんが発表したのが、6cmフルレンジ。

上記の技術を踏襲しながら、グッと親しみやすいサイズになりました。




「カノンさん、F60Aを使って、何か作ってみませんか?」と
島津代表から話を頂いたのが今年の春ごろ。

ちょうど小型の高級機製作もやってみたいと思っていたので、
なんともグッドタイミングな話です。

ぜひぜひ!という返事と共に、
この「S-069(仮名)」プロジェクトが始まりました。




箱設計は『バスレフ型』

今回は、オーソドックスに「バスレフ型」の箱とします。

ここ10年、というか『カノン5D』の存在自体が「バックロードホーン型」や「共鳴管型」の探求者となっていましたが、
最近は「バスレフ型」の良さも再認識しつつあります。


(バスレフ型のAudiFill PR-83Sol

確かにバスレフ型は、設計を誤るとボンついた低音となり、いかにも「バスレフ臭い」音となってしまいます。
しかし、うまく設計することで、バスレフっぽくない俊敏で心地よい低音感を引き出すことができることが分かってきました。
(ただ、バスレフをうまく設計しても、バックロードや共鳴管の音にはなりません。あしからず。。。)




設計の肝は「箱容量」

色々試すなかで、バスレフ型スピーカーの設計の中で
「箱容量」というのが非常に大きなポイントを占めているなぁ...と感じています。

分かりやすく解説すると、こんな感じです。



この周波数特性の図は、箱容量が適切な場合。
ユニットの低音下限と、ダクトからの放射音圧がうまい具合につながります。
この状態だと、バスレフっぽさは少なく、深みと脈動感に溢れた良質な低音となります。




箱容量が小さいと、ダクトからの放射音圧がブロードになります。
それと同時に、若干ではありますが、ユニットからの低音放射音圧も上がります。(Q0上昇というやつですね。)
聴感上は、低音域にモヤッとしたヌケの悪さが伴い、最低音域も控えめで抑圧感のある音に感じられます。

なお、ダクトの共振周波数を下げることで低音のモヤつきは解消できますが、重低音域の不足感は拭えません。
ただ悪いことばかりでなく、長所として、あまりバスレフ臭さを感じないため、素直な低音だと感じる場合もあるでしょう。




箱容量が大きいと、ダクトからの放射音圧がピーキーになります。
このピーキーな低音は、まさに「バスレフ臭い」低音として聴こえてきます。特定の周波数でブォーと低音が出たかと思えば、中低域ではスカスカになってしまい、質感をまるで感じることができません。

こちらの長所としては、口径を感じさせない雄大な低音を鳴らせることです。フワッとした空気感を求めるならアリな選択でしょう。


こうした事は、シミュレーションソフトでも分かりますが、聴感上の音色の違いは実際に体感してみるのが一番かと思っています。「郡遅延」といった数値化もできますが、自分の『好み』を探るにはやはり聴いて判断するのがベストでしょう。



んで、いっぱい作りました(笑)




内容量で、1.9L、3.6L、6.5Lの3種類を用意してみました。
こういう時は、激安の針葉樹合板が大活躍ですね。




「S-069(仮名)」 試作機、完成!



容量違いで比べた中では、6.5Lの箱がベストでした。
これから様々な部屋でのヒアリングテストを重ねて、最適な箱容量を詰めていこうと思っています。

驚きは、6cm口径であることを忘れる深みのある重低音です。
オーケストラのズシンとくる重低音、ドラムのアタックもしっかり聴かせてくれます。

中音域は、しっかりと癖を抑えている感じで、A&Cオーディオさんのチューニングの巧みさが伝わってきます。
ボーカルも肉厚な感じで、安直な張り出し感に頼らない「生々しさ」を感じます。フルレンジとしては、ちょっと珍しい鳴り方ですね。

音圧限界こそ口径なりではありますが、「集合住宅の6畳間で聴く音量」で伸び伸びと鳴ってくれています。
「一般的な住空間での、音の表現力」としては非常に良好なのではないでしょうか。




さて、次回は「S-069(仮名)」をプロトタイプver.まで仕上げてしまうと共に、
真空管フェアでの出展内容の詳しいお話ができると思います。

お楽しみに!







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